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スリランカの投資環境および投資規制について

2020年10月23日(金)

スリランカの投資環境および投資規制についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

スリランカの投資環境と投資規制について

 

 

スリランカの投資環境および投資規制の概要

2020年10月23日

One Asia Lawyers

南アジアプラクティスチーム

 

1 スリランカの魅力と投資環境

 スリランカ民主社会主義共和国(以下、「スリランカ」)は、2009年の内戦終結に伴う国内情勢安定化を背景に、投資が拡大しています。特に、戦後のインフラ関連投資が増加しています。また、スリランカ国内には8つの世界遺産が存在しており、外国人観光客も急増していましたが、2019年4月に発生したコロンボでのテロに続いて、コロナ禍において観光業など主要な産業がダメージを受けており、経済の早期回復が望まれるところである。

 ODA関連事業者を除けば、後述するスリランカの地理的優位性に注目した製造業、物流業者、造船業者等の進出やスリランカ独自の強みを活かした事業者(例えば、スリランカ人の手先の器用さを活かした食器等の製造を行う会社やスリランカの天然ヤシを利用する事業者)による投資が行われています。

スリランカとインドの間ではFTAが締結されており、スリランカは、インドプラスワンとして活用されるケースが多いですが、著者としては、今後ASEANプラスワンとして、ASEANからスリランカへの企業進出が増加し、日系企業を含むASEAN企業のインド、中東、アフリカに向けた中継地(ハブ)として機能することを期待しています。

(1)ASEANとアフリカ等を繋ぐ中継地点[1]

 その理由の一つは、ASEANをはじめ、インド、中東、アフリカ等の新興国や欧州に近く地理的優位性があり輸送ハブ拠点として活用できる可能性があります。既にスリランカのコンテナ取扱量は、インド洋に面した主要港湾の中で、インド最大のジャワハルラルネール港に次いで第2位ですが、インド洋の輸送ハブ機能を強化するため、コロンボでは港湾の開発が急ピッチで進んでいます。さらに、インドの港は、場所によって浅く、大型船が着港できないことがあります。その点、コロンボ港の水深は17〜18メートルもあり、スリランカで小型船に積み替えることも可能です。スリランカは、21世紀と22世紀に勃興するであろうASEANとアフリカ諸国の中間に位置しており、今後、さらに港湾が強化されていけば、スリランカの重要性はさらに増していくことが想定されます。

(2)スリランカ人材の魅力

 二つ目の理由は、スリランカの人的な魅力です。筆者がスリランカの人々と接して驚いたのが、信仰深い仏教徒が非常に多いということです。筆者の駐在経験が長いタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー等のASEAN諸国との親和性が高いと感じています。また、スリランカは、日本と同様に、島国の小国で、歴史的に灌漑農業で発展してきた農耕民族の国であり、共存・共栄していく共同体の精神はかつての日本に類似しているところがあり、日本人にとっては親しみあると感じられます。

 さらに、一般的に高い教育水準(例えば、高い識字率等)と高い英語能力を備えており、この点に着目した日系IT企業がスリランカでソフトウェア開発を行っているケースもあります。また、筆者が現地弁護士事務所や会計事務所等を訪問し、業務を行っている限りでは、専門職業人のレベルは、比較的高いと感じました。

 最後に、人件費についてですが、工員の給与は、月額200米ドル弱程度であり、バンコクやマニラの約半分程度であり、カンボジアやミャンマー等とほぼ同水準である点も注目に値します。     

 以上、スリランカは、人口が約2,100万人と少なく、消費市場や製造拠点としての魅力は限定的だと考えられますが、人口が少ない国であっても、シンガポール(ASEAN地域統括拠点として活用)やチリ(南米地域統括拠点として活用)等のように統括拠点として、成功している事例は多く存在します。前述したインド洋の海上交通の要所という地理的長所とスリランカ人の人的魅力を活かして、著者としては、将来的にスリランカがASEANとアフリカ、中東等を繋ぐ統括ハブ、輸送ハブ国家として発展することを期待するばかりです。各種詳細は次に述べる通りです。

3)地理

首都は、スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ、産業の主要都市はコロンボ 。インドの南岸沖に位置する島国であす 。面積は6万5,610平方キロメートルと、北海道よりわずかに小さいです。日本との時差は 3 時間30分。気候は年間を通じて気温が高い熱帯気候。雨季と乾季があり、南部と西部では雨季が4月〜6月と10月〜11月、北部と東部では雨季が10月〜3月と地域によって時期が異なります。 

