ニュージーランドにおける資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌(AML/CFT)について

2021年07月20日(火)

ニュージーランドにおける資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌(AML/CFT)についてニュースレターをアップ致しました。
PDF版は以下からご確認ください。

資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌(AML/CFT)に関する最新情報

 

One Asia Lawyers コンプライアンスニューズレター(2021 年 7 ⽉号)

資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌(AML/CFT)に関する最新情報

1) ニュージーランドにおける AML/CFT 規制の改正について
2021 年 6 ⽉ 8 ⽇、ニュージーランドの資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌関連規則(以下、「AML/CFT 規則」)に 4 組の改正が⾏われ、2021 年 7 ⽉ 9 ⽇より施⾏されました。今回の改正は、これらの規則のうち 2 組の規則が期限切れとなることを受けて⾏われたもので、これらの規則は発⾏
時には新しく未検証であったため、ニュージーランド政府が 5 年以内に本規則を⾒直すこ
と が 予定されていました 1 。 2011 年AML/CFT(免除)規則はすでに 2020 年 6 ⽉
30 ⽇に失効しており、 ま た 2011 年AML/CFT(定義)規則は 2021 年 7 ⽉ 27 ⽇
に⼀部失効します2。
4 組の改正は以下の通りです:
1. 2021年資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌(要件およびコンプライアンス)改正規則 (以下「要件およびコンプライアンス改正」)3 2. 2021年資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌(免除)改正規則(以下「免除改正」)4
3. 2021年資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌(定義)改正規則(以下「定義改正」)5
4. 2021年資⾦洗浄・テロ資⾦供与防⽌(クロスボーダー現⾦輸送)改正規則(以下「クロスボーダー現⾦輸送改正」)6
以下のポイントは、改正された規則による主要な変更点の⼀部をご紹介いたします。
1. 要件およびコンプライアンス改正
• 報告主体は、企業である顧客から、ノミニーダイレクター (nomineedirector) 関係・ノミニー株主(nominee shareholder) 関係の有無につき、情報を得なければなりません。このような関係があると申告した場合、企業は強化された顧客管理措置 (enhanced customer due diligence)を⾏う必要があります。
• AML/CFT 監査の既定期間は、2 年ごとから 3 年ごとに延⻑され7、⼀部の
企業は 4 年ごとに監査を受けることが可能となります8。

2. 免除改正
• 関連事業体に対する免除(規則16)を修正し、法⼈ではない事業体にも適⽤されるようにしたものです。したがって、関連事業 (ʻrelatedbusinessesʼ)の免除の対象となる事業体の種類が増えます9。
• 免除規則の規制 11 は、⽣命保険業者のみに適⽤されることを明確にしております(すなわち、新規顧客や新規保険料の募集を締め切った、該当保険契約を提供する⽣命保険業者のみ AML/CFT 法の対象外となります10)。
• 裁判所の任命する清算⼈により提供される関連サービスおよび特定の第三者取引に関して提供される関連サービス、また、警察庁⻑官の命令または⽣産命令の対象者に関して提供される関連サービスを免除とする新しい規制を挿⼊しているものです。

3. 定義改正
• 本改正は、AML/CFT 法における「顧客」の定義を明確にするものです。
清算中の会社は清算⼈の「顧客」であり、遺産の執⾏者または管理者に関連するサービスの提供に関しては、「顧客」はその執⾏者または管理者を意味します。
• 有限責任組合は、指定ビジネスグループの他のメンバーと関係がある場合、AML/CFT 法にて指定ビジネスグループに含めることができるようになりました。
• 本改正は、AML/CFT 法の⽬的上、執⾏者、管理者、受託者としてのサービスが⾦融活動から除外されることを明確にします。

