タイにおける決済システム法の概要について
タイにおける決済システム法の概要について報告致します。
タイにおける決済システム法の概要
2018年5月29日
One Asia Lawyers タイ事務所
1 はじめに
2017年10月に公布された決済システム法(以下、「本法」といいます)が2018年4月16日に発効しました。同時に、本法における指定決済システム及び指定決済サービスについて規定した財務省通達も発効しています。
本法は、決裁に関する従前の法令を統一的に規定するとともに、一部の要素を国際基準に合わせ、また将来の新たな決済システムの導入に際して、柔軟に対応することを目指しています。ここれは本法の概要とポイントをご説明します。
2 指定決済システム
本法では「決済システム(Payment System)」を、資金の送金、クリアリング、決済のためのシステム又はアレンジと定義し(第3条)、次の2タイプに分類しています(同12条)。
(1)資金の送金、クリアリングまたは決済のためのシステムのサービス利用者間の集中化またはネットワーク決済システム
(2)公共の利益、公共の信用、安定性、決済システムの安全性に影響を与える可能性のある他の支払いシステム
タイ財務省からのライセンス取得、又はタイ中央銀行(BOT)への登録が必要な指定決済システムとして次の3つを定め、この事業を営むための最低資本金は次のようになっています。なお、複数の事業を営む場合は、資本金がいずれか高いほうが適用されます(財務省通達 3/2561第4.2条)。
(1)金融機関間の資金送金システム:5,000万バーツ
(2)決済カードネットワーク:5,000万バーツ
(3)決済システム:2億バーツ
これらの事業は、有限会社、公開会社、金融機関、国営企業しか営むことができず、ほかに、安定した財務状況であること、決済システムに関する法律に基づく業務停止または免許取り消し命令を受けたことがないこと、裁判所から資産の没収命令を受けたことがないこと、テロリストに金融支援を行ったことがない等の要件を満たさねばなりません。また少なくとも1名のタイ人を取締役として設置する必要があります(BOT 通達 3/2561 第 4.2 条)。
3 指定決済サービス
本法では「決済サービス(Payment Service)」を、有形無形を問わず、商品やサービスの決済、または資金の移動、その他金融取引のための決済手段または決済経路を提供することと定義しています(第3条)。
次の5つの事業が財務省からのライセンス取得又はBOTへの登録が必要な指定決済サービスとなっており、各サービスで求められる最低資本金は次の通りです(第16条)。
(1)クレジットカード、デビットカード、ATMカードサービスの提供:記載なし
(2)電子マネーサービスの提供:1億バーツ
(3)売り手、サービス提供者又は債権者のために電子決済を受けるサービス:
( i )アクワイヤリング:5,000万バーツ
( ii )ペイメント・ファシリテイティング:1,000万バーツ
( iii )売り手、サービス提供者または債権者のために電子決済を受けるサービス:1,000万バーツ
(4)電子的手段による送金サービスの提供:1,000万バーツ
(5)金融システムや公共の利益に影響を与える可能性のあるその他決済サービス:記載なし
これらの事業は有限会社、公開会社、金融機関、国営企業のみしか営むことができず、ほかに、安定した財務状況であること、決済システムに関する法律に基づく業務停止または免許取り消し命令を受けたことがないこと、裁判所から資産の没収命令を受けたことがないこと、テロリストに金融支援を行ったことがないといったこと等が要件となっております。また少なくとも1名のタイ人を取締役として置かねばなりません(財務省通達 5/2561 第4.2.1条)。
以 上