タイ:自動車およびオートバイの割賦販売およびリース事業に関する新規則
タイにおける「自動車およびオートバイの割賦販売およびリース事業に関する新規則」に関するニュースレターを発行いたしました。こちらの内容は、以下のリンクよりPDF版でもご覧いただけます。
→自動車およびオートバイの割賦販売およびリース事業に関する新規則
自動車およびオートバイの割賦販売およびリース事業に関する新規則
2026年6月8日
One Asia Lawyersタイ事務所
藤原 正樹(弁護士・日本法)
マーシュ 美穂
2025年6月5日、「金融機関事業法(2008年)に基づき、自動車およびオートバイの割賦販売およびリース事業を同法の適用対象事業と定める勅令(2025年)」(以下「本勅令」といいます。)が公布され、官報に掲載されました。本勅令は、自動車およびオートバイの割賦販売およびリース(以下「自動車リース事業」といいます。)を規制するものであり、2025年12月2日に施行されました。これに続き、「自動車およびオートバイの割賦販売およびリース事業の実施に関する基準、方法および条件の決定に関するタイ中央銀行通知第55/2568号」(以下「本通知」といいます。)が発出され、2026年6月1日に施行された一部の条項を除き、2025年12月3日に施行されました(以下、本勅令及び本通知を総称して「自動車リース規制」といいます。)。
本ニュースレターでは、自動車リース事業における主要な義務を中心に、企業の皆様が自動車リース規制に適合し、その運用を十分に有効なものとするための実務的な指針を解説いたします。
1. 自動車リース規制の概要および適用範囲
タイ中央銀行は、自動車リース事業が消費者向けの重要な金融サービスであり、経済全体にも影響を与えることから、透明性の確保と消費者保護のため、商業銀行以外の事業者にも広げました。
本通知は、自動車リース事業を通常の業務として行うすべての事業者(銀行、金融機関、金融グループ会社など)に適用され、個人は対象外となります。 自動車リース規制は、契約前から契約の履行、支払困難時、法的対応に至るまでの全過程において、顧客を公正かつ透明性のある方法で適切に取り扱うための基本的なルールを定めています。また本規制は、事業者に対し、不当なサービスの提供を避け、適切な助言や公正な価格設定、分かりやすい情報提供、利用しやすいアフターサービスを行うことを求めることで、顧客保護を重視しています。
2.規制の主な変更点
本規制のポイントは、対象事業者の範囲が拡大されたことに加え、契約条項だけでなく業務運営全体が監督対象となった点にあります。
従前、自動車の割賦販売事業は、消費者保護法に基づく「契約委員会通知:自動車およびオートバイの割賦販売事業を契約管理事業として指定する件」(以下「契約通知」といいます。)のみを遵守すれば足りるとされていましたが、現在は二重規制となっており、自動車の割賦販売事業者は、自動車リース規制と契約通知の双方を遵守する必要があります。
また、自動車リース規制は、これまで対象外であった事業用車両などの商業目的の取引やリース事業にも適用範囲を拡大しています。さらに、契約通知が主に契約内容に着目しているのに対し、自動車リース規制は、業務運営や事業全体のプロセスを対象としている点に特徴があります。
3. 事業者に課される主な義務
本勅令は、事業者が守るべき基本的なルールを定めており、具体的にどの範囲まで遵守が求められるかは、本通知の別紙1に定められた事業の種類、顧客の種類および利用目的によって決まります。 自動車リース規制の下では、金融機関でない事業者にも、例えば以下のような法令上の義務が課されます。 – タイ中央銀行への登録(本人確認含む) – 業務実績および財務状況を示す会計記録の作成 – 事業や資産・負債に関する記録、帳簿、書類等の保存 – 最高経営責任者の変更について30日以内の報告 – 所定の報告書の提出 – 本通知別紙4に基づく公正かつ適切なサービスの実施(広告、商品開発、販売、アフターサービス、顧客対応、法的手続、データ管理、苦情対応を含む)
4. 顧客対応・契約実務に関する主な遵守事項
本通知は、顧客との取引や事業運営について、事業者が守るべき最低限のルールを定めています。具体的には、手数料の計算方法、金利の上限、頭金や担保、契約内容、期限前返済(口座解約)の取扱い、事業者情報の開示、外部委託のルールなど、自動車リース事業に関する幅広い事項が含まれています。
基準の具体例として、事業者には以下のような対応が求められます。
– 金利や手数料、違約金については、二重請求を避け、実際にかかるコストに見合った公正な水準で設定すること
– これらの内容を、正確かつ分かりやすく顧客に開示し、必要に応じて提示できるよう記録を保存すること – 契約終了前には、実際に発生した合理的な費用に基づく返済スケジュールを提示し、当該費用は金利や違約金とは別に手数料として扱うこと
– 実効金利の上限を以下のとおり遵守すること
• 新車:年率10%以下
• 中古車:年率15%以下
• オートバイ:年率23%以下 – 延滞利息は年率5%を超えないこと
– 契約には、口座解約や早期終了に関する条件を明記すること
– 個人向けリースについては、顧客が期限前に口座解約を行う場合、未到来の利息について適切な割引を行うこと
5. 罰則
本勅令またはこれに基づく下位規則に違反した場合、タイ中央銀行は、違反の是正を求める警告や違反行為の停止命令を行うことができます。また、不公正または不当な取扱いにより重大な影響が生じるおそれがある場合には、業務の改善命令や、業務の全部または一部の一時停止を命じることもあります。
さらに、これらの違反には、30万バーツから100万バーツの罰金が科される可能性があり、違反が継続する場合には、是正されるまで1日あたり3,000バーツから1万バーツの追加罰金が課されることがあります。罰金額は違反の内容に応じて決定されます。
6. 実務対応のポイント
自動車リース事業を行い、自動車リース規制の対象となる企業は、タイ中央銀行への登録を行うとともに、規制に対応した社内コンプライアンス体制を整備する必要があります。具体的には、各種報告書の提出や財務書類の整備に加え、法令に沿った公正かつ適切なサービスが提供されているかを確認するため、業務プロセスの見直しが求められます。 また、業務運営に加え、割賦販売契約書やリース契約書のひな形についても見直しを行い、規制で求められる基準に適合した内容となっているかを確認する必要があります。 本件に関してご質問やご相談がございましたら、One Asia Lawyers タイ事務所までお気軽にお問い合わせください。
以上
〈注記〉 本資料に関し、以下の点につきご了解ください。
・ 本資料は2026年6月12日時点の情報に基づき作成しています。
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