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ベトナムにおいて不動産事業会社をM&Aする際の新たな条件について

2022年08月16日(火)

ベトナムにおいて不動産事業会社をM&Aする際の新たな条件についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

ベトナム 不動産事業会社をM&Aする際の新たな条件

 

ベトナム 不動産事業会社をM&Aする際の新たな条件

2022年8月11日
One Asia Lawyers ベトナム事務所

 

 2022年3月1日より、不動産事業法の施行細則となるDecree No.02/2022/ND-CP(以下「政令第2号」といいます)が施行された影響か、不動産事業法におけるM&Aの手続において従来とは異なる条件が付されています。

 本条件は、不動産事業を行う会社を日系企業がM&Aする際、特にスケジュール面において大きな影響を及ぼす可能性があるため、以下概要をご紹介いたします。

1 M&A承認とは

 ベトナム企業をM&Aによって取得する場合に特徴的な制度として、投資法26条2項に定める以下の基準を満たす場合、当該M&Aについて地方の計画投資局(Department of Planning and Investment: DPI)へ登録する手続(以下「M&A承認」といいます)が挙げられます。

【M&A承認が要求されるケース】

①条件付き投資分野を含む事業を行う対象会社の株式・持分を取得し、結果として対象会社の外国投資家の出資比率が増加する場合

②対象会社の株式・持分を取得し、結果として対象会社の外国投資家の出資比率が50%を超える場合

③対象会社が国防・治安維持に影響する地域などの土地使用権証明書を保有する場合

 日系企業がベトナムにおいて不動産事業を行う会社の株式・持分を取得する場合、上記①又は②に該当するとして、M&A承認が要求されることとなるケースが多いと考えられます。

2 不動産事業を行う会社のM&A承認手続

 従来、不動産事業は外国投資家にも開放されている分野であるため、M&A承認の取得について特に困難が伴うものではありませんでした。

 しかし、最近の事例においてホーチミン市DPIは、不動産事業に関するM&A承認に関して以下の条件を課しています。

・対象会社は、その住所、営業の範囲・方法、外国人投資家に適用される投資条件を充足していること(もしあれば)について具体的に説明すること
・2022年4月19日付人民委員会による安定的かつ健全な不動産市場の発展に関する首相の指示に関するConfidential official dispatch No. 371/UBND-D第4項・第5項に基づいて、人民委員会から与えられた指示に従い、不動産事業の分野におけるマネーロンダリング、移転価格、脱税、不動産取引の現金での支払い、その他関連する申請書類に関して、ベトナム国家銀行(以下「SBV」といいます)の意見をM&A承認を申請する前に取得しなければならない

 特にDPI承認を申請する前にSBVの意見を取得することについて、SBVの回答期限が明確にされていないため、不動産事業会社をM&Aする際のスケジュールに大きな影響を与える可能性があります。

 上記の点を考慮し、不動産事業会社をM&Aする際のスケジュールについては慎重に検討する必要がある点にご留意ください。

以上