(第16回)イギリスでアフリカ社会と法を学ぶ アフリカで「人権」概念について考える(2)
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(第16回)イギリスでアフリカ社会と法を学ぶ
アフリカで「人権」について考える(2)
2026年 6月
One Asia Lawyers Group
原口 侑子(日本法)
アフリカの方と社会を考えるにあたっては「人権」という国際規範をどのように地域社会が扱っているかを考えることを避けて通れないという話を前回から始めている。
「人権」概念を翻訳可能な対象として、また翻訳可能なプロジェクトとして捉えることは、依然として新しい現象であり、その「翻訳者」たちは、そもそもどのようなギャップを埋めようとしているのだろうか?という問いかけがある。
1990年代から2000年代にかけて、人類学者は民族誌的研究および人類学理論の対象として人権に注目するようになった。MerryとLevitt(2017)によれば、「女性の人権思想」は各国の女性運動の中で生まれ、それらが国際人権システムに対し、女性の権利をより広範な人権枠組みの不可欠な一部として認めるよう働きかけた。これは、人権という概念が近年の対話を通じて形成されてきたことを示している。
「仲介者」によって「人権がいかにして現地語化されるか」を検証する中で、MerryとLevitt(2017)は、「人権はいかにして世界中を旅するのか?」という問いを投げかけつつ、世界の4つの都市においてNGOがいかにして女性の人権に関する言説を現地語化しているかを探求している。NGOを重要なアクターと見なし、彼らは「土着化」を、「国際機関という普遍的な領域から『思想や実践』を抽出し」、それらを現地の価値観や慣行に合致する形へと適応させるプロセスと定義している。
LevittとMerry(2009)は、人権には「普遍的かつ国際的なオーラ」を帯びるという一般的な傾向があり、それは「普遍的な善というユートピア的な目標を喚起する」象徴として捉えることができると論じている。では、人権という概念は、いかにして「権利に関する国際的合意のオーラによって正当化された」一種の法規範として、地域的な文脈において形成・確立されたのだろうか。もしこの移転がグローバルからローカルへの移行を示すのであれば、人権という概念は、「国際社会」という上空から、「ローカル」という下層へと降りてくるものなのだろうか。あるいは、人権を普遍的に見せているのは、単に「影響力のあるイデオロギー」(Crewe and Alexby, 2013)としてのその独特な特性に過ぎないのだろうか?国際的なイデオロギーと地域の法規範は、どのように関わりあっているのだろうか。
参考文献
Crewe, E., Axelby, R. 2013. Anthropology and development: culture, morality and politics in a globalised world. Cambridge University Press.
Levitt, P. and Merry, S. E. 2009. Vernacularization on the ground: local uses of global women’s rights in Peru, China, India and the United States
Merry, S. E. and Levitt, P. 2017. Chapter 9. The Vernacularization of Women’s Human Rights. in Hopgood, S., Snyder, J., Vinjamuri, L. (Edited) 2017. Human Rights Futures. Cambridge University Press.

