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ラオスにおける紙幣管理について

2026年03月11日(水)

ラオスにおける紙幣管理についてのニューズレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
紙幣管理について


ラオスにおける紙幣管理について
                                                                                                                            2026 年3月11日
                                                                                            One Asia Lawyers Groupラオス事務所

1.背景

ラオスの通貨であるキープは紙幣のみが流通しており、硬貨は存在しません。そのため、日常のあらゆる取引で紙幣が繰り返し使用されますが、流通している紙幣の多くは、しわや折り目が激しく、汚れ、落書き、破損が見られる状態にあります。

市場等では、肉や魚を扱った手で紙幣を受け渡すことも珍しくなく、血や油で汚れた紙幣、セロテープで補修された紙幣が流通しているのが実情です。

このような状況から、店舗や事業者が著しく汚損・破損した紙幣の受取りを拒否するケースも生じており、決済の円滑性や通貨としての信用の低下が問題視されてきました。

こうした背景を受け、ラオス政府は、紙幣の適正な管理と通貨秩序の維持を目的として、2025年12月31日付で「紙幣管理に関する首相令(No.854)」(以下「本首相令」)を発行し、2026年2月20日から施行しました。本首相令により、紙幣の取扱いは単なるマナーの問題ではなく、法令遵守事項して位置付けられました。

本首相令では、紙幣の適正な使用・管理、禁止行為と罰則等について、具体的な規定が設けられています。以下では、実務上、特に重要な点を中心に解説します。

2.紙幣の適正使用義務(第11条)

個人、法人および団体は、紙幣を良好な状態に保つ義務を負います。
具体的には、以下の行為が求められています。

・紙幣を折り曲げる、ホチキスで閉じる、穴を開ける、書き込むなど、劣化につながる行為を行わないこと

・紙幣を整えて、乾燥した、清潔かつ安全な場所に保管すること

日常的な取扱いであっても、紙幣の状態を損なう行為は規制の対象となり得る点に注意が必要です。

.「損傷紙幣」の定義(第12条)

本首相令では、流通に使用された紙幣で、以下のいずれかに該当するものを「損傷紙幣」と定義しています。

・老朽化、汚れ、深い折り目、または全部もしくは一部が破れているもの

・シロアリ、化学物質、油、塗料、火災等により、ロゴや表示が消失・不鮮明・変形しているもの

・切り取り、穴あけ、傷、接着、テープによる補修が施されているもの

・その他、ラオス中央銀行が定める形状を有するもの

市場等で一般的に見られる状態の紙幣も、これらに該当する可能性があります。

.損傷紙幣の交換制度(第13条)

流通に使用できない損傷紙幣を所持している場合、商業銀行またはラオス中央銀行指定の場所において、新紙幣との交換が可能です。

主なポイントは以下のとおりです。

・交換額は当該紙幣の全額

・交換は無料(手数料・サービス料の徴収は禁止)

・交換には以下の条件を満たす必要あり

・残存部分が50%以上であること

・つなぎ合わせた場合に同一紙幣と確認できること(残存部分が50%または50%以下の場合を含む)

・その他、中央銀行が定める条件を満たすこと

交換手続の詳細は、ラオス中央銀行の規則に委ねられています。

.一般禁止事項(第22条)

本首相令では、以下の行為が明確に禁止されています。

  • 規定額を超える紙幣[1]を、税関での届出又はラオス中央銀行からの許可を取得しないで国外へ持込み・持出しする行為
  • 営利目的での新紙幣の販売・交換のための持込み
  • 紙幣の偽造、偽造機器の製造・宣伝・配布
  • 偽造紙幣の使用
  • 紙幣を切る、破る、穴を開ける、描く、書く、儀式に使用するなど、紙幣を破壊または品質を低下させる行為
  • 紙幣の価値を損なう行為(踏みつける等)
  • 偽造紙幣に関する情報を警察・銀行等へ通報しない、又は協力を拒否する行為
  • その他、法令違反行為
  • .罰則規定(第34条)

指導を受けた後も違反を継続した場合、以下の過料が科されます。

  • 新紙幣を営利目的で販売・交換するために持ち込んだ場合
     → 1回につき 5,000,000キープ(約35,000円)
  • 紙幣の価値を損なう行為(踏みつけ等)
     → 1回につき 5,000,000キープ
  • 商業銀行において損傷紙幣の交換を拒否した場合
     → 1回につき 10,000,000キープ
  • 商業銀行において損傷紙幣の交換に際し、手数料やサービス料を徴収した場合
     → 1回につき 10,000,000キープ

[1]2026年3月時点において、限度額は、150,000,000キープ又は相当(約110万円)( 2023年7月13日付ラオス中央銀行発行「ラオスへの現金の持込及び持出に関する告知(No14 )/BOL」)

 

以上

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

 


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