インドネシア:有限責任会社の設立、変更、解散に係る要件及び手続に関する法務大臣規則2025年49号の施行
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有限責任会社の設立、変更、解散に係る要件及び手続に関する法務大臣規則2025年49号の施行
2026年1月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士 馬居 光二
インドネシア法弁護士 Prisilia Sitompul
1. はじめに
2025年12月11日、インドネシアの法務省は、株式会社の法人設立、変更及び解散に係る要件及び手続に関する法務大臣規則2025年49号(「MOL 49/2025」)を制定し、12月17日に公布・施行しました。本規則により、これまで有限責任会社(Perseroan Terbatas / PT)の設立・変更・解散に関する手続の根拠となっていた法務人権大臣規則2021年21号(MOLHR 21/2021)は廃止されます。
本規則は、会社法の基本構造自体を変更するものではないものの、実務フロー、申請方法、審査期限、個人事業主(Perseroan Perorangan)の取扱いなど、企業の法務・コーポレート管理に直接影響する重要な内容を含んでおります。
本ニュースレターでは、企業が特に留意すべきポイントを整理いたします。
2. MOLHR 21/2021からの移行
MOL 49/2025の制定により、MOLHR 21/2021は廃止され、今後のPTの設立・変更・解散に関する行政手続は、すべて新規則に基づいて行われることになります(33条)。
3. SABH(法人管理システム)の利用を改めて規定
MOL 49/2025は、設立、定款変更、会社データ変更、解散について、法人管理システム(Sistem Administrasi Badan Hukum/SABH)を通じた電子申請が原則であることが改めて明確化されました(7条、10条、29条)。
こちらについては、従前の運用を改めて規定するとともに、SABHを通じた法務省による一元管理を企図していると考えられます。
実際に、本規則に先立って法務省から特定の会社の行為に関する公正証書(Deed)の登録について、当事者による承認手続きを含めて新たな運用が開始されております。
4. 審査期限の明確化
MOL 49/2025は行政および申請者の手続きに関する期限を明文化して規定しております。例えば、定款変更や会社データ変更の申請については、法務省が申請受領日から14営業日以内に審査を行うことが定められています(13条3項)。
また、不備がある場合には、
・補正のための期限が設定され
・期限内に対応がなされない場合、申請が却下される可能性があります
5. 例外的な非電子申請の位置づけ
SABHによる電子申請が原則である一方、MOL 49/2025では、特定の例外的状況において非電子申請が認められることも明記されています(30条)。
具体的には、
・地方政府の公式発表に基づくインターネット障害
・大臣の発表によりSABHが正常に機能しない場合
このような状況下では、公証人が非電子的に申請を行うことが可能とされています。
6. 年次報告
MOL 49/2025は各会社が作成する年次報告書について、SABHを通じた提出義務を規定しております(16条)。年次報告書は、年次株主総会において提出されていたところ、これまでは、法務省への提出は必須とはされておりませんでした。
本規則の施行により、上記年次報告書のSABHを通じた法務省への提出が明記されたところ、今後はすべての企業が年次株主総会をDeed化した上で、公証人を通じてSABHへアップロードする形で法務省へ提出する必要が生じると考えられます。当該提出がない場合、行政上の制裁(書面による警告、SABHへの今後のアクセス停止を含む)が科される可能性がある点に留意が必要です(17条)。
7. 結論
上記のように、MOL 49/2025は、会社法に規定された制度自体を変更するものではない一方で、これらの手続きに対する大きな影響を与えるものとなっております。同規定は事前に公証人や各企業に周知徹底されていなかったこともあり、現時点でも、運用について必ずしも明確でない点が多く残っております。したがって、今後の手続きについては、現地法律事務所及び公証人と密に連携を取りつつ進める必要がございます。