4)人口・民族・言語

人口は2167万人(2019年[2])。民族は、シンハラ人(74.9%)、タミル人(15.3%)、スリランカ・ムーア人(9.3%)。シンハラ語とタミル語が公用語だが、両言語の連結語として英語が広く使われています[3]。 15歳以上成人の識字率は98%となっています(2019年、世界銀行[4])。

<人口動態[5](人)>

1990

1995

2000

2005

2010

2015

2019

17,325,773

18,242,912

18,777,601

19,544,988

20,261,737

20,970,000

21,803,000

 

(5) 宗教・暦

仏教徒(70.1%)、ヒンドゥ教徒(12.6%)、イスラム教徒(9.7%)、キリスト教徒(7.6%)。 仏教国であるタイやミャンマーと同様に仏暦を採用しています。仏教・ヒンズー教・イスラム教それぞれの暦に基づく祝祭日が定められているため、年間祝日は25日程度、その多くが毎年変動します。

 (6)国家・政治体制

1972年に英連邦内自治領から完全独立したスリランカでしたが、1983年以降25年以上に渡り,スリランカ北・東部を中心に居住する少数派タミル人の反政府武装勢力である「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が北・東部の分離独立を目指して活動し,政府との間で内戦状態にありましたが、2009年5月に政府軍がLTTEを制圧し終結しました。

内戦終結後、マヒンダ・ラージャパクサ大統領率いるスリランカ自由党(SLFP)を中核とする与党統一人民自由連合(UPFA)が2期に渡り政権を運営。2015年1月に大統領選挙が実施され、前保健相でもあるシリセーナ野党統一候補がマヒンダ・ラージャパクサ大統領を破り当選。シリセーナ大統領は,統一国民党(UNP)と政権を樹立。ウィクラマシンハUNP総裁が首相に就任しました。シリセーナ大統領の5年の大統領任期満了に伴い,2019年11月に大統領選挙が実施され、マヒンダ・ラージャパクサ元大統領の弟であるゴタバヤ・ラージャパクサ・スリランカ人民戦線(SLPP)候補が大統領に就任。実兄マヒンダ・ラージャパクサ元大統領を首相に任命しました。

<行政区分[6]

スリランカの国土は9つの州と25の県に分けられます。9つの州は選挙によって選ばれた州議会により統治されます。25の県には県事務所が設置され、中央政府により任命された県次官が統治します。さらに県は複数のDivision Secretary地区(DS地区)に分割され、DS地区は更に小さなGrama Niladhari地区(GN地区)に分割されます。スリランカ全体では合計256のDS地区と、14,000 ほどのGN地区が存在します。

州都

県数

GDP寄与率(2018)[7]

西部州

コロンボ

3

38.5%

中部州

キャンディ

3

11.8%

北西部州

クルネーガラ

3

11%

南部州

ゴール

3

10%

サバラガムワ州

ラトゥナプラ

2

7.6%

ウバ州

バドゥッラ

2

5.7%

北中部州

アヌラーダプラ

2

5.6%

東部州

トリンコマリー

3

5.7%

北部州

ジャフナ

4

4.1%

 

7)通貨・経済状況

通貨はスリランカルピー(LKR)。1 米ドル=186.01 ルピー(2020 年 9 月2日、スリランカ中央銀行[8])。

<主な経済指標と推移[9]

 

2015

2016

2017

2018

2019

名目GDP(100万LKR)

8,647,833

9,035,830

9,359,147

9,668,600

9,889,379

〃 (100万USD)

63,612.33

62,062.41

61,392.34

59,489.07

55,311.22

1人あたりGDP(LKR)

522,304

565,773

621,531

662,949

688,719

〃       (USD)

3,842

3,886

4,077

4,079

3,852

経済成長率(%)

5.0

4.5

3.6

3.3

2.3

インフレ率(%)

3.8

4.0

7.7

2.1

3.5

US$為替レート

135.95

145.59

152.45

162.53

178.80

 

8)産業

産業別GDP割合は、次の通りです。

<産業別GDP割合[10]

 

