フィリピン:不動産投資に関する証券を発行する際のガイドライン SEC Memorandum Circular No. 12 s. 2024
フィリピンの不動産投資に関する証券を発行する際のガイドライン SEC Memorandum Circular No. 12 s. 2024に関するニュースレターを発行いたしました。こちらの内容は、以下のリンクよりPDF版でもご覧いただけます。
→不動産投資に関する証券を発行する際のガイドライン SEC Memorandum Circular No. 12 s. 2024
不動産投資に関する証券を発行する際のガイドライン
SEC Memorandum Circular No. 12 s. 2024
2024年11月
One Asia Lawyers Philippines Team
日本法弁護士 難波 泰明
フィリピン弁護士 大場 正巳
1.はじめに
証券規制法(SRC;共和国法第8799号)は、証券に関する完全かつ公正な情報開示を確保し、それに関連する詐欺的行為を最小限に抑えることを目的として制定されました。この目的に沿って、SRCは、証券取引委員会(SEC)から適切な登録を取得することなくフィリピン国内で証券を販売または配布することを規制し、さらに、証券発行者に対して情報開示義務およびその他の義務を課しています。
SECは、SRCが定める目的をより推進するため、SEC Memorandum Circular No. 12 s. 2024を発行しました。この通達は、不動産に関連する非典型証券(RENT)における資本調達および拡大に関するガイドラインを提供するものです。RENTとは、レンタルプール契約に関連して、不動産開発業者または管理者が発行する投資契約、参加証明書、利益分配契約、その他の形態の証券を指します。
利益分配契約スキームやそれに類似する不動産関連の企業は、このガイドラインに注意を払う必要があります。
2.レンタルプール契約の定義及び本ガイドラインの適用範囲
「レンタルプール契約」とは、「申請者がコンドミニアム、ホテル、リゾート、寮などの不動産プロジェクトのユニットを購入希望者に販売または提供し、購入者がそのユニットを申請者または第三者である運営者が管理・運営するレンタルプールに、任意か否かを問わず参加し、購入者は、通常、第三者へのユニットの賃貸によって得られる収益をもとに、合意された条件に基づいて利益を受け取る権利を有する投資契約」を指します。
上記の定義に該当する契約には、このガイドラインが適用され、フィリピンのコンドミニアムやリゾートホテルなどへの投資契約で、当該ユニットの賃貸運用を依頼する契約はこれに該当します。
3.RENT発行者の要件
SECは、レンタルプール契約に関連する不動産開発業者または管理者に対して、以下の要件を課しています。
1) 事前申請
登録申請書を提出する前に、SECからの承認を取得する必要があります。これには、独立取締役の資格確認やその他一般的なSEC報告要件の遵守が含まれます。
2) 財務情報および開示
SRC規則第68条およびフィリピン財務報告基準に従って財務情報と開示を行う必要があります。
3) 申請に関する遵守
登録料の支払い、会社のウェブサイトへの目論見書の掲載など、追加の適用要件を満たす必要があります。
4) 報告要件
登録申請が有効となった後、登録者は以下のデジタルコピーをSECに提出し、公式ウェブサイトにアップロードする必要があります。
-
- 月次報告書(その月に販売された株式数、および募集開始以降に調達された総額の現在残高等)
- 年次、四半期、現在の報告書(SRC IRR第17条)
- 取締役、役員、主要株主による報告書(SRC IRR第23条)
- 監査済み財務諸表、一般情報シート、取締役評価またはパフォーマンス報告書および基準(改正会社法(RCC)第177条)
なお、レンタルプール契約に関連する登録者に引受契約は必要ありません。
4.継続的な募集および販売(シェルフ登録)
証券は、初回シェルフ登録の有効日から3年以内に、複数に分割して発行することが可能です。(例:複数のバッチまたは段階的発行)
これらの場合、SEC覚書通達は、更新された目論見書やクリアランスの提出など、追加の要件も規定しています。
5.まとめ
不動産関連活動を行い、レンタルプール契約に該当するSEC-RENT証券の発行を検討する場合、本ガイドラインが定める登録要件を遵守することが重要です。
一方で、レンタルプール契約に該当するSEC-RENT証券に投資を検討している潜在的な投資家は、登録者が報告書や要件を公式ウェブサイトにアップロードすることが義務付けられているため、これらの公表物を確認し、投資前に十分なデューデリジェンスを実施することが推奨されます。
≪ 前へ |