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タイにおける失業手当受給について

2020年04月20日(月)

タイにおける失業手当受給について報告いたします

失業手当受給について

 

タイにおける失業手当受給について

2020年4月20日

One Asia Lawyers タイ事務所

 2020年4月17日、タイ労働省は「省令:感染症法に基づく危険感染症の拡大に伴う不可抗力による失業手当受給」及び「省令:経済状況の影響による失業時の手当受給」二つの省令を発表、同日に官報掲載となりましたので、以下の通り解説致します。

1 Covid-19を原因とする休業・休職に伴う失業手当

 感染症法に基づく危険感染症の拡大に伴う不可抗力による失業手当受給に関する省令において、Covid-19等の危険感染症が「不可抗力の事由」として認定され、以下の条件に該当する休職中の従業員は社会保険事務所より失業手当の受給が可能となりました。

 失業手当受給の概要 

 ・休職期間中最大90日間受給可能(※休職1日目から手当支給対象となります)
 ・一日当たりの賃金の62%を受給可能(※社会保険法46条及び1995年の社会保険法に基づく奨励第7号により、受給額計算の際にベースとなる最大賃金は15,000バーツとなり、15,000バーツ以上の月給を受け取る従業員に対しては一律15,000バーツが適用されます。また、一日当たりの賃金は、社会保険法57条に基づき計算されます。)
 ・失業手当は月払いが基本だが、休職期間が1か月に満たない場合は日割り計算となる
 ・雇用者は従業員の休職を証明する必要がある
 ・受給可能期間は2023年3月1日~8月31日まで、もしくは大臣が別途定めた期間
 ・被雇用者は、失業手当受給申請書を提出する必要がある。

 失業手当受給の条件

 ・従業員が隔離のため、もしくは感染予防のために休職した場合
 ・雇用者が従業員を隔離するため、もしくは感染予防させるために休職させる場合
 ・政府の事業停止命令の有無に関わらず、雇用者が全部または一部の事業を一時的に停止しなければならない規模の不可抗力が発生した場合で、被雇用者が労働できない場合
 ・上記いずれの場合も、従業員は賃金を受領していない場合にのみ、当該手当を受給できる
 ・解雇、自主退職、及び有期雇用契約期間満了に伴い退職した従業員は、当該手当の受給対象とはならない
 ・休職前の15か月の内、6か月以上社会保険料を納めている必要がある

 労働者保護法第75条に基づき賃金の75%を受け取っている従業員は、当該手当受給資格を喪失いsますので、留意が必要です。あくまでも会社から賃金の支払いが一切ない場合に限り、当該手当の受給資格が得られます。

 上記1はあくまでも休業事由が不可抗力であると労働省担当官に認定された場合に適用されます。感染症法に基づく危険感染症の拡大に伴う不可抗力による失業手当受給に関する省令において、Covid-19等の危険感染症に起因する事由で休業した場合に不可抗力認定の可能性が高くなったと理解できるものの、最終的な判断は労働省担当官に委ねられるため、まずは社会保険事務所が提供する従業員の休職証明を提出し、担当官からの回答を得て頂くことを推奨致します。

2 解雇・自主退職・有期雇用契約の終了に伴う失業手当

 経済状況の影響による失業時の手当受給に関する省令において、上記1では給付の対象とならなかった解雇、自主退職、及び有期雇用契約期間満了に伴い退職した従業員に対し、以下の通り社会保険事務所より失業手当の受給が可能となりました。

 失業手当受給の概要

 ①解雇の場合
 ・1回につき最大200日受給(1暦年に複数回に渡り申請する場合も、最大200日まで)
 ・一日当たりの賃金の70%を受給可能(社会保険法46条及び1995年の社会保険法に基づく省令第7号により、受給額計算の際にベースとなる最大賃金は15,000バーツとなり、15,000バーツ以上の月給を受け取る従業員に対しては一律15,000バーツが適用されます。また、一日当たりの賃金は、社会保険法57条に基づき計算されます。)
 ・受給可能期間は、2020年3月1日から2022年2月28日まで
 ・前年から継続して(年を跨いで)当該失業手当を受給する場合は、前年の失業手当受給開始日から最大200日間受給可能となる。
 ・省令施行前に既に解雇時の失業手当を受給していた場合は、最大受給可能日数の200日から受給済み日数分を除き、当該手当の受給が可能となる。

 ②自主退職・有期雇用契約満了に伴う退職の場合
 ・1回につき最大90日受給可能(②だけを1暦年に複数回に渡り申請する場合は最大90日まで。ただし、①と②を1暦年に申請する場合は、二つの受給可能日数合計が200日までとなる)
 ・一日当たりの賃金の45%を受給可能(社会保険法46条及び1995年の社会保険法に基づく省令第7号により、受給額計算の際にベースとなる最大賃金は15,000バーツとなり、15,000バーツ以上の月給を受け取る従業員に対しては一律15,000バーツが適用されます。また、一日当たりの賃金は、社会保険法57条に基づき計算されます。)
 ・受給可能期間は、2020年3月1日から2022年2月28日まで
 ・前年から継続して(年を跨いで)当該失業手当を受給する場合は、前年の失業手当受給開始日から最大90日間受給可能となる。
 ・省令施行前に既に解雇時の失業手当を受給していた場合は、最大受給可能日数の90日から受給済み日数分を除き、当該手当の受給が可能となる。

 失業手当受給の条件

 ・休職前の15か月の内、6か月以上社会保険料を納めている必要がある。(社会保険法78条)
 ・解雇日、退職日、または契約終了日から数えて8日目以降に失業手当受給申請が可能となる(社会保険法79条)。
 ※失業期間が7日以下の場合は当該失業手当受給対象とはなりません。

 失業手当受給例(1)

 2020年9月24日に解雇、2021年1月30日まで失業した場合
 ・2020年10月1日(解雇日から8日目)に失業手当受給資格が得られる。
 ・2020年10月1日~2021年1月30日までの4か月、合計120日間(1か月30日と仮定)、失業手当を受給できる。

 失業手当受給例(2)

 2020年9月24日に解雇、2021年4月30日まで失業した場合
 ・2020年10月1日(解雇日から8日目)に失業手当受給資格が得られる。
 ・2020年10月1日~2021年4月30日までの7か月、合計210日間(1か月30日と仮定)のうち、1回の失業で受給可能最大日数の200日に限り、失業手当を受給できる。

 失業手当受給例(3)

 2020年9月24日に解雇、2021年1月30日まで失業。2021年2月1日に再就職も、2021年2月22日再度解雇となり、6月30日まで失業した場合。
 ・2020年10月1日に失業手当受給資格が得られる。
 ・2020年10月1日~2021年1月30日までの4か月、合計120日間(1か月30日と仮定)、失業手当を受給できる。
 ・2021年に新たに付与される受給可能日数は200日。2021年の受給済み日数は30日。2021年の受給可能残日数は200日-30日=170日
 ・2021年3月1日(解雇日から8日目)に2回目の失業手当受給資格が得られ、9月30日までの7か月、合計210日間の内、2021年の受給可能残日数170日に限り、失業手当を受給できる。

以 上