2015

2016

2017

2018

2019

農林水産業

8%

7%

8%

8%

7%

食品・飲料・タバコ製造業

8%

7%

6%

6%

6%

衣料・レザー製品製造業

4%

5%

5%

5%

5%

その他製造・エネルギー業

16%

16%

16%

16%

17%

卸売・小売貿易業

11%

11%

11%

11%

11%

物流・倉庫業

12%

12%

11%

11%

11%

金融業

3%

3%

4%

4%

4%

不動産業

6%

6%

6%

6%

6%

国防・行政関連業

6%

6%

6%

6%

6%

その他サービス業

20%

19%

19%

19%

20%

 

2019年3月中旬時点での累計登録企業は次の通りです。

<形態別登録企業>

 

2015

2016

2017

2018

2019

合計

公開株式会社

1,292

55

89

72

44

1,552

非公開株式会社

134,652

14,455

18,139

21,715

17,105

206,066

非営利会社

783

286

396

442

397

2,304

外国企業

100

22

39

49

33

243

 

210,165

 

(9) 外国投資

投資促進機関であるスリランカ投資委員会(BOI)は、1978年に大コロンボ経済委員会(GCEC)として設立され、コロンボ市周辺の開発を行う権限を有しています。その後、1992年には、GCECがBOIとして再編され、国全体を含む権限が付与されました。BOIは、投資家にとって中心的なファシリテーション・ポイントとして機能し、便利さ、簡単なアクセス、情報を提供するように構成されています。

<外国貿易地域/自由港湾/貿易促進>

スリランカには、投資委員会が管理する輸出加工区とも呼ばれる12の自由貿易地域があります。ゾーン内外に所在する輸出志向の企業は、プロジェクト関連の資材を輸入することができ、関税恩典を受けることが可能となっています。

<二国間投資協定及び租税条約>

政府は、米国(1993年5月に発効)、オーストラリア、ベルギー・ルクセンブルク、中国、チェコ、デンマーク、エジプト、フィンランド、フランス、ドイツ、インドネシア、イラン、イタリア、日本、韓国、クウェート(未発行)、マレーシア、オランダ、ノルウェー、パキスタン、ルーマニア、スウェーデン、スイス、タイ、英国およびベトナム(未発行)と投資保護協定を締結しています。また、スリランカは、インド、パキスタン、シンガポールと自由貿易協定(FTA)を締結し、中国とFTA交渉を行っています。インド、パキスタンとのFTAは、物品貿易のみを対象としています。この協定は、製造品及び農産品に対する関税の免税及び特恵を規定しています。

さらに、スリランカは、南アジア自由貿易地域(SAFTA)とアジア太平洋貿易協定(APTA)に加盟しています。スリランカは、85年に米国との二国間租税条約に署名し、2002年に改正されました。このほか、オーストラリア、バングラデシュ、バハレーン、ベルギー、カナダ、中国、チェコ、デンマーク、フランス、フィンランド、ドイツ、香港、インド、イラン、イタリア、日本、韓国、クウェート、マレーシア、モーリシャス、ネパール、オランダ、ノルウェー、オマーン、パキスタン、フィリピン、ポーランド、カタール、ルーマニア、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、スウェーデン、スイス、タイ、UAE、英国、ベトナム、セイシェル、ベラルーシ、パレスチナ、ルクセンブルクと二国間協定を締結しています。

2 外国企業の投資規制 

1)投資に関する関係法令

スリランカの投資を促進する主要な法律は、以下の通りです。

法令とその内容

1978年投資委員会法No.4

 

1978年投資委員会法No.4およびその改正は、スリランカへの投資に適用される基本法です。本法は、投資家の「中央円滑化ポイント」として機能するように構成され、投資家と契約を締結する権限を与えられ、投資を誘致するためのインセンティブを提供し、スリランカ投資委員会である国家投資促進機関を設立しています。

2012年金融法No.12(ハブ業務)

 

この法律は、新興貿易拠点としてスリランカの機能を強化し、関連する特定の貿易・サービス活動を促進するために導入されたものです。スリランカが交換可能な外貨での取引を自由に行うことのできる財・サービスの輸出入を促進するため、貿易関連のインフラを整備するため、保税地域等が設置されています。

2017年内国歳入法No.24

 

この法律は、スリランカの税法を簡素化し、投資家に対して、新しいインセンティブ制度を導入しています。本法は、法人所得税率を28%とする一方で、中小企業、物品・サービスの輸出、IT、教育、観光、農業等の特定分野については、14%の減税率を規定しています。

外為法(2017年法律第12)

