ラオスにおけるデジタル技術分野に関する事業について
ラオスにおけるデジタル技術分野に関する事業についてのニューズレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
→デジタル技術事業
ラオスにおけるデジタル技術分野に関する事業について
2025 年10月31日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景
ラオスにおいてこれまで発行されたデジタル技術に関する主な法令は、以下の通りです。
・ 2016年11月16日付:「情報通信技術(ICT)機器の輸入及び流通に関する合意(No3210)」
・ 2016年3月18日付:「インターネット情報センター活動の事業許可証に関する合意(No590)」
・ 2017年1月20日付:「ソフトウェア及びインターネット情報センター事業の運営に関する合意(No143)」
・ 2017年2月10日付:「ICTコンサルティング及び研修事業の運営に関する合意(No295)」
・ 2017年7月10日付:「ICTの設置及び修理サービス業に関する合意(No2234)」
今回、科学技術省はこれらの合意を一つにまとめた「デジタル技術分野の事業に関する合意(No3643)(以下、合意)」を2025年9月29日付で発行しました。
デジタル技術分野の事業における事業許可証の取得条件を中心に解説いたします。
2. デジタル技術関連事業について
デジタル技術関連事業とは、電子情報サービス、データベース管理、ハードウェア及びソフトウェアサービス、通信ネットワークを通じた情報の保存及び交換など、デジタル技術、情報通信技術に関するサービスを提供する活動をさします(合意第2条)。
具体的には、以下の14の事業が含まれます(合意第5条)。
①Data Center
②Cloud Service Provider
③Blockchain
④Big data
⑤Artificial Intelligence
⑥Digital Content
⑦デジタル技術機器の輸入サービス
⑧デジタル技術機器の販売
⑨ソフトウェア開発サービス
⑩デジタル技術の安全性に関する事業
⑪デジタル技術に関するコンサルタント事業
⑫デジタル技術に関する研修サービス事業
⑬デジタル技術分野の設置及び修理事業
⑭その他のデジタル技術に関連する事業(OTTやIOTなど)
3.デジタル技術分野の事業許可及び要件について
(1)事業許可について
合意第5条に記載された14の事業を行うためには技術通信省デジタル技術局又は首都ヴィエンチャン/県レベルの技術通信課から許可を得る必要があります(合意第28条)。
(2)事業許可書(Business Operation License)を取得するための要件(合意第29条)
デジタル技術分野の事業許可証を取得するための要件は以下の通りです。
①事業主または株主は、経歴が明確であり、許可申請期間中、法律およびその他の関連規制
に基づく起訴または訴追を受けていないこと。
②ラオスの法律に基づき、資産差し押さえ、破産手続き、または裁判所による破産宣告を受けていないこと。
③会社法および関連法律に規定される事業規模に見合った登録資本金を有していること。
④ 提供するサービスや事業内容に関連する知識・技能・経験を持った人員がいること。
⑤ラオス国内に事務所を有し、業務を遂行するために十分な保管スペース、輸送車両、設備を備え、事業規模に適合していること。
⑥明確かつ実現可能な事業計画を有していること
⑦本合意第30条に規定されている事業許可申請に必要な書類が完全に揃っていること
⑧ 法令遵守のため、事業者は技術通信省による定期的な監視を受けること。監視にかかる旅費・宿泊費・食費などの費用は事業者が負担する。
⑨技術通信省が定めるその他の条件を遵守すること
(3)特別な条件が必要なデジタル技術事業について
以下の、5つの事業については、上記の条件以外に追加の条件が規定されています(合意第29条)。
Big Data事業
• 関連機関から投資の許可を取得する必要がある。
Digital Content事業
• 収入を得る事業体として、個人も対象となる。
デジタル技術コンサルティングサービス事業
下記の要件をすべて満たす必要があります。
• ICTの技術的側面を十分に理解している専門家がいること。
• 国内外の個人・法人・組織に対して、5年以上ICTコンサルティングサービスを提供した経験(実務経験証明書の保有)があること
• ICTコンサルティングまたは関連分野での経験があり、学士号以上の学位を有する専門家であること
• ICTプロジェクトを提案する場合は、ネットワーク接続図、セキュリティ基準、データベース設計基準などの関連書類を添えて、技術通信部門による審査を受けること
デジタル技術研修サービス事業
下記の要件をすべて満たす必要があります。
• 国内外の認定資格を取得した指導者を配置していること
• 研修提供に必要な豊富な経験・知識と関連資格を持つ人材を配置していること
• 研修施設は、学習・教育に適した場所で、十分な照明、換気設備、セキュリティシステムを備えていること
• 効果的な学習・教育のため、最新かつ充実した設備を整えていること
• 研修内容は、教科書や国際的に標準化された教材(紙・電子)を用い、最新の教育手法や内容を取り入れること
• 技術通信部門および関係者による確認・検証を経て、各コースの期間、カリキュラム、授業内容を決定すること
デジタル技術の設置および修理サービス事業
下記の要件をすべて満たす必要があります。
• 設置・修理に使用する工具、機器、部品は、輸入規制に基づく基準を満たすか認証を受けており、技術通信部門の技術基準にも適合していること
• 国内外の教育機関、ラオス教育スポーツ省または技術通信部門の承認を受けた企業から発行された専門知識証明書を有する人員がいること
• サービスの種類に応じて、明確な保証契約を文書で締結し、設置・修理サービスを保証すること
4.事業許可証の取得に必要な書類について
(1)事業許可書に必要な書類
申請に必要な書類は以下のとおりです(合意第30条)。
①技術通信省が定める申請書
②マネージングダイレクター(MD)の顔写真(3㎝×4㎝、3か月以内に撮影したもの)
③事務所の住所を示す証明書
④委任状(MDが自身で申請書を提出しない場合)
⑤MDの履歴書
⑥IDカード/パスポート/ファミリーブックの写し
⑦実現可能性調査(フィージビリティスタディ)報告書
⑧経営者及び技術者の学歴書又は資格取得証明書
⑨企業登録書(Enterprise Registration Certificate)のコピー
⑩ラオス国内の銀行で開設された法人口座の取引明細書(資金の動きが確認できる書類)
⑪インフラ、ネットワーク、建物賃貸等の事業に関連する契約書
⑫その他必要とされる書類
(2)事業許可証に発行と有効期間について
これらの必要書類をすべて揃えて技術通信部門に提出すると、原則として15営業日以内に事業許可証が発行されます。
ただし、以下の場合は別途日数が定められています(合意第32条):
• Blockchain事業およびBig Data事業:30営業日以内
• Data Center事業(高性能レベルの場合):30営業日以内
デジタル技術分野の事業許可証は、原則、有効期間は1年間です。
ただし、下記の事業については別途有効期間が定められています(合意第33条):
① Blockchain事業およびBig Data事業
• 一時許可証:1年
• 恒久許可証:5年
② Data Center事業
• 一時許可証:1年
• 恒久許可証:性能に応じて3年~5年(性能が高いほど有効期間は短くなる)
以 上
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

