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ラオスにおける特殊機器に関する合意について

2022年01月20日(木)

ラオスにおける特殊機器に関する合意についてのニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

特殊機器について

 


ラオスにおける特殊機器に関する合意について

                                    2022年1月20日
                              One Asia Lawyers ラオス事務所

1.背景

2020年11月27日付で、科学技術省(Ministry of Technology and Science)から「特殊機器の品質と安全性の管理に関する大臣合意(Agreement On The Quality and Safety/security of Special Equipment Management )(以下、合意)」が発行されています。同合意は、同年12月14に官報に掲載、15日後に施行されていますが、2021年2月に発行元である科学技術省が解体され[1]、同省にあった各局は、関連省庁へ、その機能が移されています。「特殊機器の品質と安全性管理」の実施機関である標準化計測局(Department of Standard and Measures ) については、商工業省へ移管されています。

2. 特殊機器とは

同合意第3条によると、特殊機器とは「生命、財産、環境を危険にさらすリスクを伴う機器。例えば、ボイラー、圧力容器、圧力管、昇降機、揚貨機器、ロープウェイ、大規模な遊具、特定の場所で使用される乗物、危険物資貯蔵タンク」と定義されており、下記表のとおり、9種類が特記されています(第6条)。

 

 

Special Equipment

1

Lifting Appliance

2

Lift, Escalators, and moving walks

3

Motor vehicles in defined fields

4

Pressure vessel

5

Pressure pipe

6

Boiler

7

Ropeway

8

Amusement facilities

9

Hazardous chemicals tanks

 

3. 特殊機器の安全品質認証及び検査について

上記2の9種類の特殊機器を製造、輸入、据付、補修及び修理を目的としている個人、法人又は団体は、品質を保証するために、その根拠となる情報をThe Management Organization of the Quality and Security Equipment(以下、品質安全管理機関)から取得するために、検査[2]を受ける必要があります。検査は以下のとおり、各段階で実施されます。

(1)輸入及び製造

-輸入

製品を輸入する前に、品質安全管理機関が、特殊機器の品質に関する書類の整合性を認証するために検査を実施。

-製造

品質安全管理機関が、製造事業体の登録を承認し、関連機関より製造許可を取得するために、検査を実施。

(2)据付、補修及び修理

据付、補修及び修理を実施する前に、品質安全管理機関に対して、これらの実施を申請、実施後に同機関に対して、報告及び検査の実施を要請。検査に合格した場合、「品質安全保証書(Standard Certification )」が発行されます[3]

(3)定期保守点検

据付及び補修サービスを受けた特殊機器に対して、年間1回の検査を実施。

(4)抜打ち検査

事前に通知することなく、要請に応じて検査を実施。

4. 「品質安全保証書(Standard Certification )」の発行について

「品質安全保証書」の発行を受けるためには、使用を開始する30日前に、以下の書類を揃えて、申請する必要があります(合意第10条、18条4項)。

(1)申請書

(2)企業登録証、事業許可証等の写し

(3)特殊機器の輸入に関連する書類の写し

(4)外国から特殊機器を輸入した場合、製造元が発行する品質保証書(発行後6カ月以内)

品質安全管理機関は、書類を受領後3営業日以内に、検査チームを編成し、検査日を決定します。

検査終了後、品質に問題ないことが確認された後、5営業日以内に「品質安全保証書」が発行されます(合意第11条)。

なお、同保証書の発行にかかる費用は、「手数料及びサービス料に関する国家主席令」に従うとありますが(合意第14条)、同法令には、「品質検査にかかる費用は、検査担当の機関の実費とする(36ページ)」と記載されているのみで、費用がどのくらいかかるのか、不明な状態となっています。

また、有効期限については、同合意には、明示されていないものの、上記3の(3)の定期保守点検の期間が1年に1回と規定されていることから、有効期間は、1年間と推察されます。更新する場合は、有効期限が切れる1か月に、サービスの提供者又は特殊機器の所有者が申請する必要があります(合意第18条)。

5. 「据付、補修及び修理実施許可証」について

据付、補修及び修理サービスを提供するものは、同実施許可証を取得するために、以下の書類を揃えて、品質安全管理機関へ提出します(合意第12条)。

(1)据付、補修及び修正実施許可証発行申請書

(2)事業体の体制図

(3)企業登録証の写し

(4)従業員の社会保障カードの写し

(5)取り扱う特殊機器の据付、補修、修理に関する技術者の資格又は技術証明証

(6)事業実施における安全基準に関する規定

必要な書類がすべて揃ってから、3営業日以内に品質安全管理機関は、サービスの提供者の事務所を視察する検査チームを編成し、視察日を決定します。品質安全管理機関は、視察を実施してから遅くても5営業日以内に、結果に基づき、「据付、補修及び修正実施許可証」を発行します。条件を満たさない場合、改善策について指示書を発行し、再検査を実施します(合意第13条)。

これまで、例えば、エレベーターの据付、修理等のサービス業者は、企業登録後、事業許可証を取得しなくても、同サービスを提供することが可能でした。しかしながら、今後は、同許可証を取得することが義務付けられたと理解しています。

6. 留意事項及び禁止事項

・特殊機器の使用途や注意事項に関する表示はラオス語で記載される必要があり、このような表示や品質安全管理機関が発行する品質保証のマークは、よく見える外側に張り付ける必要があります。輸入品の場合、ラオス語訳は、元の言語と内容が一致している必要があります(第7条)。

・ラオス政府からの品質安全保証書がない特殊機器を使用することは禁止されています(第27条)

・据付、補修及び修理サービスの提供者は、緊急事態対応チームを編成することが義務付けられています(第20条)。

[1] https://laotiantimes.com/2021/03/01/government-of-laos-dissolves-ministry-of-science-and-technology/

[2] 各段階の「検査」の内容については、明記されていないため、各段階によって「検査」の意味は異なると思われる。

[3] 「品質安全保証書」を取得後、追加で同じ機器に補修等を行った場合は、その都度、品質検査を受ける必要があり、合格した場合、継続して使用することが可能(合意第18条5項)。

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)