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ベトナム:2025年広告法改正における主な変更点

2026年01月15日(木)

「2025年広告法改正における主な変更点」についてニューズレターを発行いたしました。こちらの内容は以下のPDFでもご覧いただけます。

2025年広告法改正における主な変更点

2025年広告法改正における主な変更点

2026年1月15日
One Asia法律事務所ベトナム事務所

I. はじめに

2025年6月16日に、広告法の規定の一部を改正する法律第75/2025/QH15号(以下「2025年広告法」)が可決されました。この改正は、2012年広告法(法律第16/2012/QH13号、以下「旧法」)制定以来、初の本格的な改正であり、特に、デジタル広告・SNS広告の拡大を背景に、広告規制の明確化・強化を目的としています。
広告活動に関与する企業にとって、実務上の影響が大きい改正であるため、以下では主なポイントを旧法と比較する形で概説しています。

II. 注目すべき改正点

1. 広告配信者に関する新規規定

旧法では、広告配信者は広告手段の一つとして言及されていたのみであったところ、2025年広告法では、広告配信者に関する規定が大幅に拡充されました。

① 「広告配信者」の定義の拡大:従来の「広告を公衆に直接提供する者」・「着用・掲示・貼付・描出などの形態で自身の身体に広告を表示する者」に加え、「オンライン上で製品・商品・サービスを直接広告・推奨・認証する者」が含まれることとなりました[1]。ライブコマースの出演者やSNS上でスポンサーがついて広告活動を行ういわゆるインフルエンサーがこちらに含まれることとなります。
②  広告配信者の権利と義務の明確化[2]:広告主から正確な情報を受領する権利に加え、広告内容の適法性に関する責任が強化され、以下のような権利義務が新たに明確化されました。

・広告主から正確な情報を受け取る権利、および消費者保護法・税法の遵守義務
・広告内容に対する責任(例えば、製品に関連する広告の内容が法的要件を満たさない場合、当該・広告の内容について直接の責任を負う)
・インフルエンサーについて、広告主の確認、製品情報の検証、広告活動の適時開示といった義務

上記の広告配信者の権利と義務に関する規定の追加は、消費者を混乱させ広告活動への信頼を損なう誤解を招く広告に対処するための対策となっていると考えられます。

2. 比較広告に関する改正

旧法は広告対象の製品・商品・サービスを他社の製品・商品・サービスと直接比較することを禁止していたのに対し、2025年広告法では、合理的な裏付け資料がない場合に限って比較広告を禁止しており、規制を緩和しています[3]

3.広告違反に対する責任の明確化

2025年広告法では、広告規制に違反した場合の対応に関する以下のような規定が追加されました[4]

・行政処分又は刑事責任(違反の性質や重大性が考慮される)
・消費者に損害を与えた場合の損害賠償

4. 広告内容に関する補足規定

一定の販売支援情報や法定表示情報は広告に該当しないことが明示されました[5]

(i) 販売促進・展示・見本市用に提供される製品・サービスの文書・画像・説明等の販売支援情報(ただし、食品安全法に準拠すべき機能性食品及び特定保健用食品を除く)
(ii) 製品ラベル・包装の必須表示、消費者への公的開示、商品の有害影響防止に関する教育内容、その他法的に要求される情報(ただし、機能性食品及び特定保健用食品を除く)

また、広告内容について、真実性・明確性が求められ、製品の特徴・品質・効果について誤解を招いてはならない旨規定されました。注意事項・警告・免責事項は、他のコンテンツと同等の速度・音量で明瞭に読み上げられ、対照的な色で完全に可視化されて表示されなければならないとされている点にも注意が必要です[6]
上記のように、旧法と比較して、2025年広告法は広告内容と非広告内容の区別を明確化するとともに、特定食品に対する例外規定を設けています。これにより情報の透明性が確保され、国際的な規制慣行との整合性が図られています。

5. 特定製品・商品・サービスの広告条件に関する補足規定

2025年広告法によれば、製品・商品・サービスの広告は、ベトナム国内での流通または提供を許可する有効な文書または認証書の裏付けが必要です。ただし、当該品目がライセンスの対象外である場合はこの限りではありません。医薬品、化粧品、殺虫剤・消毒剤製品、食品・食品添加物、36ヶ月未満の乳幼児向け栄養製品、診療サービス、医療機器、植物保護薬品、動物用医薬品、肥料の広告に関しては、広告主は別途定めている条件を満たす必要があります[7]

6. 印刷媒体・ラジオ・テレビ広告に関する改正

・印刷媒体:2025年広告法では、新聞1部あたりの広告可能面積を旧法の15%から30%に、雑誌1冊あたりの広告面積を旧法の20%から40%に引き上げています[8]
・ラジオ・テレビ:2025年広告法はテレビ広告の放送可能時間(無料テレビ局は1日総放送時間の10%、有料テレビ局は1日総放送時間の5%)を変更していません。ただし、映画・娯楽番組における番組中断広告に関する規定を改正しています[9]
・製品・サービス広告を含む国際イベント及び外国スポーツ番組について、2025年広告法で定められた条件を遵守することを条件として、テレビ・放送サービス事業者が再送信または生中継することを認めています[10]

