ラオスにおける信用保証会社に関するアップデート
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ラオスにおける信用保証会社に関するアップデート
2024年12月9日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景
2020年12月21日付で、「信用保証会社に関する合意(以下、「旧合意」)」が中央銀行から発行されました(詳細は弊所ニューズレターをご参照ください)。過去の聞き取り調査によると、ラオスには信用保証会社は、その当時まだ存在しませんでしたが、継続的なインフレにより、特にラオスの中小企業が、信用保証会社が保証人となり商業銀行等から必要な事業資金を借りやすくするために、法令の整備は進んでいます。今回ラオス中央銀行は、2024年10月31日付で旧合意の内容を改正した新たな合意(以下、「新合意」)を発行しました。
以下、改正点を中心に解説いたします。
2.改正点について
(1)監督機関
旧合意第7条によれば、監督機関は、ラオス中央銀行金融機関管理局であり、当局より事業許可書を取得することになっていましたが、新合意では、監督機関は「ラオス中央銀行商業銀行管理局(以下「商業銀行管理局」)」へ変わりました。後述の3と関連しますが、商業銀行との連携を促進させるためだと思われます。
(2)定款の承認
旧合意では、定款に関する規定はありませんでしたが、新合意第15条では、商業銀行管理局所定の書式を使用し、内容について株主総会の承認を受ける必要があると規定されています。また、事業許可証発行申請時に、定款を提出する必要があります。
(3)会社の機関構成
旧合意では、会社の機関構成は、株主総会、取締役会及び取締役委員会(正副マネージングダイレクター)の3機関でしたが、新合意第19条では、上記の他に、取締役会監督委員会及び補助機関(会社の下部組織、各セクションや支店の補助機能)が追加されました。
(4)事業内容
旧合意では、信用保証会社は、保証業務のほかに、ラオス中央銀行及び関連する機関より許可を得た別の事業を行うことが可能と書かれているのみで、具体的にどのような事業をすることができるのか、記載されていませんした。新合意では、保証業の他に、財務管理に関するコンサルティング業及び信用保証会社の財政的安全性を維持するための資産運用が追記されました。ただし、取締役会の承認及びラオス中央銀行の規定範囲内での資産運用であることが規定されています(新合意第38条)。
3.金融機関の登録及び保証人申請について
ラオス中央銀行の管理下にある金融機関は、信用保証会社に登録することができ、登録完了後に登録証明書が発行されます。但し、信用保証会社は、登録済みの金融機関が信用保証会社の規定する条件を満たさない場合、登録を抹消することが可能です(新合意第40条)。
保証人を信用保証会社へ申請する場合は、以下のとおり、金融機関が申請する場合と融資を受ける人が申請する場合の2通りがあります。
(1)登録済み金融機関が保証人として申請する場合
登録済み金融機関は、融資を予定する個人、法人が新合意第41条で規定する条件を満たす場合、信用保証会社に保証人となることを申請することが可能です(新合意第42条)。
(2)融資を受ける人が直接申請する場合
融資を受ける予定の個人、法人は、新合意第41条で規定する条件を満たす場合、自ら直接信用保証会社に、保証人になってくれるように申請することが可能です。信用保証会社は、その後、金融機関に対して、融資の決定を検討することを打診します(新合意第42条)。
以上
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)