 

外為法は廃止され(第423章)、スリランカの自由貿易体制が導入されました。外国為替管理は大幅に自由化され、投資家は中央銀行の承認が特に必要な場合を除き、銀行と直接取引することができるようになりました。

土地政策

 

外国人投資家は、最長99年間に渡り、リースベースで用地確保することが認められてるようになりました。外国人株式所有比率が50%未満の場合は、所有権の移転が認められています。

 

2)外資規制

スリランカの外資規制の概要について解説します。スリランカでは、以下で説明する業種を除いて、原則的に外国資本が自由に投資できる設計となっています。スリランカにおいて、外国資本の投資を禁止する事業活動および政府機関の承認を必要とする事業分野の一覧表が作成されています。それらは2016年6月10日付1970/49通達、2017年11月17日付2045/56通達等にて規定されています。まずは、外国企業の禁止事業は次の通りです。

禁止業種一覧

 

禁止業種

1

貸金業(Money Lending、但し、一部例外有り)

2

質屋業(Pawn Broking)

3

100万ドル未満の資本金での小売業(Retail Trade with a capital of less than One Million US Dollars )

4

沿岸漁業(Costal Fishing)

5

セキュリティサービス(Provision of Security Services)

 

<出資比率に関する制限業種>

 スリランカ投資委員会(Board of Investment、BOI)での承認がない限り、下表の業種に対しては、外国資本の出資比率は40%迄しか認められていません。なお、出資比率が40%を超える場合については、BOIから案件毎に承認を得る必要があります。または、いずれかの企業に対する外国投資のより高い割合について、スリランカ投資委員会から特別承認が与えられた場合に限り、認められる可能性があります。

 

出資制限業種

1

スリランカからの輸出について輸出割当制限対象である物品製造

(Production of Goods where Sri Lanka’s exports are subject to internationally determined quota restrictions )

2

茶、ゴム、ココナッツ、ココア、米、砂糖、香辛料の栽培及び第一次加工

(Growing and Primary Processing of Tea, Rubber, Coconut, Cocoa, Rice, Sugar and Spices 
)

3

鉱業及び再生不可能な天然資源の採掘及び第一次加工

(Mining and Primary Processing of Non Renewable National Resources)

4

スリランカの木材を利用した林業(Timber Based Industries using Local Timber)

5

遠洋漁業(Deep Sea Fishing)

6

マスコミ(Mass Communications)

7

教育(Education)

8

貨物運送業(Freight Forwarding)

9

旅行代理店(Travel Agencies)

10

海運代理業(Shipping Agencies)

 

次の業種への投資については、BOIまたは所管する政府機関による承認が必要となっています。

 

承認が必要な業種

1

航空運送業(Air Transportation)

2

沿岸海運業(Coastal Shipping)

3

武器、弾薬、軍事車両等の生産、毒物、麻薬、危険薬物等の生産、通貨、硬貨等の生産(Industry Promotion Actの附属書に記載される業務)

4

宝石の大規模、機械化採掘業(Large Scale Mechanized Mining of Gems)

5

宝くじ(Lotteries)

 

なお、上記以外にも実務的に規制される業種が存在している可能性があり、実際の投資検討の際には、BOI、監督当局や現地法律事務所に確認の上、慎重に規制を検討することが推奨されます。

<優遇税制>

法人所得税(CIT)に関して、2019/2020年の評価年度から、以下の事業分野は法人税免税となります。

法人税免税の業種

農業

IT及びIT関連サービス

サービスの輸出

・スリランカ内外で提供される

・スリランカ国外の者に利用される

・支払いは外貨で受領され、銀行を通じてスリランカに送金される

(商業ハブ活動:フロントエンドサービス、本社業務、輸出物流サービス、輸送業務、貨物輸送業務、船舶の修理、船舶の破砕修理及び海上貨物コンテナの改装が含まれると考えられます。

海外において外貨建てにて稼得し、銀行を経由してスリランカに送金される利益(第三号に掲げるものを除く)

 

なお、その他一定の分野においてはCITの減税措置や付加価値税の免除や関税の免除等も存在しています。

3外国投資奨励制度

BOI[11]法第16条・第17条による認可が存在しており、次のカテゴリーに当てはまる投資活動は、スリランカ投資委員会により認可されます。外国投資家は必ずしもBOIを通して投資をする必要はありません。しかしながら、BOI第16条認可企業となることで、各種政府機関からの許可を得られることがあり、また、関税等の優遇策を得るためにはBOI第17条企業として認可される必要があります。

