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ラオスにおける工業地域について

2025年07月30日(水)

ラオスにおける工業地域についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
工業地域について

ラオスにおける工業地域について

                                     2025年7月30日

                           One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景

現在、ラオスには12の経済特別区(以下、「SEZ」)が設けられています。その中で「工業地域」という名称が付いているのは、「Vientiane Industry and Trade Area(VITA Park)」です。VITA Parkは、ヴィエンチャン市中心部から約22kmの場所に位置しており、台湾の民間企業が70%、ラオス商工業省が30%を出資しています。現在、日本企業も複数社がこの地域内で工場を操業しています。

2025年6月6日、ラオス政府は「工業地域に関する首相令(No.33)(以下、「首相令」)」を発行し、同年7月23日から施行されました。この首相令では、工業地域は30ヘクタール以上の面積を有することが要件とされており(首相令第8条)、既存のSEZの中に工業地域を開発することも認められています(首相令第7条)。その場合には、投資奨励法およびSEZに関する法令が準用されます。

本ニューズレターでは、この首相令に基づき、工業地域で奨励される事業分野と、工業地域において、事業を行う投資家に対する税制上の優遇措置(以下「税制恩典」)について解説します。

2.工業地域における奨励事業について

工業地域では、特別奨励事業と一般奨励事業の2種類が規定されています。

特別奨励事業は以下の6分野で、詳細は商工業省が別途定めることになっています(首相令第34条)。

<特別奨励事業について>

No

事業内容

食品加工業および農産品加工

化学肥料、有機肥料、動物用飼料の製造

機械、乗り物、パーツ、部品(農業用機器も含める)の製造

電子機器、通信機器、デジタル製品、発明品、電気機器、ソーラーパネルなどの代替エネルギー関連製品製造

鉄鋼製品の製造

化学薬品、医薬品、医療機器の製造

一般奨励事業は、上記6分野以外で、投資奨励法やSEZ関連法で奨励事業として規定されているものです。これらの事業は、投資奨励法やSEZ関連法に基づき関税や税金に関する税制恩典が与えられます(首相令第35条)。

3.特別奨励事業における税制恩典について

 特別奨励事業では、以下の項目で税制上の優遇措置を受けることができます(首相令第36条)。なお、詳細については別途規定するとありますが、現時点では当該法令は確認できていません。

(1)内販売用の製造・加工に必要な原料、機器、部品を海外から輸入する場合の関税免除(輸入代替目的)

(2)海外輸出用製品の製造・組立・加工に使用する原料、機器、部品を一時輸入する場合の関税免除

(3)「商品リスト及び輸出関税率に関する首相令」で課税対象とされる製品の輸出関税の減税

(4)海外輸出用または国内販売用の製造・加工・組立に使用する、国内で製造できない原料・鉱物・部品の輸入にかかる付加価値税の減税

(5)工業地域内で複合加工により製造された製品の付加価値税の減税

(6)工業地域内の複合加工工程で発生する尾鉱や結晶の処理費用の軽減

(7)首相令に定める特別奨励事業および投資奨励法に定める奨励事業の法人税の減免

(8)工業地域所在エリアに応じた労働者給与所得税の減税

 4.その他の優遇措置

 上記税制恩典以外に投資家は、以下の優遇措置を受けることができます。

(1)土地使用権のリース
投資家は、工業地域の開発者から土地使用権をリースできます。リース期間中は、工業地域管理事務所の承認を得ることで、他の投資家に又貸し・譲渡・贈与・担保設定が可能です(首相令第37条)。

(2)原料や機器の保管
工業地域内に輸入した原料や機器は、自社工場の倉庫または税関倉庫に最長3年間保管できます。ただし、製造・組立・加工・梱包・修理などが完了した後は、製品を国外へ輸出する必要があります(首相令第38条)。

以 上

 

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)