ラオスにおける決済システム法の概要について
ラオスにおける決済システム法について報告いたします。 →決済システム法について
ラオスにおける決済システム法の概要
2019 年 5 月 6 日
One Asia Lawyers ラオス事務所
藪本 雄登
内野 里美
1 はじめに
2018 年 4 月 23 日から決済システム法(以下、決済法)が施行されています。決済法では、決済の形態を次の3つに分類しています(同法第 10条)。
① 即時グロス決済システム(Real Time Gross Settlement)
② 自動資金決済システム(Automatic Clearing House)
③ 証券決済システム (Securities Settlement System)
今回発効された「2019 年 4 月 1 日付 自動資金決済システムに関する合意(No293/BOL)(以下、合意)」は、決済システム管理者1に関する条件等について、決済法を基礎にさらに詳細に規定しています。ここでは、自動資金決済システム事業について解説致します。
2 自動資金決済システム(Automatic Clearing House、以下、ACH)
合意では、ACH を以下のとおり、定義しています(同合意第 2 条)。
「ACH サービス利用者とのネットワークシステムであり、小切手、送金、電子マネー及びカード等の手段により、送金、口座振込、口座振替を実施するための小口決済システム」ACH は、次の 3 種類から構成されています(同合意第 5 条)。
1.ACH サービス利用者間の送金システム(Inter-Institution Fund Transfer System)
2.カード決済ネットワーク(Payment Card System)
3.口座振替システム(Settlement System)
3 ACH 管理事業者
上記、ACH 管理者として事業を行うためには、以下の条件を満たす必要があります(決済法第 28条及び同合意第 11 条)。
1.ラオス国内で登記した法人であること(但し一人会社は除く)
2.既存の会社がある場合は、ACH 管理事業を目的とした別の金融機関及び別法人を設立すること
(但し、口座振替システム管理業者は、商業銀行が実施することが可能)
3.最低でも株主の一人は、ラオス国籍者及びラオス居住者であり、全株式の 10%以上を保有すること
4.最低でも取締役2一人は、ラオス国籍者及びラオス居住者であること
5.3 年間の事業計画を提出すること
各種の登録資本金は、以下のとおり定められています(同合意第 12 条)。
1.ACH サービス利用者間の送金:100 億キー(約 1 億 2,000 万円)
2.カード決済ネットワーク:100 億キープ(約 1 億 2,000 万円)
3.口座振替システム:400 億キープ(約 4 億 8,000 万円)
複数の決済事業を実施する場合は、各種規定された登録資本金の内、いずれか高いほうを準備する必要があります。また、登録資本金総額の少なくても 70%は現金で出資することが求められています(同合意第 12 条)。
4.決済システム事業管理局(=ラオス中央銀行)
ラオス中央銀行が、決済システム事業を統括しており、事業許可証を発行しています。中央銀行は、事業申請書を完全に受理してから 45 日以内に事業の可否を検討しなくてはなりません(同合意第 13条)。
事業許可証は 5 年間有効であり、更新する場合は、満期 45 日までに更新申請をする必要があります(同合意第 14 条)。
以 上