ラオス: 工場操業違反者に対する罰則規定について
ラオス: 工場操業違反者に対する罰則規定についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
→工場罰則規定について
ラオス: 工場操業違反者に対する罰則規定について
2023年8月12日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所
1.背景
ラオスにおいては「工業加工法」が2013年に制定され、その他、加工工場関連では、2022年8月に農作物加工工場に関する合意が発行されています(詳細は、ニュースレターを参照ください)。
工業加工法では、工場設立や運営に関する違反者に対する罰則の規定については、民事上の損害賠償、労働安全基準違反による刑事上の処分及び工場の一時停止、工場操業許可の取り消しとあるのみで、具体的な違反内容については記載されていません。そのため、罰則の適用の範囲が曖昧であったり、労働環境の安全性、環境汚染等が問題となっていました。
商工業省は、2023年8月2日付で「工場操業違反者に対する罰則規定に関する合意(No1233)(以下、合意)」を発行し、その中で違反とみなされる行為15項目及び罰金の額を定めました。違反者に対して、罰則が科せられる根拠を示することが可能となり、全国統一的に運用されることになります。
2. 工場操業規定違反行為について
合意第5条によると、法令違反であるとみなされる行為は、以下のとおり15項目あります(以下、違反行為)。
(1)許可を得ずに、工場を設立、移転、操業及び拡張すること
(2)設定した場所以外で工場を設立又は許可されていない禁止エリアで設立すること
(3)企業登録書を取得していないで家族経営の工場を設立すること(企業登録が必要な分野の事業の場合)
(4)郡や市の商工業事務所に通知していないで家族経営の工場を操業すること
(5)工場の規模を超えた機械の設置又は許可を得ずに機械を移動させること
(6)許可を得ずに、工場の名前の変更、譲渡、売却、操業者の変更すること
(7)工場操業許可証で認められていない事業活動を実施すること
(8)許可を得ずに、原材料、機械、工具、又は外国人労働者を使用すること
(9)許可を得ずに、危険化学物質を輸入又は工場内で使用すること
(10)当局の命令に従わない又妨害すること、例えば、操業を停止するために当局が取り付けたロックやチェーンを外す行為
(11)技術的基準証明書を取得する前に、廃棄物処理のためのシステムを建設、改造又は機械を設置すること
(12)法令に準じた適切な処理をせずに汚染物質や廃棄物を排出すること
(13)工場の技術基準に従わないこと
(14)有効期限を過ぎて、工場操業許可証を更新すること
(15)有効期限が切れた工場操業許可証を使用すること
3.違反行為に対する罰金の額について
合意第5条に規定の違反行為15項目に対して、それぞれ工場の規模に従い、罰金の額が下記の表の通り設定されています(合意第6条から第20条)。
単位:ラオスキープ/回
合意第5条の違反行為 |
工場の規模 |
||
大 |
中 |
小 |
|
(1) |
15,000,000 |
10,000,000 |
5,000,000 |
(2) |
15,000,000 |
10,000,000 |
5,000,000 |
(3) |
|
|
2,000,000 |
(4) |
|
|
1,000,000 |
(5) |
6,000,000 |
4,000,000 |
2,000,000 (家族経営も含む) |
(6) |
3,000,000 |
2,000,000 |
1,000,000 |
(7) |
9,000,000 |
6,000,000 |
3,000,000 |
(8) |
6,000,000 |
4,000,000 |
2,000,000 |
(9) |
15,000,000 |
10,000,000 |
5,000,000 |
(10) |
6,000,000 |
4,000,000 |
2,000,000 |
(11) |
7,000,000 |
5,000,000 |
3,000,000 |
(12) |
20,000,000 |
15,000,000 |
10,000,000 (家族経営も含む) |
(13) |
7,000,000 |
5,000,000 |
3,000,000 |
(14) |
3,000,000 |
2,000,000 |
1,000,000 |
(15) |
15,000,000 |
10,000,000 |
5,000,000 |
1,000,000キープ=約7,500円(2023年8月時点)
なお、 合意第5条の違反行為(1)から(15)に対して、違反を2回繰り返した場合、上記の表の2倍の罰金が科せられます。3回目は、5倍の罰金及び大、中及び小規模の工場については、工場操業許可証の取り消し、家族経営の工場に対しては、工場稼働の一時停止と規定されています(合意第21条)。また、徴収した罰金の60%は、政府の歳入となり、40%は技術者の収支に充てられます(合意第22条)。
以 上
本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)