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ラオスにおける金融関連規制について

2021年06月04日(金)

ラオスにおける金融関連規制についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

金融関連規制について

 

ラオスにおける金融関連規制について

 

2021 年6月4日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 今回は、 弊所にてよく質問を受ける金融関連規制についてQ&A形式で解説しております。 

    Q1.金融機関が定める上限金利はありますか?

     金利に関しては、以下の通り、民法に定めがあります。

    <民法第431条の規定>

    利子の計算に関する合意がある場合 、 合法的に登記された商業銀行またはその他の金融機関からの借り入れに対する利子 は、貸与した商業銀行または金融機関の規則 に従って履行しなければならない。 商業銀行またはその他の金融機関 以外からの借り入れにおいては 、 利子の計算は 年率 36% を 超えてはならない 。

    しかしながら、民法によると、商業銀行またはその他の金融機関は、各金融機関の規則に従うと書かれているのみで、具体的な上限は書かれていません。そこで、ラオス中央銀行(以下、BOL)に金融機関の金利に関する規定を問い合わせたところ、マイクロファイナンス業(以下、MFI)に関しては、以下の二つの通知に準ずるとの回答を得ています。

    なお、リース業につきましては、上限金利に関する規定は存在していないとの回答を得ております。従いまして、特段の例外的な許可等がない場合は、民法第431条が適用されると考えます。

    1.2020年5月20日 BOL合意(No319)
    MFIの上限金利は、商業銀行の年間金利の平均値の4倍を超えないこと。

    2.2021年1月6日付 BOLのMFI管理局からの通知(No03)
    ①商業銀行の年間金利平均値は、9.82%
    ②MFIの年間金利は、39.28%/ (9.82%×4倍)を超えないこと。
     月間金利は、3.27% (39.28÷12カ月)を超えないこと。

    上記金利は、2021年1月1日から2021年6月30日まで有効となっており、半年ごとに更新されます。上記規定に違反した場合の罰則については、指導、警告、罰金、さらに3回目の警告でも改善されない場合は、事業の停止又は事業許可のはく奪の可能性もあります。

    Q2 ラオスでは、複利は禁止されていますか?

    民法に「消費貸借については、利子を元本に組み入れることはできない」という規定があります。この意味は、当初の元本に対してのみ、利息が計算される方法ではなく、一定期間ごとの利息を元本と合算させた元本に対して利息を計算する行為、すなわち「複利」のことを指していますので、複利は禁止されていると解釈されます。
    なぜ、ラオスでは複利が禁止されているかという点につきまして、民法典の草案にかかわった専門家に確認したところ、ラオスは、高利貸しが社会問題化している背景があり、金融機関等の債権者の経済取引の自由の保護といった観点からではなく、債務者の保護に重点を置いていおり、そのような態度は、ラオスの政治体制や文化に根差しているのではないかとのコメントを得ています。

    Q3 担保権を有する物を売却するときには、売却価格等を債務者等に事前に通知する必要がありますか?

    2011年に発行された「契約履行担保法の実施に関する首相令(No178 )」 第43条に担保権を有する動産の処分等についての規定が以下の通りあります。

    「合法的に占有した担保財産を担保契約に従い、売却、貸与又は購入する場合その10日前までに、債務者等に通知する必要がある。但し、劣化が早い財産については、通知する必要はない。なお、民事裁判の場合は、判決に従うことになる」

    なお、不動産の場合、債務者への通知は、15日前までとなります(第67条)。


    Q4 ラオスで不動産の担保提供を契約書に明示する場合、何を記載すれば特定できますか?

    民法第522 条に 「担保に供する物は、契約において特定される形で記載しなければなら
    ない」とありますが、具体的に何を明示すれば、特定されるのかは、明言されておりません。
    この点、現在のラオス実務では、土地の場合、少なくても土地権原書(バイターディン)に記載されている情報 を最低限書く必要があり、それに加え、土地の価格、土地の上のある建物、木の情報など、情報は多ければ多いほどよいとされています。
    特定の観点からいえば、対象となるバイターディンを別添するだけでも十分のように思われますが、ラオスは土地に関するいろいろな問題が存在しているため、できる限りの情報を記載することが推奨されます。
    また、借地の場合は、所有者(地主)との契約書のコピーや地主からの合意書を添付することも重要となります。
    なお、土地を担保とする場合は、担保契約書とバイターディンを天然資源環境省で登録する必要があります。土地の上に建つ建物や家のみを担保にすることは、登記制度がないため 、問題が生じる可能性が高く、必ず土地と建物はセットで担保設定するよう、留意する必要があります。

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)