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ラオスにおける医薬品及び医療機器について

2025年11月25日(火)

ラオスにおける医薬品及び医療機器についてのニューズレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
医薬品について


ラオスにおける医薬品及び医療機器について
                                                                                                                            2025 年11月24日
                                                                                            One Asia Lawyers Groupラオス事務所

1.背景
ラオスにおいて、これまで医薬品及び医療機器に関して発行されてきた主な法令は、以下のとおりです。
• 2011年12月21日付「医薬品及び医療機器法(No.07)」(以下「医薬品法」)
• 2017年8月25日付「医薬品および医療製品会社の事業設立に関する規則(No.1820)」
• 2025年4月2日付「医薬品の登録に関する保健省大臣合意(No.0622)」
2011年に発行された医薬品法が14年ぶりに改正され、2025年6月25日付で改正法が発布されました。その後、2025年10月30日に官報に掲載され、遡及して2025年8月25日から施行されています。
以下では、医薬品及び医療機器に関連する「事業許可」に関する主な改正点について解説します。
2. 医薬品及び医療機器に関連事業の種類
改正前の医薬品法では、医薬品及び医療機器に関連する事業の種類は明確に分類されていませんでしたが、改正後は、医薬品法第82条において、以下の7種類に区分されています。
①製造
②加工
③輸出入
④販売
⑤試験、実験
⑥保管
⑦その他、医薬品医療機器に関する事業

3.医薬品及び医療機器関連事業の事業許可及び要件について
(1)事業許可について
医薬品法第82条に定められた7つの事業を行うためには、まず商工業省(または商工業局)において企業登録を行い、企業登録書(Enterprise Registration Certificate)を取得する必要があります。そのうえで、保健省の管轄部署に対して、保健省が指定する申請書類に基づき申請を行い、「事業許可証(Business Operation License)」を別途取得しなければなりません(医薬品法第83条)。
なお、販売事業について商工業省国内貿易局にヒアリングを行ったところ、医薬品や医療機器は専門的な知識を要する商品であることから、「国内で販売してよいかどうかの判断は保健省に委ねる」という省内方針が存在するとの説明がありました。
また、法令上、明文で規定されているわけではなく、今後運用が変更される可能性はありますが、同局からの説明によれば、現状では、医薬品及び医療機器の国内販売については、例外的に商工業省国内貿易局から「卸・小売事業許可証」を取得しなくてもよい取扱いとなっています。

(2)事業許可書(Business Operation License)を取得するための要件(医薬品法第84条)
医薬品及び医療機器関連の事業許可証を取得するための要件について、改正前後で以下の点が見直されています。
• 改正前は、企業登録書の取得は事業許可証の要件として明示されていませんでしたが、改正により、「企業登録書を取得していること」が要件として追加されました。
• また、改正前は「経験年数が5年以上の専門家を配置すること」が義務付けられていましたが、改正後は年数要件が削除され、「医薬品及び医療機器分野において、十分な経験と知識を有する専門家を配置すること」とされました。

4.事業許可証の取得、停止、はく奪について
改正法においては、事業許可証の発行までの期間、事業が停止される場合、及び事業許可証がはく奪される場合について、新たに規定が設けられました。

(1)事業許可証の申請と発行(医薬品法第85条)
事業者が保健省の規定する必要書類を提出した場合、保健省は15日以内に事業許可証を発行するものとされています。事業許可証の有効期限については、事業の種類ごとに異なると規定されており、その具体的な期限は事業許可証に記載されています。

(2)事業の停止について(医薬品法第86条)
以下の場合、事業は停止となります。
• 事業者が自ら事業の停止を要請した場合
• 許可を得た事業内容とは異なる事業を実施していた場合
• 法律や規則に違反し、健康、環境、社会経済に対して軽微な損害を与えた場合
また、事業者が保健省からの勧告に対して改善措置や是正措置を講じない場合、保健省は事業の停止を命じることができます。

(3)事業許可書のはく奪について(医薬品法第87条)
以下の場合、事業許可証ははく奪されます。
• 事業停止命令に従わなかった場合
• 法律や規則に違反し、健康、生命、環境、社会経済に対して多大な損害を与えた場合
保健省は事業許可証をはく奪した場合、はく奪日から5営業日以内に、商工業省(局)及び関係省庁に対して通知を行う義務があります。

5.事業者の責務について
事業者の責務については、医薬品法第92条及び第93条に新たに規定が設けられました。
主な内容は以下の通りです。
• 事業者は、高い倫理観を持ち、関係法令を遵守する義務を負うこと。
• 品質、有効性、安全性に問題が生じた場合には、情報提供、自主回収、廃棄等の適切な措置を講じる必要があること。
• 事業者は、医薬品及び医療機器に関連する業界団体・協会に加入する義務があること。

なお、伝統的医薬品を含むすべての薬剤について、オンラインでの販売は禁止されています(医薬品法第94条)。


以 上

 

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)