ミャンマーにおける小売卸売規制の緩和について
ミャンマーの外資規制緩和に関して報告致します。
ミャンマーにおける小売卸売規制の緩和について
2018年5月20日
One Asia Lawyers ミャンマー事務所
1 はじめに
従来ミャンマーにおいては、外資企業(国内企業との合弁を含む)は肥料、種子、農薬、病院機器、および建設資材等の一定の商品に限定した流通事業のみがその実施を許可されていました。今回、ミャンマー商務省は2018年5月9日付けでNotification 25/2018(以下、本省令)を発表し、外資企業に卸売・小売業(以下、本事業)を解放することとしました。本省令により、ミャンマー国内での製造であるか、国外から輸入されたものであるかを問わず、あらゆるタイプの商品を取り扱う小売及び卸売事業の展開が可能となったと考えられます。
以下、本省令で定められた初期投資額条件、登録条件、その他制限について簡単に解説します。
2 初期投資額条件
本省令は本事業を開始するにあたり、条件として最低投資額を定めています。その条件は以下の表の通りです。
<最低投資額に関する条件>
小 売 | 卸 売 | |
100%外資 | 3,000,000米ドル | 5,000,000米ドル |
合弁(※) | 700,000米ドル | 2,000,000米ドル |
100%内資 | 投資額条件なし | 投資額条件なし |
※上記表における合弁とは、内資が20%以上の現地法人を指し、内資が20%未満(すなわり外資が80%超)の場合には100%外資と同様の資本条件となるため、留意が必要です。
なお、上記投資額の計算にあたって土地の賃借料を含むことはできないとされています。また、上記の投資額はいわゆる登録資本の額ではなく、本事業の対象となるプロジェクトや商品の仕入れに関する金額であると理解されますが、この点について明確ではないため今後の動向や見解の統一について、注視していく必要があります。
3 登録条件
本省令発布後に本事業を実施しようとする外資企業は、本事業を展開するに先だち商務省に登録をしなければなりません。登録の際には、以下の書類を用意する必要があります。
①企業登録証
②ミャンマー投資委員会(MIC)が発行する許可証又はエンドースメント
③所轄の開発委員会からの推薦状
④事業実施のロケーションや初期投資額を含む事業計画書
また、本事業者として登録した会社は、新店舗を開設又は店舗拡大をした場合は90日以内に商務省に届け出る必要があります。
4 その他条件
(1)売場面積条件
929平方メートルに満たない売場面積の店舗においては、小売事業を展開することができません。これは、コンビニエンスストアやミニマーケットを含むものであり、小型店舗での小売事業が制限されています。
(2)運営条件
事業運営にあたっては、場所、フロアエリア、営業日、開業時間等について、ネビドー、ヤンゴン又はマンダレー市の開発委員会またはこれらの下級行政区である所轄の開発委員会が定める規定に従うひつようがあります。
以 上