日本:個人情報保護法改正の概要とポイント
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個人情報保護法改正の概要とポイント
2026年5月吉日
One Asia Lawyers 東京オフィス
2026年4月7日、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「本改正案」といいます。)が閣議決定されました。
本改正案の施行は公布から原則2年以内とされており、今後、政令・委員会規則・ガイドライン等の整備が順次進む見通しです。
本ニュースレターでは、第1において本改正案の概要を説明の上、第2において主要なポイントを3点取り扱います。
第1 本改正案の概要
本改正案はAI活用にも資する円滑なデータ連携を促進するとともに、個人の権利利益の適切な保護を図ることを趣旨としています。
本改正案における主な改正点を、
・規制が緩和された点
・規制が強化された点
・エンフォースメントが強化された点
の3つの観点から整理すると、以下のとおりです。
第2 本改正案の主なポイント
1 統計作成等を目的とする場合の特例
現行法では、要配慮個人情報の取得や個人データの第三者提供には原則として本人の同意が必要ですが、本改正案は、「統計情報等の作成のみに利用する」ことが担保される場合に限り、本人同意なしで公開されている要配慮個人情報の取得及び個人データ等の第三者提供を認める特例を規定しています。この「統計情報等の作成のみ」の範囲には「統計作成等であると整理できるAI開発等」も含まれると明示されており、企業間のデータ共有やAI学習データの整備に活用が期待されます。
同特例を利用するためには、①氏名・名称や作成しようとする統計情報等の内容などの一定事項の公表、②第三者提供の場合は「統計情報等の作成のみを目的とした提供である旨」の提供元・提供先間の書面合意が必要となります。また、同特例により取得・提供されたデータは、当該目的の囲外での利用及び第三者提供が禁止されます。
具体的にどのようなAI開発等が「統計作成等」に該当するかは、今後制定される規則やガイドラインの内容を注視する必要があります。
なお、同特例に違反した場合には、課徴金の対象となり得るため、留意が必要です。具体的な違反例としては、以下のものが挙げられます。
(個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律案について」(2026年4月)、20頁より。URL: https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260407_kisyahaifusiryou.pdf)
2 本人の意思に反しないことが明らかな場合の同意不要
目的外利用・要配慮個人情報の取得・第三者提供について、「取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかな取扱いである場合」は本人同意が不要となります。
個人情報保護委員会における想定事例として、ホテル予約サイトが予約者の氏名等を宿泊先ホテルに提供する場合(予約サービスの利用契約の性質上、当然に想定される情報連携)や、海外送金において送金者の情報を送金先金融機関に提供する場合が挙げられています[1]。これまでこうした場面でも形式的な同意取得が求められていましたが、改正後は業務フローを実態に即した形に見直すことができます。具体的な対象範囲は委員会規則等で定められる予定です。
3 オプトアウト制度における提供先の身元・利用目的の確認義務
オプトアウト制度とは、本人の求めがあれば提供を停止することを条件に、本人同意なしで個人データを第三者に提供できる制度です(現行法第27条第2項)。現状、悪質な名簿屋が、この制度を利用して、違法行為に及ぶ者に名簿を転売する事案が問題となっています。
本改正案は、オプトアウト制度に基づいて個人データを第三者に提供する際、提供者があらかじめ提供先の身元(氏名又は名称・住所・代表者氏名)及び利用目的を確認することを義務付ける規定を設けています。
提供先が確認事項を偽った場合は過料の対象となります。
なお、当該個人データを取得した時点において当該個人データが本人・国の機関・地方公共団体等によって公開されていたものである場合等は、確認義務の対象外とされます。
第3 まとめ
本改正案は閣議決定を経て特別国会に提出されていますので、今後、両議院で可決され次第、成立することとなります。
具体的な規律の詳細の多くは今後の政令・委員会規則・ガイドライン等で確定する予定であるため、今後の議論を追う必要があります。
当事務所では、今後の下位法令・ガイドラインの動向についても引き続き情報をお届けしてまいります。
【参考資料】
個人情報保護委員会・報道発表「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について(令和8年4月7日)
https://www.ppc.go.jp/news/press/2026/260407/
[1] 前掲・個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律案について」(2026年4月)、7頁


