ミャンマー:CEIR登録制度と実務上の留意点
ミャンマーにおけるCEIR登録制度と実務上の留意点に関するニュースレターを発行いたしました。こちらの内容は、以下のリンクよりPDF版でもご覧いただけます。
CEIR登録制度と実務上の留意点
2026年7月
One Asia Lawyers ミャンマー事務所
代表弁護士(日本法):佐野 和樹
1. はじめに
2026年3月、ミャンマーでは、携帯電話等の端末を国際移動体装置識別番号(International Mobile Equipment Identity:IMEI)により管理する中央機器識別登録制度(Central Equipment Identity Register:CEIR)の運用が開始されました。
さらに、2026年7月14日、CEIR・EIRシステムプロジェクト運営委員会(CEIR and EIR System Project Steering Committee)は、ヤンゴン、ネピドー及びマンダレーの各国際空港からミャンマーに入国する旅客が、CEIRに未登録の携帯電話を持ち込む場合の申告・登録手続を公表しました(以下「7月通知」といいます。)。
本ニューズレターでは、CEIR制度の概要、入国時に必要となる手続並びに駐在員、出張者及び企業の実務上の留意点を整理します。
2. CEIR制度及び入国時の申告・登録手続
(1) CEIR制度の概要
CEIRは、携帯電話等の端末固有のIMEIを登録し、ミャンマー国内の通信ネットワークへの接続可否を管理する制度です。当局の公表資料では、技術基準に適合し、必要な税金が納付された端末を利用できるようにすることが制度導入の目的として説明されています。
制度導入時にミャンマー国内で使用されていた携帯電話については、2026年3月31日までに国内通信事業者のSIMカードを挿入して使用することにより、原則として追加の納税なくCEIRの許可リストに登録される取扱いが示されました(以下「3月通知」といいます。)。他方、同年4月1日以降に初めて国内通信ネットワークへ接続する未登録端末については、原則として30日間の一時利用期間が与えられ、その期間内に必要な税金及び罰金を納付することが求められています。
携帯電話端末について納税が必要であるか否かは、関係当局が運営するCEIRポータルサイト(https://www.ceir.gov.mm/)において確認することができます。CEIRポータルサイト上で「Tax Payment Status」欄に「Unpaid」と表示される場合、CEIR上は税金が未納の状態として取り扱われているため、納税又は免税申請の要否を確認する必要があります。
(2) 入国旅客に求められる申告・登録手続
7月通知によれば、ヤンゴン、ネピドー又はマンダレーの各国際空港から入国する旅客がCEIRに未登録の携帯電話を携行している場合、到着時に空港の税関検査カウンターで旅客申告書(Passenger Declaration Form:PD Form)を提出し、対象端末のIMEIを申告する必要があります。
また、各旅客が登録できる携帯電話は、最初にPD Formを提出した日から1年間に、現在使用中の端末を含めて合計2台までとされています。PD Formの提出後は、CEIRのワンストップサービス(One-Stop Service:OSS)チームに登録申請を行うこととされており、公表資料上、主に次の対応及び書類が求められています。
- 入国時に税関検査カウンターでPD Formを作成し、対象端末のIMEIを正確に記載すること
- CEIR登録申請書を提出すること
- 旅券の顔写真ページ及びミャンマー入国印が押されたページの写しを提出すること
- 搭乗券の原本又は写しを提出できるよう保管すること
- 航空券又はeチケットの原本若しくは写しを求められる可能性を踏まえ、これらを保管すること
- 税関で受領したPD Formの原本を提出すること
なお、必要書類については、公表資料により航空券の提出要否や搭乗券の原本・写しの取扱いに若干の相違がみられます。そのため、実務上は、旅券、搭乗券、航空券又はeチケット及びPD Formについて、原本と写し又は電子データを可能な限り保管し、到着空港又はCEIRの案内を確認することが推奨されます。
(3) 税負担及び駐在員・出張者等の実務上の留意点
登録時には、当局が算定する端末の評価額を基礎として、関税5%、商業税5%及び前払所得税2%に加え、該当する場合には没収に代わる罰金(redemption fine)その他の罰金が課されるとされています。ただし、各税目の課税標準、計算方法及び罰金の有無によって実際の負担額は異なるため、必ずしも端末購入価格の単純な12%相当額となるものではないと解されます。
駐在員や出張者は、渡航前に端末の設定画面又は「*#06#」の入力等によりIMEIを確認し、CEIR公式ウェブサイトで登録状況を確認することが望まれます。特に、海外で新たに購入した端末、機種変更後の端末、会社支給端末、予備端末を持ち込む場合には、未登録端末に該当する可能性があります。会社においても、貸与端末のIMEI、購入日、利用者及びCEIR登録状況を一覧で管理することが有用と考えられます。
7月通知には、短期滞在、国際ローミング又はeSIMの利用を理由として、CEIRの申告・登録手続を一律に免除する旨の規定は明記されていません。また、3月通知では、CEIRの一般的な対象機器として、携帯電話のほか、iPad、タブレット及びノートパソコン等のモバイル通信対応機器にも言及されています。他方で、7月通知は主として携帯電話を対象として説明されています。セルラー対応タブレット等を携行する場合を含め、対象範囲及び具体的な受付運用については、到着時の税関及びCEIRの案内を確認する必要があります。
在ミャンマー日本国大使館が発出した領事メールによれば、外国人が持ち込む携帯電話端末に対する免税措置については、現在、関係当局において明確なガイドラインが策定されている段階にあるとのことです。また、2026年4月1日以降に日本その他の国外から携帯電話端末を持ち込んだ新規赴任者や長期出張者等については、正式な免税措置の適用基準が確定するまでの暫定的な措置として、当局に対する免税申請の方法が案内されています。ただし、免税の適用可否は、当局による個別の審査及び今後策定されるガイドラインに従って判断されるものと考えられます。
3. まとめ
駐在員の再入国、会社支給端末の持込み及び海外での機種変更は、申告漏れが生じやすい場面です。運用開始直後であり、対象端末、評価額、必要書類及び罰金等が変更又は明確化される可能性があるため、渡航前及び入国時に最新情報を確認する必要があります。
以 上
〈注記〉本資料に関し、以下の点ご了承ください。
・ 本資料は2026年7月23日時点の情報に基づき作成しています。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化、実務上の運用の変更に伴い、本資料は変更となる可能性がございます。
・ 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても弊所は責任を負いません。

