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ミャンマーにおける証券口座開設の実務について

2022年02月07日(月)

ミャンマーにおける証券口座開設の実務についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

ミャンマーにおける証券口座開設の実務

 

ミャンマーにおける証券口座開設の実務

20222
One Asia Lawyersミャンマー事務所
代表弁護士(日本法):佐野 和樹

1 はじめに

 2020年3月6日にミャンマー証券取引委員会(Securities and Exchange Commission of Myanmar, “SECM”)が通知にて、ヤンゴン証券取引所(Yangon Stock Exchange, “YSX”)での外国人投資家の取引を同月20日から解禁すると発表しました。2020年3月以降、外国人であってもミャンマーの株式を購入することが可能となっており、現在でも一定程度の取引が日々行われています。

 その後、新型コロナウイルスおよび緊急事態宣言により、状況が変化しておりますが、引き続き、証券口座開設および株式の取引が行われています。なお、ミャンマーの株式を売買するためにはミャンマーの証券取引口座を開設することが前提となっており、口座開設手続きのためには非居住者であっても一度はミャンマーを訪れる必要があります。

 本レターでは、2021年に当職が実際に体験したミャンマーの証券会社の一つであるMSEC(Myanmar Securities Exchange Centre)におけるヤンゴンでの証券口座開設において必要な書類・情報を含む手続き及び実際の売買を一例として紹介させていただきます。個別のケースに応じて必要な書類・情報が異なる可能性があることをご了承いただいた上でご参考にしていただければ幸いです。

2 証券口座開設及び売買について

(1) 日本人(ミャンマー居住者)の場合

 ①MSEC:パスポートの原本・本国で発行された顔写真付き本人確認書類・居住要件を確認する書類(Stay Permit,賃貸契約書等)、ミャンマー銀行口座の情報をMSECへ提出し、口座開設申込み
 ②メール:申請の次の日に銀行で証券口座を開設することができる旨の「Recommendation Letter」が発行できた旨のMSECからの連絡
 ③現地銀行:MSECで受領したRecommendation Letterを持参し、現地銀行にて証券取引専用口座を開設
 ④MSEC:証券取引専用口座開設と同日にMSECにて証券口座開設。その際に証券取引のためのMSECアプリのダウンロード・設定
 ※③の現地銀行と④のMSECの場所が近くにあるため同日の手続き完了可能
 ⑤ウェブ:証券口座にミャンマーチャットを振り込み(インターネットバンキングやKpayなどウェブマネーで支払い可能)、MSECアプリまたはウェブサイトによる株式購入

(2) ミャンマー法人(ミャンマー資本100%)

 ①MSEC:会社設立証明書(Certificate of Incorporation)、取締役会議事録(証券口座開設および受任者を記載)、取締役リスト、取締役のパスポートまたはID、主要株主リスト、全株式の10%以上を保有する株主のパスポートまたはID・受任者のパスポートまたはID、ミャンマー銀行口座の情報をMSECへ提出し、口座開設申込み
 ②MSEC:同日にMSECにて証券口座開設。その際に証券取引のためのMSECアプリのダウンロード・設定
 ③ウェブ:証券口座にミャンマーチャットを振り込み(インターネットバンキング・Kpayなどで支払い可能)、MSECアプリまたはウェブサイトによる株式購入

3 まとめ

 2022年2月時点においてもミャンマー居住者、ミャンマー現地法人の証券口座の開設および株式の取引は原則として問題なく運用されています。ただし、日本に居住するようなミャンマー非居住者であっても証券会社へ一度は出頭しなければなりません。そのため、新型コロナ流行による入国制限がある状況では非居住者の証券口座開設は気軽にできないように思います。

以 上