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オーストラリアにおける労働安全衛生法および有給育児休暇の改正について

2023年04月14日(金)

オーストラリアにおける労働安全衛生法および有給育児休暇の改正についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

オーストラリア:労働安全衛生法および有給育児休暇の改正

 

オーストラリア:労働安全衛生法および有給育児休暇の改正

2023年4月吉日
One Asia Lawyers Group
オーストラリア・ニュージーランドチーム

1.はじめに

 オーストラリアにおける労働安全衛生法および有給育児休暇の権利に関する最近の法改正は、オーストラリアの企業およびオーストラリアで子会社を保有する外国企業にとって重要なものです。

 これらの改正は、2023年労働安全衛生改正法(the Work Health and Safety Amendment Act 2023 (Cth) )および2023年有給育児休暇改正法(家族のための改善と男女平等)(the Paid Parental Leave Amendment (Improvements for Families and Gender Equality) Act 2023 (Cth))により導入されました。

 本稿では、これらの改正法に基づきオーストラリアの企業のとるべき対応について解説します。

2.職場安全衛生法

 2023年労働安全衛生改正法(the Work Health and Safety Amendment Act 2023 (Cth) )により、労働安全衛生法における最も重い犯罪において、過失(Negligence)が心理要件として含まれるようになりました。これにより、有罪判決のハードルが下がり、無謀で重大な過失(Reckless and Grossly Negligent)を犯した雇用主は、より深刻な結果や罰則に直面する可能性があります。また、この改正では、労働安全衛生法に基づく金銭的な罰則を保険でカバーすることを禁止し、罰金を単なる事業活動のコストとしてではなく、適切な抑止力として機能させることを保証しています。

 オーストラリアで事業を行う企業(オーストラリア子会社を持つ日本や世界各地の外国企業を含む)は、労働安全衛生法に基づく新たな違反の基準値の引き下げを認識し、以下に示すような対応を取ることが推奨されます。

労働安全衛生に関する社内ポリシーのレビュー

 過失や重過失を含む労働安全衛生問題の発生を可能な限り排除するために、今回の改正を踏まえ、労働安全衛生に関する社内ポリシーの見直を行うことが推奨されます。

従業員へのトレーニング

 オーストラリアのすべての雇用主は、従業員に対して注意義務(Duty of Care)を負っており、職場における従業員の安全に対して最終的な責任を負います。適切な労働安全衛生管理の実施に関する意識を高め、労働安全衛生の問題が発生するリスクを最小限に抑えるために、従業員やその他社内の関係者を対象に労働安全衛生法のコンプライアンスに関するトレーニングを実施することが推奨されます。このようなトレーニングは、雇用主と従業員の義務、最近の法規制の改正、および適切なトレーニングプログラムを通じてこれらの要件に準拠する方法についてアドバイス可能な労働安全衛生法のコンプライアンスに関する専門家や法律事務所に委託される場合が多く見受けられます。

報告手順の作成および窓口の設置

 問題に遅滞なく対処し、深刻化のリスクを軽減するために、従業員や利害関係者が労働安全衛生の危険や問題を迅速かつ匿名で報告できる明瞭な報告手順の策定およびホットライン(報告窓口)の設置を行うことが推奨されます。

3.有給育児休暇

 2023年有給育児休暇改正法(家族のための改善と男女平等)(the Paid Parental Leave Amendment (Improvements for Families and Gender Equality) Act 2023 (Cth))は、オーストラリア政府の有給育児休暇制度に大きな変更をもたらしました。主な変更点は、2023年7月1日から有給育児休暇が18週間から20週間に延長されることです。その他の変更点としては、この制度で支給される休暇の日数上限が30日に撤廃されたこと、実の親ではない両親との乳児の絆やケアに関する規定が追加されたことが挙げられます。

 コンプライアンスを確保するため、企業はオーストラリアの従業員の有給休暇の延長を認識し、雇用契約書、給与計算システム、その他の関連する文書に適切な修正を加えることが推奨されます。

4.おわりに

 労働安全衛生法および有給育児休暇に関する今回の改正は、企業が従業員に対して負うべき責任の度合いや雇用関係に大きな変化をもたらしました。オーストラリアの企業にとって、新しい改正点を認識しコンプライアンス確保のための適切な対策をとることは、信用を維持し、重大な罰則を回避するために非常に重要といえます。