4. クロスボーダー現⾦輸送改正
• 本規則の別表にあるボーダーキャッシュ報告書の所定の書式11を、報告書が含まなければならない所定の情報のリストに置き換えます。
ニュージーランド準備銀⾏(Reserve Bank of New Zealand)、⾦融庁(Financial Markets Authority)、内務省(Department of Internal Affairs)が発表した声明により12、2021 年 7 ⽉ 9 ⽇以降、報告主体は早速この新しい規制に準拠することが求められます。しかし、報告主体がプロセス・⼿続き(および潜在的なシステム)等修正する必要があることを考慮し、2022 年 4 ⽉ 29 ⽇まで過渡的な遵守期間が適⽤されます。
2) ⾦融活動作業部会 (FATF) の 「グレーリスト 」への新規追加について
2021 年 6 ⽉ 25 ⽇、資⾦洗浄・テロ資⾦供与の国際的監視機関である⾦融活動作業部会 (FATF)は、マルタ、ハイチ、フィリピン、南スーダンを監視強化対象の「グレーリスト」に追加されました13。「グレーリスト」とは、資⾦洗浄・テロ資⾦供与のリスクが⾼いものの、この分野での⽋陥を解消するため、FATF と協⼒することを公式に約束している国を⽰しています。実際、マルタはこのリストに掲載された初めての欧州連合の国となりました14。
マルタは、以下の⽅法にて FATF ⾏動計画の実施に取り組みます。
(1)受益者情報が正確であること、および受益者情報が不正確であること
が判明した場合に当局が断固として取り締まることを引き続き実証すること。
(2)⾦融情報機関(Financial Intelligence Unit, ʻFIUʼ)による⾦融情報の活⽤を強化し、税務およびマネーロンダリング関連の刑事事件を追う当局を⽀援すること(これには、歳⼊庁⻑官と FIU の役割と責任の明確化が含まれます)。
(3) マルタの法執⾏機関が脱税に関連するマルタで特定されたマネーロンダリングリスクに沿った事件を発⾒・捜査するためにこれらのタイプの刑事上の税犯罪に対する FIU の分析対象を拡⼤すること15。

 

1 (法務大臣室)。 2009 年マネーロンダリング・テロ資金供与防止法-期限切れ規制と新規制案。 (内閣府 2020 年 3 月 18 日) <https://www.justice.govt.nz/assets/Documents/Publications/ExpiringAnti-Money-Laundering-and-Countering-Financing-of-Terrorism-Act-2009-regulations-substantiveand-technical-changes-and-new-regulatory-proposals-LOCKED-1.pdf>
2 内務省(Te Tari Taiwhenua)。マネーロンダリング防止およびテロ資金対策に関する規制の変更についてのFAQ。 (June 2021)<https://www.dia.govt.nz/AML-CFT-Changes-to-regulations-FAQs—Update-June-2021>

3<https://www.legislation.govt.nz/regulation/public/2021/0147/latest/LMS499118.html?search=y_r
egulation%40regulation_2021__rc%40rinf%40rnif_an%40bn%40rn_25_a&p=1>

4<https://www.legislation.govt.nz/regulation/public/2021/0146/latest/LMS499387.html?search=y_r
egulation%40regulation_2021__rc%40rinf%40rnif_an%40bn%40rn_25_a&p=1>

5<https://www.legislation.govt.nz/regulation/public/2021/0145/latest/LMS499212.html?search=y_r
egulation%40regulation_2021__rc%40rinf%40rnif_an%40bn%40rn_25_a&p=1>

6<https://www.legislation.govt.nz/regulation/public/2021/0144/latest/LMS499306.html?search=y_r
egulation%40regulation_2021__rc%40rinf%40rnif_an%40bn%40rn_25_a&p=1>

7内務省((Te Tari Taiwhenua)。会計士向け情報、監査ガイドライン。.
<https://www.dia.govt.nz/AML-CFT-Information-for-Accountants>

8 金融庁(FMA) – Te Mana Tatai Hokohoko. マネーロンダリング防止およびテロ資金供与対策-規則の更新。(2021 年 7 月)<https://www.fma.govt.nz/assets/Guidance/AML.CFT-Regulation-Update-2021.pdf>

9 金融庁 (FMA) – Te Mana Tatai Hokohoko. マネーロンダリング防止およびテロ資金供与対策-規則の更新。(2021 年 7 月)<https://www.fma.govt.nz/assets/Guidance/AML.CFT-Regulation-Update-2021.pdf>

10 AML/CFT 法は 2009 年資金洗浄・テロ資金供与防止法を示す。

11<https://www.legislation.govt.nz/regulation/public/2010/0352/14.0/DLM3160918.html?search=y_r
egulation%40regulation_2021__rc%40rinf%40rnif_an%40bn%40rn_25_a&p=1#DLM3160918>

12 ノミニーダイレクターとノミニージェネラルパートナーの新規制 (2021 年 7 月 9 日)
<https://www.fma.govt.nz/assets/Guidance/Regulation-for-nominee-directors-and-nomineegeneral-partners-2021.pdf>

13 ロイター ( 2021年6月28日 ) <https://www.reuters.com/article/fatf-financeidJPKCN2E30M8>
14 Greens/EFA. 前代未聞。マルタがマネーロンダリングの世界的なグレーリストに掲載されました。( 2021 年 7 月 25 日)<https://sven-giegold.de/en/malta-on-global-grey-list-for-money-laundering/>

15 金融活動作業部会。監視を強化している管轄国 – 2021 年 6 月.<https://www.fatf-gafi.org/publications/high-risk-and-other-monitoredjurisdictions/documents/increased-monitoring-june-2021.html>https://www.internationalinvestment.net/news/4033532/fatf-officially-reveals-malta-countriesgrey-list


  |