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COVID-19に関するインド労働法の修正について

2020年05月28日(木)

COVID-19に関するインド労働法の修正について報告いたします

COVID-19に関するインド労働法の修正

 

COVID-19に関するインド労働法の修正

2020年5月27日

One Asia Lawyers南アジア/Acumen Juris

賃金減額および解雇に関する規制の緩和

COVID-19感染拡大はインド財務省により自然災害とみなされているものの、インド連邦政 府は、災害管理法2005年第10(2)(l)条に基づき、2020年3月20日及び2020年3月29日付の通達 を通じて、解雇は回避されるべきこと、COVID-19のために稼働できない従業員は勤務中と みなされ、賃金減額は禁止されるべきことを明確に指示していた。連邦政府の通達を受けて、 同様の措置がインドの多くの州政府によって採用された。 その後、上記の通達について、インド最高裁判所に異議が申し立てられ判断が待たれていた が、2020年5月17日付けの内務省の命令は、災害管理法第10 (2)(l)条に基づいて発出された命 令はすべて、2020年5月18日から効力を停止するとした。したがって、1947年の産業紛争法 を含む適用法に規定された手続きに従う限り、2020年5月18日以後は、労働者の解雇および 賃金減額は可能になったと解釈しうる。 もっとも、ロックダウン期間中に使用者が賃金を減額し、従業員を解雇することを禁止する 州固有の措置は、一部の州では依然として適用可能であるため、州固有の法律および命令を分析する必要があることに留意が必要である。

労働法に関する州固有の規制・規制緩和 

インドの州政府は、COVID-19の経済・産業への影響を最小限に抑えるために、必要な措置 を講じている。インドの一部の州では、労働法規を緩和するための暫定措置を公表した。 マディヤプラデシュ州(MP州)は、一定の条件の下でロックダウン期間中の操業再開を認められた工場/店舗及び商業施設の労働者に対する賃金/給与の支出について通達を発行し、労働者が自発的に欠勤した場合、経営者は、「ノー・ノー・ペイ」原則に基づいて、欠勤に相当する賃金減額が可能であることを明記した。 MP州はさらに、1948年工場法に基づき登録された州内の工場について、2020年4月20日以降の3ヶ月間、労働時間の制限規定(第51、52、54、55、56条)の適用を排除した。すなわち、州内の工場では、残業賃金の支払等の規定に従う限り、労働時間を延長できることになる。

さらに、MP州は、5月5日以降に登録された新規工場に対して、通知日以後の1,000日間、1947年労働争議法の一定の規定の適用を除外し、使用者の利益に配慮された。例えば、レイオフに関しては第VB章のレイオフ手続きに従わなければならないが、第25M条に基づく政府の事前許可を申請する必要はない。

マハラシュトラ州政府は、1948年工場法第65条(2)に関して、州内の工場に対し、8時間労働等の労働時間の制限規定(第51、52、54、56条)の適用を排除した。:すなわち、以下の条件に従う限り、労働時間の延長をすることができる。

A) 超過勤務手当は、通常の賃金の倍額で支払われる;
B) 作業時間の変更が工場の安全に影響を及ぼさないことを確実にする
C) いかなる日の労働時間も12時間を超えてはならない;
D) いかなる日の労働時間も、休暇を含め13時間を超えてはならない;
E) いかなる週の総労働時間も60時間を超えてはならない;
F) 労働者は、連続して7日間の時間外労働を与えられるべきではない;
G) 一クオータ(3か月)の総労働時間が115時間を超えてはならない;
H) 工場職員は、コロナウイルスの拡散を防止するために必要なあらゆる予防措置を講じる べきである;
I) 工場内の製造工程において、2人の作業員の間に安全な距離があり、マスクの使用が 義務付けられていること;
J) 上記緩和期間は、2020年6月30日まで、1948年工場法第64条に規定されているものと みなされる。

グジャラート州、ラジャスタン州、ハリヤナ州、ヒマチャルプラデシュ州、アッサム州およびウッタラカンド州を含む他の多くのインド州は、マディヤプラデシュ州およびマハラーシ ュトラ州同様の、使用者に対する一時的救済措置を講じている。

なお、これらの暫定措置については、労働者の利益を害する恐れがあるため、インド最高裁判所において訴訟が係属中であり、効力を否定される可能性があることに留意する必要がある。

Uttar Pradesh州でも、通達13 /2020/ 502 / XXXVI-03202030 (Sa.)/2020TCにおいて、マハラ シュトラ州同様、労働時間の制限規定の適用を排除していたが、その後当該措置および通達を撤回した(労働時間の制限規定が原則通り適用される)。 

本記事に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal
藪本 雄登