コロナ禍におけるジャワ・バリにおける緊急地域活動制限の実施について

2021年07月05日(月)

コロナ禍におけるジャワ・バリにおける緊急地域活動制限の実施についてニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認ください。

コロナ禍におけるジャワ・バリにおける緊急地域活動制限の実施

 

コロナ禍におけるジャワ・バリにおける緊急地域活動制限の実施

2021年7月
One Asia Lawyers Indonesia office 代表
日本法弁護士
馬居 光二 

1 最初に

 インドネシアにおいてはジャワ・バリにおけるコロナウイルスの急拡大を受けて、2021年7月2日にジャワ及びバリにおける緊急地域活動制限(Pemberlakuan Pembatasan Kegiatan Masyarakat(PPKM))の実施に関する内務大臣告示2021年15号が発出されました。

2 緊急地域活動制限について

本告示は、これまで実施されていた小規模地域活動制限に対して、ジャワ島及びバリ島におけるより厳しい活動制限を導入するものです。インドネシアにおいては1日の感染者が6日連続で2万人を越えているところ、新規感染者数を1日1万人以下に下げるとの大統領の意向を受けて内務大臣が本告示を発行致しました。

 以下本告示の概要を説明致します。

(1)対象地域

 ジャワ島及びバリ島の全県及び全市の中でレベル4に指定された48県・市及びレベル3に指定された75県・市が制限の対象となっております(告示第1項、第3項)。

(2)制限の内容

  ア.事業の制限

  主な事業活動の制限は以下の通りです。

  ①学校、大学等教育活動はオンラインで実施(告示第3項(a))
  ②必須分野(金融、銀行、情報通信、決済システム、隔離業務を行わないホテル、輸出指向産業)以外の活動については完全在宅勤務(告示第3項(b))
  ③必須分野は50%を上限にオフィス勤務が可能(告示第3項(c)1号)
  ④実施を遅らせることのできない公共事業を実施する政府部門での必須業務は25%を上限にオフィス勤務が可能(告示第3項(c)2号)
  ⑤重要分野(エネルギー、物流、食品、国家戦略プロジェクト、電気や水等)は100%のオフィス勤務が可能(告示第3項(c)3号)
  ⑥スーパーマーケット等の食料品店は営業時間を20時までとし、来客数を50%とする(告示第3項(c)4号)
  ⑦薬局は24時間営業(告示第3項(c)5号)
  ⑧レストランやカフェ、屋台等はデリバリー/テイクアウトのみ(告示第3項(d))
  ⑨ショッピングモールは一時閉鎖(⑤重要分野や⑧レストラン等へのアクセスは使用可能(告示第3項(e)))
  ⑩公共施設は一時閉鎖(告示第3項(h)))
  ⑪建設事業は100%運営される(告示第3項(f))

 イ.交通制限

 自家用車、バイク、長距離公共交通機関を利用した長距離の国内移動についてはワクチン接種証明書の提示が求められます(告示第3項1(L)1号)。ただし、物流その他の貨物輸送車両の運転手は、ワクチン接種証明書の所持を免除されております(告示第3項1(L)4号)。

 さらに、ジャワ島及びバリ島を発着する飛行機による移動では、上記ワクチン接種証明書に加え、出発前2日以内に検体採取されたPCR検査の陰性証明書が要求されます(告示第3項1(L)2、3号)。他方で、飛行機以外の交通機関による移動では出発前1日以内に検体採取された迅速抗原検査の陰性証明書が求められる形となっています(告示第3項1(L)2号)。

上記の規制は、ジャカルタ市内の移動は対象としておりませんが、タクシーやGrab等の公共交通機関は定員の70%までの乗車に制限されております(告示第3項(j))。

(3)制裁

 本告示に違反する事業者、レストラン、モール、公共交通機関、個人は制裁が科される旨規定されております(告示第10項)。

(4)期間

 本措置は7月3日から7月20日まで実施されると規定されており(告示第13項)、延長の可能性も示唆されております。

3 実際のジャカルタの様子

(1)交通

 ジャカルタ特別州内の移動について交通の移動が禁止されていないこともあり、制限初日の7月3日(土)はそれなりに車が走っていました。ただし、感染の原因となり得るスポーツを禁止するという若干不思議な目的で、中心地にあるSudirman通りが閉鎖されておりました。

 また、モールが閉鎖され、飲食店はデリバリー・テイクアウトだけになっているため、Go FoodやGrab Foodといったデリバリーサービスのバイクが非常に多く見られました。昨年売上を伸ばしたこのようなオンラインサービスの事業活動が今後益々活発になっていくことを感じさせます。

(2)建設事業

 前述のように、今回の緊急地域活動制限下でも、建設事業は100%の運営が認められております。実際にジャカルタの街中で普段どおり建設作業は進められておりました。国民の健康を守りつつも、経済の発展を強く企図するインドネシアの現状を示しているように思えます。

(3)モール

 本告示記載の通り、 ジャカルタ内の全てのモールは基本的に閉鎖され、例外的に薬局や食料品店のみが開けられている状態です。飲食店は店内での飲食が禁止され、基本的にはGo FoodやGrab Foodといったデリバリー・テイクアウトのみの対応となっております。 

 実際に緊急活動制限初日にモールを訪れてみましたが、衣料品売場等は商品自体が片付けられており、完全に閉店状態となっておりました。一方で食料品点や薬局等にはそれなりに顧客が見られました。

(4)Antigen 検査

 インドネシアにおいては約150万〜300万ルピア(約1万1550円〜2万3100円)と高価なPCR検査よりも、おおよそ15万ルピア(約1155円)と安価なAntigenと呼ばれる抗原検査が良く使われております。Antigen検査は大きなオフィスビルの前に簡易なテントを張って行われている事が多く、特に予約はしないでも、その場で受付をして10分程度で結果がわかります。

 企業によっては訪問をする際にAntigen検査でネガティブの結果を受けることが求められることもございます。ただし、Antigen検査の精度はPCR検査よりも低いため、省庁への提出等重要な場合にはPCR検査を要求される場合がございます。なお、PCR検査は鼻の粘膜と唾液のいずれかを検査することになりますが、Antigen検査は鼻の粘膜の検査だけに対応している検査場が多いかと思われます。

4 最後に  

 弊インドネシアオフィスも政府の指示に従って現在はオフィスを閉鎖し、完全に在宅勤務となっております。弊インドネシアオフィス自体はそもそもが日本、ASEAN、インドを繋いでリモートワークを行っていたため業務自体に大きな支障はありませんが、多くの在ジャカルタ企業は業務の停滞を強いられているのが現状かと存じます。

 前述の内務大臣通達は7月20日までとされておりますところ、延長も含めて今後の状況を注意深く見守る必要がございます。

 ジャカルタの現状も含め、ご懸念点等ございましたらいつでもご連絡いただければ幸いです。