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ラオスにおける民事訴訟法の改正(Part3)について

2026年03月21日(土)

ラオスにおける民事訴訟法の改正についてのニューズレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
民事訴訟法の改正(Part3)について


ラオスにおける民事訴訟法の改正について(Part3)
                                                                                                                            2026 年3月21日
                                                                                            One Asia Lawyers Groupラオス事務所

1.背景

2025年1月30日より、改正民事訴訟法(No.67)が施行されています。前回(Part2)では、召喚状および第一審における裁判手続のうち、主として訴状提出に関する改正点について解説しました。

Part3では、第一審における尋問手続および上訴手続(控訴・最高裁判所への不服申立)に関する改正点について紹介します。

2.第一審における裁判手続について
(1)尋問手続きの準備

ラオスでは、訴額が高額な事件を除いては、まずは調停を行い、そこで和解が成立しなかった場合のみ、訴状を裁判所へ提出することが可能です(改正民事訴訟法第208条)。他方、原告が訴訟提起できない場合、つまり、訴訟要件について新たに規定されました(改正民事訴訟法第218条)。

  • 原告が紛争の対象となっている財産の所有権を持たない場合
  • 請求権がまだ発生してない場合
  • 原告の権利と利益が侵されていない場合
  • その他

    (2)仮執行について
    改正前は、仮執行の制度について詳細は規定されていませんでしたが、改正後は以下のとおり、仮執行が認められる条件が新たに規定されました(改正民事訴訟法第264条)。
    ① 対象となる事件
    金銭債務や損害賠償請求など、主として財産的給付を目的とする事件であること
    ②当事者の認識
    当事者双方が、損害や債務の発生について基本的事実を認め、その判断が上級裁判所で確定することが担保されていること。
    ③緊急性・必要性
    仮執行を請求する側に、損害の軽減や是正などの必要性・緊急性があり、それを裏付ける証拠があること。
    ④執行可能性
    仮執行の対象となる財産について、実際に執行できることを証拠により保証できること。
    ⑤金額の制限
    仮執行で認められる金額は、裁判所または審判所が命じた損害賠償や債務の総額の 3分の1以内 に限られること。
    なお、日本の民事訴訟制度では、第一審判決に仮執行宣言が付されることが一般的ですが、ラオスでは限定的な条件の下で認められる制度となっている点に特徴があります。

    (3) 控訴申立について
    日本における「控訴申立」のことをラオスでは「控訴申立予約」と呼んでおり、申立予約日から20日以内に控訴理由を記載した「控訴申立書(日本で言う控訴理由書)」を提出しなければならないことが明文化されました(改正民事訴訟法第278条)。

    3.控訴審における裁判手続について

(1)最高裁判所への破棄申立

ラオスでは、控訴審判決に対して一定の場合に最高裁判所への破棄申立を行うことができます。この制度は、日本法における上告または上告受理申立に類似する制度と理解することができます。

もっとも、以下のような事件については破棄申立が認められないとされています(民事訴訟法第299条)。

・被告が請求を認めた事件 
・訴訟を審理しない旨の決定 
・家畜の所有権に関する事件 
・通行許可に関する事件 
・訴額が1億キープを超えない事件 
・第一審へ差し戻された事件 
・控訴理由書が提出されていない事件

(2)控訴審判決の破棄事由について

改正法では、最高裁判所が控訴審判決を破棄することができる事由についても整理されました(改正民事訴訟法第317条)。これらに該当する場合、最高裁判所は控訴審判決を破棄し、事件を再審理のため下級審へ差し戻すことができます。

  • 控訴裁判所が事件の解決にあたり法令を誤って適用した場合。
  • 控訴裁判所が審理の範囲を超えた場合。
  • 控訴裁判所が控訴請求について不完全な判断を下した場合。
  • 控訴裁判所が訴訟規則に違反した場合。
  • 控訴裁判所が敗訴当事者の費用及び他の裁判所の費用を誤って考慮した場合。
  • 控訴裁判所が法令に違反した第一審裁判所の判決を維持した場合。
  • 新たな控訴裁判所の判決が第一審裁判所の判決と矛盾する場合
  • 法律に定めるその他の理由

    4.判決内容の説明手続について
    改正民事訴訟法では、控訴審判決後の手続についても明確化されました(改正民事訴訟法322条)。控訴裁判所から第一審裁判所に事件記録および判決書が送付された後、第一審裁判所は7日以内に当事者を召喚し、判決内容を説明する義務を負います。また、その説明内容については文書として記録されます。この制度は、当事者に対する判決内容の周知を確実にすることを目的としたものと考えられます。

以上

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

 


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