7. オンライン広告に関する改正・追加規定

2025年広告法では、オンライン広告の定義が拡大され、電子新聞・電子情報ページ上の広告(旧法で規定)に加え、ソーシャルメディア、オンラインアプリケーション、インターネット接続型デジタルプラットフォームを含むその他の電子媒体上の広告もオンライン広告に含めることとしました[11]
オンライン広告については、次の規則を遵守する必要があります。

– 文字、数字、記号、画像、または音声を用いて広告を他のコンテンツと明確に識別すること
– 固定表示されない広告の場合:受信者が広告を閉じる機能または記号、サービス提供者へ違反報告ツール、不適切なコンテンツを拒否するオプションを提供すること
– リンクを含む広告の場合:リンク先のコンテンツは法令を遵守しなければならず、広告サービス提供者と発行者は当該リンク先コンテンツを監視・管理すること
– SNSを提供する組織・企業は、広告コンテンツと他のコンテンツを区別する機能をユーザーに提供すること
– SNSの利用者が広告を行う場合、広告またはスポンサー付きコンテンツと提供する他のコンテンツとの差異を示す表示を明示しなければならない。広告主、広告サービス提供者、発行者、流通業者はさらに以下を遵守すること
– 広告、サイバーセキュリティ、データ保護、消費者権利、児童保護、オンライン情報に関する法令を遵守すること。広告収入の登録、申告、納税を行うこと
– 違法コンテンツ内または周辺、違法ウェブサイト、ソーシャルネットワーク、アプリ、デジタルプラットフォーム上に広告を掲載しないこと
– 当局により正式に違法と宣言された個人、組織、ウェブサイト、アカウント、チャンネルと協力しないこと
– 当局の要請に応じて違法広告を削除またはブロックし、必要に応じて違反の疑いに関する情報を提供すること
– 広告法違反時には行政処分その他の法的措置に従うこと

8. デジタル看板に関する補足規定

2025年広告法は、デジタル看板に関する以下の具体的な規則を導入しました[12]

– 音と光の制限:デジタル看板は音を使用してはならず、照明の輝度は交通安全を脅かしてはならない。
– サイバーセキュリティ:デジタル看板の所有者または正当な利用者は、サイバー攻撃を防止し情報セキュリティを確保するための技術的措置を講じなければならない。

9.広告届出に関する改正

旧法では看板・バナー広告の実施には少なくとも15日前までの届出が義務付けられていましたが、2025年広告法では届出のみが要求され、具体的な事前通知期間は定められていません[13]

10. ベトナムにおける越境広告サービスに関する新規定

2025年広告法はベトナムで初めて、越境広告を明確に規制します。越境広告とは、外国の組織・個人がベトナム国外に設置されたシステムを利用し、インターネットを通じてベトナム国内のユーザーに広告サービスを提供することを指します[14]

越境広告サービスについては、次の原則に従います[15]

– ベトナム国内で事業を行う外国企業は、自社の製品・商品・サービス・活動をベトナム国内で広告できる。
– ベトナム国内で事業を行わない外国企業は、ベトナム国内での広告掲載に際し、認可を受けたベトナムの広告サービス提供業者を利用しなければならない。

III. 企業にとっての利点と課題

今回の法改正により、より明確な法的枠組みが整備され、企業は広告を行う際の自社の責任を定義しやすくなりました。その一方で、広告仲介事業者、広告主、サービス提供者に対する法的責任が強化され、より厳格な義務が課されることになります。したがって、2025年広告法の新規定に速やかに対応するため、企業は以下の対応が必要です。

(i)    広告に関する法改正の情報を適時にアップデートする
(ii)   事業運営における法令遵守を見直し・確保し、よくある広告違反を避ける
(iii)   広告において消費者を標的とした操作的または欺瞞的な手法を特定し、国境を越えた商業活動にも注意を払う
(iv)   電子広告機器に対するサイバーセキュリティ要件への適合を確保し、サイバーセキュリティと円滑な広告運営を実現するために必要な技術的能力を構築する

IV. 結論

2025年広告法により、広告の内容や広告に携わる人々に対するルールが、より明確になりました。企業の信頼性を守るためには、この法律を正しく理解し、遵守することが重要です。この法律は、SNS、ライブ配信、インフルエンサー(KOL)、ECサイト、アフィリエイト広告など、あらゆる広告手法に適用されます。

[1] 2025年広告法第2条8項

[2] 2025年広告法第15a条

[3] 2025年広告法第8条10項

[4] 2025年広告法第1.6条による改正後の広告法2012第11条

[5] 2025年広告法第19条3項

[6] 2025年広告法第19条1項・2項

[7] 2025年広告法第20条

[8] 2025年広告法第21条

[9] 2025年広告法第22条4項

[10] 2025年広告法第22条5a項

[11] 2025年広告法第23条

[12] 2025年広告法28条

[13] 2025年広告法30条1項

[14] 2025年広告法2条14号

[15] 2025年広告法39条