アフリカ:(第15回)イギリスでアフリカ社会と法を学ぶ アフリカで「人権」という概念について考える(1)
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(第15回)イギリスでアフリカ社会と法を学ぶ
アフリカで「人権」という概念について考える(1)
2026年 5月
One Asia Lawyers Group
原口 侑子(日本法)
アフリカの方と社会を考えるにあたって外せないのが開発の視点である。開発というとすぐに連想される経済的な発展だけでなく生活の向上といった社会開発の分野も避けて通れない。そこでいつも出てくるのが西洋発の概念「人権」である。
人権はその性質の中に普遍性を含むが、では「人権」という概念は本当に普遍的なのか?しょせんは輸入品なのか?それとも違う形で地域に根付いた/根付きうる規範と言えるのだろうか? この問いは、「法人類学」の分野に「人権の人類学」というカテゴリーがあるくらいには議論の対象になっている。
この分野では人権はこれまで、グローバルな理念とローカルな規範との二項対立として議論されてきた。その中で今では、本当にローカルな規範と対立しているのかという点が問い直され、さらには国内法を通じてローカルな規範に置き換えられることが可能なのかという議論も起こっている。
法人類学は、実際のフィールドで起こっていることを観察する分野である。では今、「人権」が議論されているフィールドはどう評価されているか。この領域は、アクティビストたちが地域の法制度とクロスボーダーな概念の世界との間を仲介する場であり、あるいはグローバルな概念を地域に「翻訳」し、地域の規範をグローバルな文脈に「再翻訳」する場であるともいわれている。人権の目標は開発の多くの分野で追求されており、そこでは政府やNGOの目標に賛同するアクターが「実践のネットワーク」に参加し、「意味を翻訳」することで、対象コミュニティにおけるより予測可能な介入を形成している。では、「人権」という概念を「翻訳」する者たちは、そもそもどのようなギャップを埋めているのだろうか?「人権」概念を翻訳可能な対象として、また翻訳可能なプロジェクトとして捉えることは、依然として新しい現象である。
参考文献
Koster, M., and van Leynseele, Y. (2018). Brokers as Assemblers: Studying Development Through the Lens of Brokerage. Ethnos, 83(5), 803–813.
Merry, S. E. 2006. Transnational Human Rights and Local Activism: Mapping the Middle. American Anthropologist 108(1):38– 51.
Lewis, D. and Mosse, D. 2006. Development brokers and translators: the ethnography of aid and agencies. Bloomfield, Kumarian Press.

