コロナ禍におけるインドネシア入国手続きについて

2021年03月12日(金)

コロナ禍におけるインドネシア入国手続きについてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

コロナ禍におけるインドネシア入国手続きについて

 

コロナ禍におけるインドネシア入国手続きについて

2021年3月
One Asia Lawyers Indonesia office 代表
日本法弁護士

馬居 光二 

1 最初に

 インドネシアにおいてはコロナウイルスの蔓延により、2020年12月31日から外国人の入国が禁止されており、例外的にITAS(一時滞在許可)保持者等のみに入国が許可される運用がなされております。当該入国禁止措置が2021年2月9日付の法務人権省入国管理局通達及び同月11日付回章により一部緩和され、eVisaの保持者が追加されました。本ニュースレターでは、筆者がeVisaによって2021年2月13日にインドネシアに入国した状況をお伝え致します。eVisaの運用まだまだ不透明な部分も多いところ、これからインドネシアへ駐在を予定されているみなさまの参考になれば幸いです。

2 eVisaについて

 インドネシアにおいては、外国人がインドネシア国内で労働をするためには、一時滞在ビザ(VITAS)及び一時滞在許可(ITAS)を取得する必要があります。従前はまず在日本インドネシア大使館でVITASを取得した上でインドネシアに入国し、インドネシア国内の空港でITASを取得する必要がありました。上記VITASの取得方法について、コロナウイルスの影響もあり、労働大臣規則2020年26号により、オンラインでの手続きが可能となりました。これをeVisaと呼びます。

 筆者は2020年の11月13日付、妻は11月23日付でeVisaを取得しました。同eVisaは取得から3ヶ月以内にインドネシアに入国しない場合には無効となります。したがって筆者の場合は2021年2月13日までに入国をする必要がありました[1]

 そこで、当初は昨年12月末に入国を予定していたところ、年末に急遽入国後5日間の隔離が必要との発表がありました。筆者は妻を帯同する予定であったこともあり、隔離の状況を確認してから入国をしようと1月初旬に入国を延期しました。その矢先に外国人の入国を一切禁止する規則が発表され、その後は入国禁止期間終了が近づく度に入国を試みましたが、毎回禁止期間終了ギリギリに入国禁止措置が延期されておりました。eVisaの有効期限終了前最後のチャンスである2021年2月8日に入国禁止措置を延期する旨の発表がなされたため、入国をほぼ諦めようとしていたところ、翌9日に入国規制が一部緩和される旨の情報が日本大使館から送られてきました。そこで、急遽e-visaの期限最終日である13日に入国をすることにしました。

3 入国の流れ

(1)航空券の予約

 上記のように入国を決めてからすぐの2月10日に航空券を予約しました。フライト直前の予約になっていたため、普段の倍の価格で航空券を購入せざるを得ませんでした。今後新たにeVisaを取得、入国される場合は、ある程度余裕をもって予約すればさほど平常時と異ならない費用で航空券を購入できるかと思います。

(2)レンタカー、成田空港でのホテル、PCR検査の予約

 航空券を予約した後すぐにレンタカーと成田空港近くのホテルを予約しました。 

 コロナ期間中、筆者は空港から離れた場所で生活をしていたところ、普段は空港に荷物を送った上で電車か高速バスで成田空港へ向いますが、コロナの影響で高速バスは休行になっておりました。荷物の輸送も到着の2日前までに送る必要があり、急遽入国が禁止になる場合を考えると使いづらい状況でした。また、そもそも公共交通機関を使って途中で感染をするのがもっとも怖いため、レンタカーにスーツケース6個を積んで妻と一緒に空港に行くのが最善と判断しました。年末から合計3回レンタカーを予約し2回キャンセルしましたが、コロナ禍の影響もり、キャンセル料等なしで対応してくれました。

 また、PCR検査及び成田空港でのホテル、インドネシア入国後のホテルについても予約をしました。

(3)成田空港でPCR検査

 現状インドネシアへの入国が許可される条件として、入国前48時間以内のPCR検査で陰性である旨の証明書が要求されております。

 筆者は空港から離れた場所に居住していたことと、検査場所への移動中に感染することが怖かったので、成田空港にある成田国際空港PCRセンターで検査を受けることにしました。検査結果が出るのに4時間程度かかると言われたため、出国前日に検査を受けることにしました。

