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フィリピンにおける国家汚職防止調整委員会の設置および第一級裁判所の管轄権拡大について

2021年09月21日(火)

フィリピンにおける国家汚職防止調整委員会の設置および第一級裁判所の管轄権拡大についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

国家汚職防止調整員会の設置および第一級裁判所の管轄権拡大

 

フィリピン
国家汚職防止調整員会の設置および第一級裁判所の管轄権拡大

2021年9月
シンガポール法・日本法・アメリカNY州法弁護士  栗田 哲郎
フィリピン法弁護士  Cainday, Jennebeth Kae

1.国家汚職防止調整委員会(National Anti-Corruption Coordinating Council 「NACC」)の設置について[1]

 2021年9月3日、大統領府汚職防止委員会(Presidential Anti-Corruption Commission「PACC」)は、フィリピン人のために清潔で効率的な政府を提供するというドゥテルテ大統領の努力と主張を強固にするための新プロジェクト、「プロジェクト・カサンガ:国家汚職防止調整委員会(「NACC」)」を立ち上げました。

 NACCは、PACCと49の省庁間調整会議で構成され、政府のあらゆるレベルに存在することになり、すべての官庁を含む国内最小の政治単位である「バランガイ」にまで及ぶこととなります。そして、NACCは、異常な取引の報告、検証、調査に関与することになります。

 なお、現在のところ、正式な導入の予定時期は未定です。

2.A. 115761第一級裁判所(首都・地方・地方巡回事実審裁判所)の管轄権拡大[2]

 2021年7月30日、ドゥテルテ大統領は、1980年司法組織再編法(Batas Pambansa 129)の第19条を改正するR.A.115761を承認しました。

 この改正により、不動産の所有権や占有に関わるすべての民事訴訟において、地方裁判所(「Regional Trial Court」、以下「RTC」)の管轄する事件の管轄額が2万ペソ(マニラ首都圏は5万ペソ)から40万ペソに引き上げられております。

 また、RTCの管轄額は、10万ペソから20万ペソに変更され、「遺産の総価値が200万ペソを超える場合の、試験的および遺言的な検認に関するすべての事項」を管轄することになりました。

 さらに、RTCの海事訴訟の管轄額は10万ペソ(マニラ首都圏では20万ペソ)から200万ペソを超える請求を伴う訴訟に引き上げられました。

 この改正により、第一級裁判所(首都・地方・地方巡回事実審裁判所)の管轄権が大幅に拡大することとなり実務に与える影響は大きいといえます。

 

[1] https://pacc.gov.ph/the-presidential-anti-corruption-commission-pacc-together-with-various-agencies-from-the-executive-department-hold-a-whole-of-government-simultaneous-signing-of-a-memorandum-of-agreement-moa-dur/

[2]https://www.officialgazette.gov.ph/downloads/2021/07jul/20210730-RA-11576-RRD.pdf; An Act Further Expanding the Jurisdiction of the Metropolitan Trial Courts, Municipal Trial Courts, and Municipal Circuit Trial Courts, Amending for the Purpose Batas Pambansa Blg. 129, otherwise known as the “The Judiciary Reorganization Act of 1980“ As Amended