BOI法第16条認可投資>

 BOI法第16条の下で認可された外国投資の税務優遇措置はありません。同事業は、スリランカの一般の法律に従って運営され、国税法、関税法、外国為替管理法が適用されます。同認可は、次のことを目的とします。

BOI法第16条認可投資目的

海外投資を開始するための支援

外国株式の新会社設立手続き

既存非BOI企業の株式を海外投資家に譲渡または発行する場合

 

現在、第16条の認可を受けるためには、250万ドルの初期投資が必要。これには、100%外国投資または現地企業との共同投資が可能です。

 なお、小売りによる営業活動を行う場合は、外国から最低500万ドルの資金が送金されることが条件となっています。設立予定の会社の資本金は、スリランカの市中銀行に開設された対内投資口座(IIA)を通してスリランカに送金されることが必要とされます。

BOI法第17条認可事業>

BOI法第17条の下では、事業活動の認可や企業との契約締結を行い、投資の最低額やその他指定の要件を満たすことを条件に、内国税管理法や外国為替管理法、関税法等の法律に対する優遇措置が付与されます。

外国企業が子会社を設立する場合

 

BOI法第17条に基づく(優遇税制を受ける)

スリランカ投資委員会(BOI)に投資認可を申請した後、手順に従って定款草案をBOIに提出します。優遇税制の適用条件を満たしていれば、BOIはこれを認可し、外国企業はBOIから得た認可書と併せて、会社登記局に会社設立申請書を提出します。

通常法下で優遇税制を受けない

 BOIの認可を得ずに、会社登記局に、会社設立申請書を直接提出できます。

しかし、事業分野および出資比率に外国資本参加の制限がある場合は、BOI法第16条に基づいて、会社設立前にBOIの承認を受けなければなりません。

 

<BOIへ支払う手数料>

・BOI法第17条に基づく子会社の場合

ア 申請処理手数料:275ドル

イ 認可処理手数料

戦略的開発事業:3,850ドル

その他の事業:2,200ドル

補足契約が発生する場合:550ドル

 

 

プロジェクト別の年間手数料については次のとおりです。

プロジェクト

年間手数料(USD)

通常のプロジェクト

2,750

ホテル、病院、公益事業、観光事業のプロジェクト

– プロジェクト免税機関中の手数料

プロジェクト規模300万ドル未満

3,850

300万以上1,000万ドル未満

7,260

1,000万ドル超

9,680

戦略的開発事業

18,150

ホテル、病院、公益事業、観光事業のプロジェクト

– 免税期間後と軽減税率適用期間の手数料

プロジェクト規模300万ドル未満

2,530

300万以上1,000万ドル未満

6,050

1,000万ドル超

8,470

戦略的開発事業

12,100

ホテル、病院、公益事業、観光事業のプロジェクト

– 免税減税適用実施終了後

1,100

農業関連プロジェクト

940

コイア(ココナッツ)製品関連事業及び手工芸プロジェクト

1,210

 

・BOI法第16条に基づく子会社の場合

ア 申請処理手数料:330ドル

イ 定款の審査費用:170ドル

ウ 年間手数料:400ドル

第16条に基づく企業および非BOI企業のリース契約処理費は11,000ルピー。 ただし、いずれの費用においても、8%の付加価値税が徴収されます。これは会社登録局に支払います。

BOI手続き後の会社設立手続き>

BOI手続き後、会社登記局で会社設立の手続きを行い、会社設立証明書の発行を申請します。その際、商号の決定、会社登記局における商号の予約申請、覚書および定款の草案作成・提出が必要となります。会社登記局に提出する書類は次のとおりです。

提出書類

定款(株主の氏名・住所・職業、取締役の名前・職業・住所、登記上の事務所住所を明記)

様式1:会社登録申請にあたり、会社法(2007年法律第7号)を遵守する旨の宣言書

様式18:取締役就任の同意書

様式19:取締役、秘書役、共同秘書役に就任した者の一覧表

 

会社登記局における登記手数料は次のとおりです。

登記の形態

手数料   (ルピー)

非公開会社(Private Companies)

4,000 

公開企業(Public Quoted Companies)

20,000

その他の企業(非公開企業ではない信託企業や海外企業の連絡事務所)