 成田国際空港PRCセンターはTerminal1中央ビル3階とTerminal2の1階にあります。筆者はTerminal2のPRCセンターを利用しました。少し分かりづらいところにありますが、Terminal 2に入ると誘導の看板が出ており、いくつか看板に沿って進んでいくと空港の建物外にPCRセンターの入口があります。建物に入って担当の方に予約した名前を告げて受付をします。この際、以前はPCR検査の陰性証明書に加え、健康を証明する医師の診断書が必要とされていたため、受付でこちらも必要でないか確認されました。少し迷いましたが、日本大使館のウェブサイトにこちらが不要となった旨の記載があったため診断書は作成しませんでした。このとき、急遽在インドネシア日本大使館に電話をしたのですが、インドネシアの祭日であったため、担当者に繋がりませんでした。必要な情報は可能な限り事前に確認をすべきだと痛感しました。

 なお、陰性証明書に医師の氏名と検査場所の住所が入っていないために問題となったケースが報告されているため、受付でこれらが証明書に記載されるか確認したところ、記載されるという回答でした。

 また、検査をする際、鼻綿棒で検査をするか唾液で検査をするか確認されます。ジャカルタ行きの便で一緒になったキャビンアテンダントの方によると、彼女達がインドネシア入国の際行う検査は唾液で行っているそうです。ただし、後述のようにインドネシアのホテルで行われた検査は鼻綿棒で行ったため、鼻で行っておけば間違いないと思います。筆者も鼻綿棒で検査を受けました。ただし、PCRセンターの鼻綿棒の検査は思っていたより痛かったです。

*入国後に在インドネシア日本大使館に確認したところ、確証はないが、鼻綿棒が確実だろうということでした。

 検査後一度ホテルに戻り、夕方検査証明を受け取りにいきました。

(4)成田空港での様子、食事

 PCR検査の結果を受け取るまで時間があったため、Terminal 2で夕食を取りました。金曜日でしたが、成田空港内での食事はほぼ大手牛丼チェーン一択でした。筆者は大満足でしたが、牛丼が苦手な方は空港内にコンビニがあるので、そちらでお弁当を購入することも可能かと思います。

 多くの便が欠航となっているため、ターミナルには殆ど人はいませんでした。

(5)搭乗手続き

 インドネシア大使館の資料

 チェックインをする際、JALの職員の方から在インドネシア日本国大使館が作成した入国時の追加措置に関する資料を渡され、大使館からの入国理由を記載した書面を有していないか確認されました。同職員の方によると、インドネシアの空港で普段よりも入国の理由を厳しく確認されるかもしれないということでした。

 また、同職員の方から、eHACというインドネシア政府が作成したアプリのダウンロードを勧められました。このeHACは、後述のように、入国後のPCR検査の際に本人確認として使用しました。eHACはGPS機能を有効にしないと使えない仕様になっているところ、入国後の追跡ツールとしての役割も担っているかもしれません。

 誓約書への署名

 搭乗手続の前に、前述のJALの職員の方から、誓約書への署名を求められて署名しました。ただ、お恥ずかしいことにあまり内容を覚えておりません。 

 クレジットカードラウンジ

 出国手続きの前に、クレジットカードラウンジで休憩しました。クレジットカードラウンジは空いており大変助かりました。利用者は私達二人だけでした。

 機内の様子

機内は閑散としており、まばらに駐在員と思われる日本の方が搭乗している感じでした。見る限り、夫婦で利用しているのは私達だけだったように思います。

(6)スカルノ・ハッタ国際空港での手続き

 検疫

 飛行機から降りるとすぐのところで整列して椅子に座らされ、Health Exermination Resultという書面を記入するよう求められました。記載した書面をもって進むと検疫所があり、成田で取得したPCR検査の陰性証明書とともに提示しました。係員が簡単に内容をチェックした後、割とすぐに検疫をパスできました。

 入国審査

 ITASを所持している者も、筆者のようにeVisaのみの者も一律に外国人用の受付で対応をしていました。

 入国審査係員にパスポートとITAS取得のための資料を渡した上で写真撮影と指紋登録を行いました。担当係員の横にもう一人係員がいてスマートフォンで入国者の写真を撮っていましたが、目的は不明です。

