ラオスにおける名誉市民について
ラオスにおける名誉市民についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
→名誉市民について
ラオスにおける名誉市民について
2022年9月29日
One Asia Lawyers ラオス事務所
1.背景
2018年にラオス国籍に関する法律が改正され(詳細は、2018年3月20日付ニュースレターを参照ください)同法第4条では、ラオスの発展に大きく貢献し、国を守る責務を果たした外国人には、優先的にラオス国籍が認められることが規定されています。
今回ラオス政府は、名誉市民として認められた外国人[1]に対しては、ラオス国籍に変えなくても、永住権を与えることなどを規定した首相令「ラオスにおける名誉市民に関する首相令(No279)(以下、首相令)」を2022年8月9日付で発行、同年10月1日より施行されます。
どのような条件を満たすと、名誉市民の称号が与えられるのか、また、名誉市民と認められた場合、どのような優遇を受けるられるのか、その特権等を中心に解説いたします。なお、同首相令は、ラオスに現在居住していない外国人も対象となっています。
2. 名誉市民となるためには
首相令第7条によると、以下の通り、前提と条件があります。条件のうち、どれか一つを満たす必要があります。
(1)前提
①自発性があり、名誉市民申請書を提出した時点で18歳以上であること
②ラオスの憲法、法律、規律を順守していること
③健康であること、重度の感染症を患っていないこと、麻薬中毒でないこと
(2)条件
①ラオスの経済社会の発展に多大なる功績を残していること
②博士号以上の専門性を有している者、教授、学者及びラオス政府が必要としてい る特定の能力を有している者
③名誉市民申請前にラオス政府が必要としている事業において成功をおさめている 投資家で、ラオスの経済社会の発展のために、ラオス政府に対して500,000米ドル以 上を投資しており、かつ、1,000,000米ドル以上の資本金をラオスへ輸入しているこ と。
3. 名誉市民申請に必要な書類
名誉市民申請に必要な書類は以下の通りです(首相令第7条)。
(1)申請書
(2)投資家の場合、ラオス中央銀行発行の資本金輸入証明書
(3)ラオス治安維持省が承認した履歴経歴書
(4)ラオス政府(関連省庁機関)が発行したラオスの経済社会発展への功績を称える賞状
(5)身分証明書又はパスポートの写し
(6)住所証明書
(7)申請者の国が発行した無犯罪証明書
(8)健康診断書
(9)顔写真 6枚(背景白、3㎝×4㎝、3か月以内に撮影)
上記、すべての書類はラオス語で準備する必要があり、外国語の場合は、ラオス語に翻訳したうえで、申請者の国のラオス大使館(領事館)又はラオスの公証役場で翻訳認証を行う必要があります。
4. 名誉市民の特権
名誉市民の称号が与えられた外国人が有する権利が首相令第14条に規定されていますが、その中でも、優遇される点は以下のとおりです。
(1)査証を取得することなくラオスへ複数回出入国が可能
(2)永続的にラオスに居住することが可能
(3)政府の土地のリース又は土地コンセッション又は政府の期限付き分譲地使用権の購入又はラオス国籍者が所有する土地の使用権のリースが可能
上記(3)の土地に関しては、名誉市民ではない外国人であっても同等の権利を有していますが、詳細は明記されていませんが、土地をリースする場合、期限の制限がないことは、特権といえるかもしれません(通常は、50年又は30年の期限付きですが更新可)。
5. 名誉市民の称号取り消しについて
以下の行為を行った名誉市民は、その称号が取り消されます(首相令第17条)。
(1)ラオスの利益に重大な損害をもたらした場合
(2)故意の犯罪に対して、ラオスの人民裁判所より、自由剥奪刑を判決を受けた場合
(3)首相令の第18条に規定する禁止事項のいずれかに違反した場合
(4)自身により名誉市民の称号取り消しを要求した場合又は関係機関により称号取り消しの要求があった場合
[1] ラオス国籍以外の国籍を保有し、ある任務のため、契約に基づき、又は期限付きで、一時的ないし長期的に滞在している人。外務省又は関連する機関の管理下にある。
以 上
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