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ラオスにおける外国法人の駐在事務所設立について

2019年07月30日(火)

ラオスにおける外国法人の駐在事務所設立について報告いたします。
→駐在員事務所の設立について

 

「ラオスにおける外国法人の駐在事務所設立について」

2019 年 7 月 30 日
One Asia Lawyers ラオス事務所
藪本 雄登
内野 里美

1.背景・経緯

 2017年4月に施行された改正投資奨励法において、駐在員事務所については、同法第55条(定義)及び第56条(設立申請)に規定されているのみで、詳細は別途規定するとされていました。

 特に、駐在員事務所の設置期間の上限については、日経商社が中心となりその廃止を長年にわたって要請しており、日本政府としては、毎年開催されているラオス計画投資省と日本大使館共済の官民合同対話の中で、話し合いが進められてきました。

 2017年末の同対話において、駐在員事務所に関する草案が出され、公聴会を経て、2018年7月30日付で「駐在員事務所の設立と管理に関する合意(以下、本合意)」が発行されました。旧投資奨励法実施に関する首相令で規定されていた設置期間(3年)を超えて駐在していた事務所にとっては、本合意による法的な手続き等が示された結果となりました。

 今回は、本合意の内容についてご紹介致します。

2.事務所種類別比較表

事務所の種類 第1種 第2種

定義

(本合意第3条)

・外国の親会社に対して、ラオスへの投資を決断させるために、商業、投資、サービスに関する情報収集・調査を行う、又は法人設立準備のために、政府と民間部門のコーディネート等をグループ会社又は支店に対して行うために駐在員事務所

・外国の親会社の代理として、コンセッション事業において、政府と親会社が締結したMOUや契約の中で定められたプロジェクトのみをフォローするために、政府関連部門と民間部門との間の調整業務を行うための駐在員事務所

設立条件
(本合意第8条)

・親会社の設立から最低2年経過していること。
・過去にラオスに駐在員事務所を設立したことのある法人は、閉鎖してから3年以上経過していること。

登録資本金
(本合意第8条)

最低登録資本金は50,000USD
※駐在員事務所設立許可書(以下、許可書)が発行されてから60営業日以内に、登録資本金を全額払い込む必要があります(同合意第12条)。

設立申請手続き
(本合意第9条)

・計画投資省ワンストップサービス(OSR)へ申請書類を揃えて提出、3営業日以内にOSRは、関連機関へ意見を求めるレターを発行。
・7営業日以内に関連機関はOSRに回答を提出し、OSRは関連機関から回答を得てから5営業日以内に、許可証を発行又は否認理由を申請者に通知する。

許可証内容
(本合意10条)

・許可証番号
・駐在員事務所名
・駐在員事務所住所(通り、番地、村、郡、件名)
・登録資本金額
・活動有効期限

更新及び延長
(本合意13条)

・許可期間は1年間。その後、3回まで更新可能(1年ごとに更新)。
・3回の更新後、親会社からの期間延長の要請が認められた場合、1ターム(3年)を限度として、延長可能(1年ごとに更新)。

・許可期間は1年間。親会社と政府とのMOU又は契約が終了するまで、1年ごとに更新可能。
・上記契約が終了と同時に、駐在員事務所を閉鎖すること。

その他 ・外国人駐在員数は2名を超えないこと

 

3.駐在員事務所に関する罰則規定(本合意第22条)

 1.収入または収益を上げるビジネス活動を行った場合は、5,000USDの罰金を科す
 2.商品販売、サービス又は商品に関する広告活動を行った場合は、5,000USDの罰金を科す
 3.領収書又は請求書を発行したことが発覚した場合は、1,000USDの罰金を科す

 上記それぞれにつき2回違反した場合は、上記規定された額の2倍の罰金を科す。同様に3回違反した場合は3倍の罰金を科すとともに、理由の有無は問わず、駐在員事務所の閉鎖を命じる。

 今後、駐在員事務所を設立する権利を親会社には与えないものとする。

 以 上