ラオスにおける観光関連事業について
ラオスにおける観光関連事業についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
→観光関連事業について
ラオスにおける観光関連事業について
2022年11月16日
One Asia Lawyers ラオス事務所
1.背景
ラオスは、過去にニューヨーク・タイムズの「世界で一番行きたい国」の第1位に選ばれたことがあります。また、米ナショナルジオグラフィックによると、「2023年に訪れるべき25の目的地」の一つに選出され、コロナ後においても、世界から注目されており、観光産業の復興に期待されます。
今回、情報文化観光省は、2013年に発行された「観光法」より以前の1993年に発行した「観光に関する事業の設立と活動に関する合意」を約30年ぶりに改正し、2022年9月30日付けで「観光業に関する情報文化観光大臣の合意(No.607 )」を発行しました。
ラオスの観光産業は、分野によっては、ラオス国籍者にしか許可されない事業もあり、留意する必要があります。会社設立、事業許可書の取得方法、登録資本金など、観光業を行うための基本的な情報を解説いたします。
2.観光事業者に対する免税恩典(第9条)
ラオス国内で調達できないもので、事業に必要な機材等を輸入する場合は、関連する法令に従い、関税や税金が免税となる場合があります。
3. 外資規制(第11条)
次の事業に関しては、ラオス国籍者のために保護されているため、外国人は参入することができませんので、留意する必要があります。
1) 外国人のラオス国内旅行を取り扱う事業(インバウンド事業)
2) 特定の地域(Specific Area)を取り扱う事業
特定の地域については、同合意の第16条に「旅行業者が属している郡や都市にある特定の地域の観光地において、国内外の旅行者へサービスを提供する事業」との記載があるのみで、具体的に観光地が指定されているわけではありません。
4.会社設立及び事業許可証の取得
観光関連事業を行うものは、商工省(局)にて会社の登記を行います。その後、情報文化観光省の管轄下にあるワンストップサービスにて、事業許可証を取得する流れとなります。
(1)登録資本金
登録資本金は、取り扱う事業の種類によって以下の通り分類されています。条件を満たせば、例えば、③の会社の形態を①へ移行して事業を拡大することは可能です(第36条)。
①インバウンド及びアウトバウンドの両方を扱う旅行会社:15億キープ以上
②旅行代理店:10億キープ以上
③ラオス国内旅行を扱う旅行会社:5億キープ以上
④特定の地域(Specific Area)を取り扱う旅行会社:1億キープ以上
外国の個人、法人の場合は、登録資本金総額の少なくても30%以上のキープを保証金(Deposit Money)としてラオス国内の商業銀行へ預ける必要があります(第28条8項)。
特にインバウンド/アウトバウンドの両方を扱う事業者及び旅行代理店は、年間4回(1か月、3か月、6か月、1年)、旅行者の情報、サービスの提供内容、収益等を関連省庁へ報告する義務があります。
なお、理由なく、1年以上、事業活動を行っていない事業者は、閉鎖させられる場合があります(第37条3項)。
(2)事業許可証の取得
商工省(局)で企業登録を行ったあと、情報文化観光省管轄下の最寄りのワンストップサービスにて、事業許可証の取得手続きを行います。事業許可の取得に必要な書類は以下の通りです(第29条)。
①事業許可証申請書
②旅行事業管理局所定の申請書
③企業登録書の写し
④企業登録申請書一式の写し
⑤事業主の顔写真
上記に記載の必要書類を揃えて情報文化観光省管轄下の最寄りのワンストップサービス(以下、観光管理局)へ提出します。観光管理局は、関連する各機関と共同で書類を精査、会社の事務所を視察した後、完全に揃った申請書類を受理後、7営業日以内に事業許可証を発行します。事業許可証は、有効期限はありませんが、発行日から2年後に事業継続許可を取得する必要があり、その後2年ごとに事業継続許可を行います。事業継続許可に必要な書類は第29条に規定されていますが、納税証明書の写しなどが必要となります。
以 上
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