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ラオスにおける職業あっせん業について

2025年08月22日(金)

ラオスにおける職業あっせん業についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
あっせん業について

ラオスにおける職業あっせん業について

                                     2025年8月21日

                           One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景

職業あっせん事業については、2010年1月12日付「職業紹介事業にかかる会社設立及び管理に関する労働社会福祉大臣合意(No.043)」(以下「旧合意」)において、同事業を行う会社設立の条件として「ラオス国籍者、または外国人の場合はラオス人との共同出資であること(旧合意第14条)」と規定されていました。

その後、2023年に「職業紹介法」が制定され(詳細は弊所ニューズレターをご覧下さい)、さらに、労働社会福祉省は2022年3月25日付で旧合意に代わる「職業あっせんサービス事業者の管理に関する労働社会福祉大臣合意(No.1050)」(以下「新合意」)を2025年8月11日に官報で公布し、施行されています。

旧合意では外国人の参入も一定の条件下で可能と解釈されていましたが、新合意では「共同出資」の条件が削除され、結果として外資参入は難しくなったといえます。

もっとも、職業あっせん事業は旧合意以前から「ラオス国籍者に保全される事業リスト」に含まれていました。そのため、もともと外資参入は認められない事業と解釈されており、新合意によってこの点の矛盾が整理されたともいえます(詳細は弊所ニューズレターをご覧下さい)。

以下、旧合意からの改正点を中心に解説いたします。

2.政府の方針について

 旧合意では、政府は「ラオス国籍の個人、法人、またはラオス国籍と共同出資する外国法人」に対して職業あっせん事業を奨励する(旧合意第3条)とされていました。

一方、新合意では「外国法人との共同出資」の文言が削除され、「ラオス国籍の個人および法人」のみが対象とされています(新合意第4条)。

外資参入を直接的に禁止する規定はないものの、政府は職業あっせん事業に関して外資を積極的には受け入れていないと解釈できます。

3.職業あっせん事業許可証の取得要件について

(1)事業許可証の取得要件について

旧合意と新合意の違いは以下のとおりです。大きな変更点は、外国法人が対象から削除された点です。

 

新合意

旧合意

ラオス国籍であること

ラオス国籍又はラオス国籍と共同出資する外国籍であること

マネージング・ダイレクターが25歳以上であること

同左

マネージング・ダイレクターが高等専門学校を卒業していること

高校を卒業していること

マネージング・ダイレクターが健康であること

同左

マネージング・ダイレクターに犯罪歴がないこと

同左

登録資本金及び保証金が準備できること

同左

自身(マネージング・ダイレクター)が事業許可証の取得申請をすること

同左

破産していないこと

同左

事業経験があること及び事業に必要な人材がそろっていること

同左

10

詳細な雇用計画と事業計画があること

11

労働社会福祉省から職業あっせん事業の試用事業許可を得ている法人は、優遇する

(2)事業許可証の有効期限

旧合意では有効期限は2年でしたが、新合意では3年に延長されました。

また、許可証の名称も「職業あっせんサービス会社設立許可証」から「職業あっせん業活動許可証」へ変更されています(新合意第16条)。

4.登録資本金及び保証金について

登録資本金と保証金の額は変更されていません。保証金は労働社会福祉省の銀行口座に米ドル建てで振り込みますが、実際に利用する際はラオスキープで引き出されます(新合意第14条)。

業種

資本金/回転資金

保証金

国内職業あっせん業

2憶キープ以上

(約9,200USD)

2,000USD以上

 

国内及び国外職業あっせん業

20憶キープ

(約92,000USD)

20,000USD以上

 

5.職業あっせん業試用許可

ラオス国籍の法人は、本格的に事業を行う前に試験的にサービスを提供するための「試用許可証」を取得できます(新合意第19条)。

試用期間は原則1年。更新可能ですが最長3年まで(新合意第22条)。

申請に必要な書類は、以下の通りです(新合意第21条)。

(1)職業あっせん業試用申請書

(2)企業登録書及び納税証明書の写し

(3)FS及び事業計画書

(4)銀行残高証明証

(5)マネージング・ダイレクターの無犯罪証明証

6.サービス料について(新合意第36条)

国外職業あっせん業:雇用契約に基づき、雇用者から労働者の月給の3%を毎月徴収(旧合意の5%から引き下げ)。

国内職業あっせん業:労働者の初回給与の50%(初回のみ)を雇用者から徴収(旧合意から変更なし)。

以 上

 

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)