インドネシア:政府規則2021年37号によって改正された失業保障制度の実施に関する政府規則2025年6号
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政府規則2021年37号によって改正された失業保障制度の実施に関する
政府規則2025年6号
2025年3月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士 馬居 光二
インドネシア法弁護士 Prisilia Sitompul
1.はじめに
インドネシア政府は2025年2月7日付で、政府規則2025年6号(「GR 6/2025」)を施行致しました。GR6/2025は、失業保障制度(JKP(Kehilangan Pekerjaan))の実施に関する政府規則2021年37号(「GR37/2021」)を改正するものです。同規則に基づき、雇用者によって会社に解雇された従業員は、賃金の60%を最長6ヶ月間受給することができることになります。
2.失業保障制度(JKP(Kehilangan Pekerjaan))について
JKPは、2020年に施行された法律2021年11号(「オムニバス法」)において、失業した従業員の保護を目的に導入された制度で、GR37/2021においてその詳細が規定されておりました。内容としては、一定の要件を満たすインドネシア人従業員に対して、失業保険金の給付、求人データ等の情報取得支援、職業訓練等を提供するものです。
3.改正後のJKPの主要ポイント
(1)GR6/2025による改正後のJKPについては、主要な要件となります。
- 社会保障制度への加入:加入者が、雇用主によって、労働者社会保障制度に既に加入しているか、新たに加入した労働者であること(第4条1項)。
- 国籍と年齢:加入者が、インドネシア国籍を有すること、登録時に54歳未満であること、雇用契約(PKWTまたはPKWTT)を結んでいること(第4条2項)
- 就労意欲:被雇用者、自営業者、起業家のいずれであっても、再度の就労の意思があること(第19条2項)
- 拠出期間:加入者が、解雇される前 24 カ月の間に、少なくとも 、12ヶ月のBPJS雇用保険(BPJS Ketenagakerjaan)の保険料を納付していること (第19条3項)
- 除外事項:退職、後遺障害、定年退職、死亡により解雇された場合は受給資格なし。(第20条1項)
- 給与上限:JKPの対象となる賃金の上限は500万IDRで、賃金がこの金額を超える場合には500万IDRを基準とする(第3条および第21.4条)
- 給付割合:GR37/2021では最初の3ヶ月が賃金の45%、最後の3ヶ月が25%とされていたが、GR6/2025において、最長6ヶ月間毎月賃金の60%を受給できる旨規定された。
- 会社倒産の場合:GR6/2025によって破産によって会社が保険料を滞納している場合にも、労働者はJKPを受給できる旨が消え地された。
(2) 保険料
GR37/2021においてJKPプログラムの保険料は、月給の0.46%とされておりましたが、GR6/2025によって0.36%に引き下げられました。
4.結論
GR 6/2025 は、制度を維持しつつ、失業者に対する給付を強化する趣旨で上記のような点を改正しております。インドネシア人従業員を雇用する在インドネシア日系企業各社においても、同制度の内容を把握することが重要となります。