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インドネシアにおける就労期間が6ヶ月未満の外国人労働者に対する保険制度登録の義務化について

2022年11月14日(月)

インドネシアにおける就労期間が6ヶ月未満の外国人労働者に対する保険制度登録の義務化についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

就労期間が6ヶ月未満の外国人労働者に対する保険制度登録の義務化について

 

就労期間が6ヶ月未満の外国人労働者に対する保険制度登録の義務化について

2022年11月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士  馬居 光二
インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

1.はじめに

 2022年5月23日、人材配置開発・雇用機会拡大局長決定No.3/144/PK.04/V/2022(以下、「本件決定」)が発布されました。本件決定は、インドネシアで働く6ヶ月未満の外国人労働者/Tenaga Kerja Asingの雇用主に対して、外国人労働者の保険制度への加入を義務付けるものです。

 従来、外国人労働者の活用に関する政府規則2021年34号(以下、「GR 34/2021」)第8条では、就労期間が6カ月未満の外国人労働者のうち、保険会社で働く外国人労働者に対する強制保険制度が規定されておりました。

 本件決定の発行により、上記保険制度が全ての就労期間6ヶ月未満の外国人労働者の雇用主である会社にも適用されることとなりました。

2. 本件決定のポイント

本件決定により、インドネシア政府は、短期労働目的で外国人労働者を雇用する雇用主に対して、保険制度への登録義務を規定しております。

本件決定に基づく重要なポイントは以下の通りです。

・外国人労働者の保険制度の種類

 外国人労働者の保険制度は、労働災害保険/Jaminan Kecelakaan Kerja(JKK)、健康保険/ Jaminan Kesehatan(JKS)、死亡保険/ Jaminan Kematian(JKM)で構成されています。

 外国人労働者の雇用主は、就労期間6カ月未満の外国人労働者を、金融庁から、すでに保険商品ライセンスを得ている保険会社の外国人労働者向け保険プログラムに登録するとされております。

・保険プログラムの補償給付

 就労期間6ヶ月未満の外国人労働者の保険金額は、本件決定別紙で以下のように規定されています。

a. JKM: 死亡保険金額:i) 死亡保険金200,000,000 ii) 遺体の本国送還 最大Rp.25,000,000

b. JKK: i) 死亡保険金額200,000,000 ii) 後遺障害保険金額 Rp.200,000,000

c. JKS: 最大25.000.000の入院と治療のリスクを伴う被保険者総額

d. JKK: 緊急医療搬送および本国送還のリスクに対する保険金額、最大USD1,000,000

・保険料

 本件決定別紙に定める就労期間6ヶ月未満の外国人労働者の保険料は、次のとおりです。

(i)  Rp 762,000(約USD 51.06)/1ヶ月(30日間)

(ii) Rp 1,715,000 (約 166.05 米ドル)/ 3 ヵ月(90 日間)

(iii) Rp 2,477,000(約166.05米ドル)/6ヶ月(180日間)

3.本件決定の実施日

 本件決定は、2022年7月1日以降の就労期間6ヶ月未満の外国人労働者に対する外国人労働者雇用計画/Rencana Penggunaan Tenaga Kerja Asing(「RPTKA」)の申請に対して実施されることになります。

 なお、本件決定には、雇用主が本決定に従わない場合の制裁については記載されておりません。

 また、2022年9月1日以降のRPTKAの申請において、雇用者は、外国人労働者の社会保障に関するオンラインポータルサイトであるASTAKAポータルを通じた登録が必要とされております[1]

4.結論

 本件決定は、就労期間6ヶ月未満の外国人労働者に確実な保険保障を提供する点を趣旨としていると考えられます。本決定により、インドネシアで働くすべての外国人労働者は、JKM、JKK、JKSの保険に加入する必要があることになります。

 本件決定は、まだ運用が開始して間がないところ、今後も継続して実務の対応を注視していく必要があると考えられます。

[1] Astaka [website], https://astaka.id/faq (accessed on November 10th, 2022)