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ラオスにおける保険業法の改正について

2020年04月22日(水)

ラオスにおける保険業法の改正について報告いたします。

改正保険業法について

 

ラオスにおける保険業法の改正について

 

2020 年 4 月 22 日
One Asia Lawyers ラオス事務所
藪本 雄登
内野 里美

1.経緯

 保険業法は、1990年に制定され、そのあと2011年に改正されています。今回の改正版は、2019年11月29日付けで発行、2020年3月30日に官報に掲載、15日後の4月13日から施工されています。保険業は、財務省の国営企業及び保険業管理・開発局(Department of State-Owned Enterprises Management and Development and Insurance (DSI) (以下、DSI)の管轄下にあります。保険業に関する事業許可証(ライセンス)は、企業登録後に、DSIより発行されます。今回の改正において、重要な改正点及び新たに設けられた規定を中心に解説致します。なお、既存の保険会社においては、施工日から3年間の猶予期間が設けられています。

2.改正点

  改正前 改正後
保険業の定義 ・保険会社と再保険会社が個別に定義

・保険会社及び再保険会社が一括りで定義
・金融機関の一形態であることを明記

登録資本金

(保険会社)
160億円キープ
※再保険会社の登録資本金規定なし
※保険の種類による登録資本金の設定なし

(保険会社)
損害保険:300億キープ(約3億6千万円)
生命保険:300億キープ
(再保険会社)
損害保険:600億キープ(約7億2千万円)
生命保険:600億キープ
※一つの会社で損害保険と生命保険の両方を扱うことはできません。

代理店・仲介業者

(代理店)
・代理店の登録証の発行・更新及び罰則に関する規定なし
(仲介業者)
・個人及び法人が仲介業社として会社を設立することが可能

(代理店)
・保険会社が財務省へ代理店リストを提出し登録手続きを行い、代理店の許可証の発給を受ける。
・許可証は1年ごとに更新する必要がある。
・保険業法及び関連する法令違反を理由に、更新が認められなかった場合、2年間の活動停止となる。
(仲介業者)
・個人が仲介業として会社を設立することはできない。

3.新規規程

 主に、会社の解散・清算に関して、新たに規定されています。

1)保有株の変更(第43条)

保険会社及び再保険会社において、株主に総株式の5%を超えて株を所有させる場合、財務省と協議する必要があります

2)合併(第44条)

会社法(第164条)に従い他の会社と合併することが可能です。合併後の保険会社が、保険業法で規定する条件を満たしている場合、財務省は合併を認めると規定しています。

3)解散(第52条)

以下の場合、事業解散となると規定されています。

・株主総会の決定
・法律違反及び状況が改善が見られない場合
・企業登録情報を捏造していた場合
・最初の3年間、5年事業計画に従って活動ができず、且つ3年間赤字が続いた場合
・会社法等の事業解散規定が適用された場合

4)破産(第53条)

財務省は、保険会社及び再保険会社が経営困難となり、再生不可能と判断した場合、裁判所に対して破産命令を発出するよう申し立てる権利があります。

5)清算(第54条及び55条)

解散又は裁判所により破産命令を受けた後、財務省が清算人を選任します。清算人は、財務省及び官民関連組織より選任された個人で構成されます。

自己破産により自力で債務の弁済手続きなど可能な会社は、財務省より清算手続きが委任されます。

以上