15,000

自主的に閉業する場合

50,000

 

<最低外国資本金[12]

株式非公開企業および株式公開企業における、最低資本金に関する具体的要件はありません。BOI法第16条認可投資については250万ドル以上、うち、小売業は500万ドル以上の外資出資が必要となっています。

4)経済特区(Special Economic Zone (SEZ)

BOI管理の輸出加工区・工業団地、または政府管理の輸出加工区等が存在します。長期リース契約に基づき利用が可能です。

BOI投資地区一覧[13]

投資地区名

所在地

事業者

サンプール重工業地区

トリンコマリー県

民間

マーワタガマ輸出加工区

クルネガラ県

 

ポルカハウェラ輸出加工区

クルネガラ県

 

ミーリガマ輸出加工区

ガンパハ県

 

カトナヤケ輸出加工区

ガンパハ県

 

ビヤガマ輸出加工区

ガンパハ県

 

ホラナ輸出加工区

カルタラ県

 

シータワカ輸出加工区

コロンボ県

 

コッガラ輸出加工区

カルタラ県

 

ミリッジャウィラ輸出加工区

ハンバントタ県

 

ワトゥピティウェラ輸出加工区

ガンパハ県

 

キャンディ工業団地

キャンディ県

 

ツルヒリヤ繊維団地

ガンパハ県

民間

マルワッタ輸出加工団地

ガンパハ県

 

ワガワッタ投資地区

カルタラ県

新規

スーリヤウェワ投資地区

ハンバントタ県

新規

 

(5) 進出形態

スリランカへの外国企業の進出形態は、2007年法律第7号新会社法(2007年5月3日施行)により、現地法人会社(Incorporated Company)、支社・支店(Registered Overseas Company, Branch Office)、オフショア会社(Offshore Company)、駐在員事務所(Representative/Liaison Office)に分類されます[14]

ア 駐在員事務所(Representative/Liaison Office)

外国企業は駐在員事務所を設置することができますが、そのステータスは支店と同様です。本社のための商品/サービス手配、調査・管理、代理店・商品に関する助言の提供、広報、報告を行いますが、貿易・投資活動はできないため、売り上げは計上できません。事務所の維持に必要な資金を海外から外貨送金する場合は、証券投資口座(Securities Investment Account)を通じて行います。事務所設置後の1カ月以内に、会社登記局に次の必要書類を提出する必要があります。

会社登記に必要な書類

会社定款等の認証謄本

会社役員名簿(氏名、国籍、現住所、兼業の有無)

スリランカに居住する会社代表者の氏名、会社との関係を示す書類

本社住所やスリランカ国内でのビジネスを行う主要地域の供述書

会社の法人格を証明する認証謄本

 

イ 支社・支店(Registered Overseas Company, Branch Office)

外国企業は、スリランカ国内に支店・支社の開設ができますが、開設申請にあたって会社登記局に提出する書類は次のとおりです。

支店・支社登記申請書類

会社登録申請書

会社設立の認証謄本もしくは会社設立の証拠となる書類

(最近の日付で認証を受けること)

会社設立の定款の規定・綱領の認証謄本

ただし、英語で記載されていない場合は、正確な翻訳(英訳)文書が必要

スリランカ居住者(1人または複数)に、当該企業の代理人としての権限を付与する内容の委任状(会社印を押印し認証すること)

申請書提出の事業年度から過去2年間に遡った外国企業の財務諸表の写し

様式44

外国企業の登録事務所または主たる事務所所在地、およびスリランカにおける主たる事務所所在地を記載した供述書

様式45

外国企業の取締役一覧表

様式46

外国企業を代理・代表し、手続・サービスを受ける権限、および外国企業宛に送付される通知を受領する権限を付与されたスリランカ国内居住者(少なくとも1人)の氏名と住所

スリランカ国内で行う事業内容を明記した取締役会決議案の認証謄本

 

ここで言う「認証」とは、次の方法によって書類が真正な謄本であると証明されることを示します。

認証の種類

書類の原本を管理する当該国政府職員による認証

当該国の公証人による承認

当該国で宣誓を執り行う権限を有する者の面前で行う、外国企業の取締役による承認

当該国の政府職員による署名・捺印、当該国の公証人の署名・捺印、または当該国で宣誓を執り行う権限を持つ者の署名・捺印。これらの署名・捺印は、当該国に設置されたスリランカ大使館の職員により認証されます(当該国にスリランカの大使館が存在しない場合、当該国に所在するスリランカの通商代表部またはスリランカ政府代表部により認証を受けます。これも不可能な場合、当該国の司法当局の職員により認証を受けます)。