 成田空港での説明とは異なり、割とすんなり入国審査は済みました。

 ITAS取得手続き

 入国前、本来は入国の際にITASの取得手続を行うと説明を受けておりましたが、そのような手続はありませんでした。複数の係員にこの点を確認すると、空港ではITASの取得手続を行っていないため、30日以内に入国管理局(Immigration Office)へ行って手続きをするよう指示されました。

 VISAの取得を依頼していた弊所提携先のインドネシア人担当者に確認したところ、後日彼女がパスポートを預かった上で、入国管理局での手続きをアレンジしてくれるということでした。

 筆者は以前シンガポールに留学した際、自らVISAの申請手続をした経験がありますが、やはり現地の情報に詳しいエージェントからのサポートがあると手続きが非常にスムーズであることを実感しました。只でさえストレスに晒される駐在員の方々には、是非エージェントの利用をお勧めします。

(7)隔離措置

 5日間のホテルでの隔離

 入国審査を終えてから荷物をピックアップして進んでいくと、5日間の隔離対象者の受付が設置されています。筆者は事前にホテルを予約していたため、ホテルのスタッフが迎えに来ており、上記受付の担当者と話をしてくれました。

 事前にホテルを予約していない場合には、その場で受付をして、停めてあるバスに乗って宿泊施設に向かうことになると考えられます。

 隔離に対応しているホテルの中でも、施設やサービスはピンきりで、長旅及び空港での手続きで疲弊していると考えられるため、事前に予約しておくことをお勧めします。

 なお、GrabやGojek等も含め、空港に迎えに来てる車は写真のような比較的大型のSUVが多いと思います。筆者は妻と2人、大型スーツケース4個、小型スーツケース2個に手持ちのかばん2個を載せて移動しました。また、現在ジャカルタではタクシーを含めた公共交通機関について乗車人数を50%以下にする規制が行われています。また、ジャカルタの空港はフリーWifiの入りが悪く、日本のSIMでGrab等を使おうとすると電場が通じず困ることがあります。既にインドネシアのSIMカードを持っていても、ジャカルタに到着後データをチャージしようとしたら電波が届かない等といったこともあります。空港でSIMカードを購入するか、日本にいる間にデータをチャージしておくことをお勧めします。

 ホテルの選定

 隔離のためのホテルは、インドネシア政府が定めるリストから選ぶことになっており、在インドネシア日本国大使館のホームページからも確認できます。いずれのホテルも3食付のプランであるため、通常よりも割高ですが、プランにPCR検査2回分も含められていることを考えると暴利とまでは言えないかと思います。いわゆる5つ星ホテル等もリストに入っていましたが、ちょっとびっくりするくらいの価格でした。

 筆者はインドネシアの同僚であるインドネシア人弁護士が勧めてくれたホテルを予約して5日間を過ごしました。事前にメールを送るとプランの内容や価格を教えてくれました。ただし、事前にデポジットの振込みが必要であったため、海外送金に慣れていない方は余裕をもって手続きをすることをお勧めします。

 ホテルでの生活

 ホテルにもよると思いますが、筆者の泊まったホテルは比較的ジャカルタ中心 地にあり、空港まで車で迎えに来てくれたため、スムーズに受付ができました。プランの中に交通費としてIDR330,000(約2500円)が含まれていたので、Grab等のタクシーで移動するよりは若干高いものの、空港での手続きや大量の荷物を運んでくれたことを考えると、それなりに妥当な金額かと思います。

 食事はチェックイン時にメニューを渡され、部屋の電話から注文をします。メニューが限られているため3日くらいで飽きますが、Grab food等のアプリを使って自分で注文すれば、ホテルの受付で受取って部屋まで持ってきてくれました。妻はスーパーでの買い物代行アプリを使って果物等を購入していました。外からのデリバリーを禁止しているホテルもあるようですが、筆者が泊まったホテルは問題ありませんでした。

 水、タオル、シャンプー、コップ等も全て電話でお願いして持ってきてもらう形で、部屋の掃除等は5日間無しでした。いずれのサービスも一度電話しただけではきっちり対応してくれませんが、これはインドネシアでは珍しいことではありません。特に悪気はないと思いますので、対応してくれるまで何度も電話するしかないかなと思います。

