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フィピリン:上場企業の最低公募保有比率規則の改訂

2026年05月15日(金)

「フィリピン:上場企業の最低公募保有比率規則の改訂」に関するニューズレターを発行いたしました。こちらの内容は以下のPDFからもご覧いただけます。
上場企業の最低公募保有比率規則の改訂

上場企業の最低公募保有比率規則の改訂

2026年5月
One Asia Lawyers Philippines Team
日本法弁護士 難波 泰明
フィリピン弁護士 Razel Ann P. Esteban

1. 概要

2026年2月24日、フィリピン証券取引委員会(SEC)は、登録証券取引所への株式上場を計画している企業に適用される「最低公募保有比率規則(Minimum Public Ownership Rules、以下「MPO規則」)」を定めるSEC通達第11号(2026年)を発出しました。
MPO規則は、より柔軟かつ緩和的な上場要件を導入することにより、フィリピンにおける新規株式公開(IPO)活動を促進し、企業による株式上場を誘致することを目的としています。本規則は、SEC通達第13号(2017年)をはじめとする従前の最低公募保有比率に関する規定を廃止するものです。
本通達の主な内容は以下のとおりです。

2. 適用対象

MPO規則は、フィリピンにおいてIPOを実施する目的で株式登録を申請するすべての企業に適用されます。

最低公募保有比率は、企業のパブリック・フロート(public float)、すなわち、市場において自由に売買可能であり、戦略的保有に該当しない発行済普通株式部分に適用されます。なお、10%以上の持株比率は戦略的保有とみなされ、パブリック・フロートから除外されます。
また、本通達施行前に既にIPOを完了している企業には本規則は適用されません。これら の企業については、上場時点で有効であったMPO規則に基づく最低維持公募保有比率が引き続き適用されます。

3. 最低公募保有比率要件

従前、SECはSEC通達第13号(2017年)により、最低公募保有比率を10%から20%へ引き上げていました。その後、SECは2020年にフィリピン証券取引所(PSE)が策定した「IPO及び上場に関する最低公募保有比率ガイドライン」を承認し、上場時の予想時価総額に応じて15%~33%の段階的比率を導入しました。また、上場時予想時価総額が500億ペソ超の企業については、15%まで引き下げることを認めていました。
新MPO規則は、2020年PSEガイドラインと整合する形で、以下の段階的MPO制度を正式に採用しています。

上場時予想時価総額

最低初回公募保有比率

5億ペソ以下

33%

5億ペソ超~10億ペソ未満

25%(最低募集額1億6,500万ペソ)

10億ペソ以上~500億ペソ未満

20%(最低募集額2億5,000万ペソ)

500億ペソ超

15%(最低募集額100億ペソ)

さらに、上場時予想時価総額が2,000億ペソ以上の大規模発行体については、市場流動性、投資家保護及び秩序ある取引が損なわれないことを条件として、取引所は最低12%までのより低い初回公募保有比率を認めることができます。

4. 上場後及び維持要件

対象企業は、上場時の時価総額に応じ、以下の最低維持公募保有比率を継続的に維持しなければなりません。

上場時時価総額

最低維持公募保有比率

500億ペソ以下

20%

500億ペソ超

15%

なお、2,000億ペソ以上の大規模発行体として低い初回公募保有比率の承認を受けた企業については、最低維持公募保有比率は承認された初回比率を下回ってはなりません。

対象企業は、パブリック・フロートを継続的に維持する義務を負います。最低維持公募保有比率を下回った場合、以下の対応が必要となります。

・翌営業日までにSECへ直ちに報告すること
・低下日から最大6か月以内に所定水準へ回復させること
・不足を認識後10日以内に、公募保有比率回復計画を記載した事業計画書をSECへ提出すること
・公募保有比率が基準に達するまで、毎月末後15日以内に公募保有比率報告書及び進捗報告書をSECへ提出すること

なお、本通達の適用対象外であっても、上場時に有効であったMPO規則に基づき最低公募保有比率の維持義務を負う上場会社についても、上記の報告・是正・維持義務が適用されます。

5. 監視及び報告義務

発行会社及び引受会社は、ブックビルディング手続に関する事後報告書を、募集完了後10日以内にSECへ提出しなければなりません。当該報告書には、価格帯別及び数量帯別の投資家需要の概要を記載する必要があります。SECは、市場監督及びMPO政策の定期的見直し・評価のために当該報告書を利用します。

6. 罰則

 本MPO規則に違反した企業は、証券規制法第54条に基づく行政制裁の対象となります。制裁には以下が含まれます。

・証券募集登録の停止又は取消
・1万ペソ以上100万ペソ以下の罰金

7. 企業が取るべき対応

フィリピンで株式上場を検討している外国企業は、上場時予想時価総額に応じたSECの段階的最低公募保有比率要件を遵守する必要があり、上場後の最低維持公募保有比率の継続的維持、パブリック・フロートを監視する内部管理体制の構築、比率低下時の速やかな開示及び6か月以内の是正措置の実施が求められます。


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