ラオスにおける零細、中小企業の基準について
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ラオスにおける零細、中小企業の基準について
2023年2月27日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所
1.背景
2022年10月11日に「改正 零細、中小企業奨励法(以下、SME法)」が施行されています。SME法第2条において、零細、中小企業は、「ラオスで合法的に企業登録及び活動している企業で、政府が定期的に定める基準(年間平均労働者数、会社の総資産額、年間の収入)を満たしている企業」と定義されているだけで、具体的な基準については、2017年に設定された基準を参照するしかありませんでした。
今回、ラオス政府は、SME法第2条にある「政府の定める基準」について、2017年の基準を現在のラオスの社会経済に状況に合わせるために、2023年1月12日付で改正し、「零細、中小企業の規模設定に関する首相令(以下、首相令)」の中で、新たな基準を明らかにしました。同首相令は2023年2月9日に官報に掲載、同年2月28日から施行されています。
以下、零細、中小企業の基準について解説いたします。
2.対象となる事業分野
対象となる零細、中小企業の事業分野は、以下の通りです(SEM法第9から12条)。
1)製造業(加工業、手工業、商品農作物の生産)
2)販売業(商売、卸売り、小売り)
3)サービス業(旅行業、運輸、交通、金融、教育、医療、その他サービス業)
3.零細、中小企業の基準
(1)零細企業の基準は、以下の通りです(首相令第3条)。
事業分野 |
年間平均労働者の数(人) |
会社の総資産額 (キープ) |
年間収入 (キープ) |
製造業 |
1-5 |
120,000,000未満 |
400,000,000未満 |
販売業 |
1-5 |
180,000,000未満 |
400,000,000未満 |
サービス業 |
1-5 |
240,000,000未満 |
400,000,000未満 |
(2)小規模企業の基準は、以下の通りです(首相令第4条)。
事業分野 |
年間平均労働者の数(人) |
会社の総資産額 (キープ)[1] |
年間収入 (キープ) |
製造業 |
6-50 |
1,200,000,000未満 |
3,000,000,000未満 |
販売業 |
6-50 |
1,200,000,000未満 |
4,500,000,000未満 |
サービス業 |
6-50 |
1,800,000,000未満 |
2,250,000,000未満 |
(3)中規模企業の基準は、以下の通りです(首相令第5条)。
事業分野 |
年間平均労働者の数(人) |
会社の総資産額 (キープ) |
年間収入 (キープ) |
製造業 |
51-99 |
4,800,000,000未満 |
6,000,000,000未満 |
販売業 |
51-99 |
4,800,000,000未満 |
9,000,000,000未満 |
サービス業 |
51-99 |
7,200,000,000未満 |
6,000,000,000未満 |
なお、商工業省中小企業局によれば、例えば、年間平均労働者の数が1-5人であっても、年間収入が7,000,000,000キープある場合は、中規模の企業に分類されるとのことです。また、外国企業[2]も基準の対象であり、基準を満たせば、減税などの恩典を受けることができるとのことです。ただし、零細、中小企業として認定する証明書のようなものはなく、基準を満たしていても、例えば、減税の対象となるかどうかは、実務的には、税務局の判断次第となると考えます。
[1] 1 USD=約16,800キープ(2023年2月現在)
[2] ラオスでは、外国企業の定義は存在しないため、外資が1%でも入っている企業は、外国企業とみなされます。
以 上
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