 ホテルでのPCR検査

 5日間の隔離のうち、2日目と4日目にPCR検査をする必要があります。こちらのPCR検査はホテルのプランに含まれているため予約する必要はありませんでした。一部屋がPCR検査用に使われており、午前9時から午後3時までの間に検査を受けるように指示されました。

検査室に入ると、eHACのアプリで受付をしました。筆者はアイフォンを使用しているところ、アイフォンはアプリの機動が安定しないということで、妻が持っていたアンドロイドにアプリをダウンロードして、妻と筆者双方について本人確認をしました。

PCR検査はやはり鼻でしたが成田の検査に比べるとかなり優しい(適当な?)感じで痛みはあまりありませんでした。 

 ホテルから自宅へ

 5日間の隔離が終わった朝にホテルの受付でチェックアウトをすると、5日間の隔離を行った旨の証明書及びPCRの陰性証明書をくれます。ただし今のところ、これを何に使うのかは不明です。ITASについてはこの証明書なしに普通に発行されました。

 14日間の自主隔離

 5日間の隔離が終わっても14日間の自主隔離(この時点で残り9日間)が推奨されており、外出は買い物等の必要最小限にするべきとされております。ただし、こちらに関してはあくまで推奨ということで、特に監視されているような形ではありませんでした。eHacにメールアドレスと電話番号は入れましたが、特に連絡がくるようなこともありませんでした。

(8)ITAS取得手続き

 入国管理局での写真撮影及び指紋登録

 空港で手続ができなかったため、ITASの手続を提携先の担当者に手配してもらって南ジャカルタ入国管理局で行いました。と言っても入国管理局では写真撮影及び指紋の登録をしただけです。10本の指全ての指紋を登録することに驚きましたが、入国管理局でも上記担当者が手配してくれたスタッフが案内をしてくれたので、滞りなく手続きが進みました。なお、自身で手続を行う場合、入国管理局は英語を話すことの出来ない職員も多く、看板等も基本的にインドネシア語のみが記載されているため、インドネシア語が出来ない場合はかなり苦労することが予想されます。

 ITASの発行

 上記写真撮影からおよそ1週間でITASが発行されました。現在ITASはオンライン上のみで発行されます。銀行口座の開設やSIMカードの契約等にITASが必要になりますので、必要に応じてこれをプリントアウトして提示するなどしております。なお、銀行口座開設には後述のNPWP(納税登録番号)が求められることもあります。

(9)その他の手続き

 上記ITASの発行手続が終わると、STM (警察署への届出)、NPWPの取得、 SKTT(外国人住民登録書)及び LKTKA(外国人労働者報告)の 手続を順次行うことになります。これらの手続きについても一般的にはエージェントがVISA手続と合わせて行ってくれる場合が多いと思います。

4 ジャカルタの状況

 人出としては、かなりコロナ前の状況に近づいていると思います。コロナの感染が始まった頃は殆どなくなった交通渋滞も、現在は普通に見られます。平均年齢29歳の若さなのか、そもそもの国民性なのか、市中の人々のコロナに対する危機感は総じて薄いように思います。もっとも、だからといってコロナの犠牲者がいないわけではなく、むしろASEANトップの感染者と死亡者が出ております。現地の日系駐在員の方々に関しては、やはり危機意識をもって生活されているように思います。

 なお、駐在員の方の中には、コロナの影響で長期間留守にしていたため、空調がつけっぱなしで部屋が水浸しになっていたり、部屋中が虫の死骸とカビだらけであった等の話も聞いております。住宅についてエージェントがいる場合には、事前に部屋の清掃を手配してもらうのも一つの手かと思います。

5 最後に  

 14日間の隔離を終えて先日ようやくオフィスに出社することができました。弊所インドネシアメンバーも、政府による社会活動制限は継続されているものの、毎日懸命に業務に取り組んでおります[2]

 VISA手続も含め、インドネシアへの赴任、現地での業務等に関する問題や疑問等ございましたら、いつでもご相談ください。

元気にジャカルでお会いできますことを楽しみにしております。

[1] 現時点においてeVisaの新たな発給は原則として停止されており、重要な戦略的プロジェクト等に従事する場合のみ例外的に認められるとされております。

[2] 通常はマスクを着用し、限定的に出社して業務を行っております。