 

会社登記局は、財務相および通商・消費者問題担当相の承認書を受け取り次第、外国企業に対し、スリランカ国内において営業事務所を開設することを認可する登録証明書を発給します。なお、会社登記局における外国企業拠点登録料は60,000ルピーとなっています。

ウ 有限責任会社(一人会社含む)(Limited Company)

2007年法律第7号新会社法の条項に基づき、外国企業はスリランカ国内に、株式非公開会社(Private Company)および株式公開会社(Public Company)を設立できます。なお、株式非公開会社では、次の制限が設けられています。

  • 株式もしくは債権を一般投資家に公開することはできません。
  • 株主数の上限は50。(従業員、もしくは元従業員で株主であった者の数はこれに含めません。)

登録手続きについては、下段エを参照。

エ 公開会社(Public Company)

株式公開会社については、7名以上の株主が必要です。コロンボ証券取引所に上場できるのはこの形態のみで、財務諸表は一般投資家も閲覧可能です。なお、株式公開会社は、会社登記局(Registrar of Companies)への登記が義務付けられています。

設立予定の会社の資本金は、スリランカの市中銀行に開設された対内投資口座(IIA)を通して、スリランカに送金されることが必要とされます。

<会社登録>

会社の登録(設立)は以下の手順で行われます。

会社登記手順

登録する会社の名称を決め、会社登録局に同名称を保留するよう申請します。

(使用予定の社名が既に登記されていないかどうか、登記局ウェブサイトhttp://www.drc.gov.lk/を通じてオンラインで確認することができます)

登録予定の会社の定款案を作成します

保留を依頼した会社名の承認を会社登録局から受けます

(申請が却下された場合は、他の名称を再申請すること)

定款案の承認を受け、以下の書類を提出します

・株主の氏名、住所、職業

・役員の氏名、住所、職業

・録予定の会社の登録住所

会社登録局長から定款案の承認を受け、定款最終版を5部印刷します

以下の書式に必要事項を記入し会社登録局に提出します

・フォーム1(2007年会社法第7号に拠る会社登録(設立)申請)

・フォーム18(役員に就任することに同意した者のリスト)

・フォーム19(役員、会社秘書、共同会社秘書就任同意者のリスト

定款および6.のフォームに株主、役員、会社秘書の署名及び公証人の認証を得ます

定款と6.のフォームを会社登録局に提出します

会社登録局より登録証を受け取る。これが会社設立の証となります

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新規に登録された会社は、設立より30日以内に、設立の旨を一般に告知すること

 

オ オフショア会社(Offshore Company)

外国企業がスリランカ国外で事業活動を行う場合、オフショア会社としての登録が可能です。オフショア会社の登録には、次の書類を会社登記局へ提出する必要があります。

オフショア会社登録必要書類

会社登録申請書

外国企業の定款の認証謄本

外国企業の会社設立許可書の認証謄本(最近の日付で認証を受けること)

外国企業の取締役の一覧表(同一覧表には、取締役の氏名、住所、職業、同企業における任務等を記載します)

外国企業のスリランカ国内における1名以上の代理人の氏名・住所(代理人は、スリランカ国籍を有する国内居住者であり、スリランカにおいて外国企業を代理・代表する権限を付与する委任状を所持していなければなりません)

次の内容を含む外国企業の事務弁護士の書状

・外国企業をスリランカにおいてオフショア会社として登録することが、外国企業の設立国において外国企業によって提起された裁判・その他の法的手続、または外国企業に対して提起された裁判・その他の法的手続に対し、一切悪影響を与えないこと

・外国企業の閉鎖が開始されていないこと

・スリランカにおいてオフショア事業に従事することが、外国企業の設立国において法的な問題がないこと

 オフショア会社に係る諸経費として、初回登録時にスリランカ国内の銀行に15万米ドルを入金する必要があります。オフショア会社の登録は毎年更新が必要で、費用は15万ルピー。外国企業は、会社登録機関よりオフショア会社の登録証明書の発給を受けます。

 

[1] 上記地図は、Wikipediaより転載

[2] スリランカ中央銀行(http://erd.cbsl.gov.lk/erd/presentation/htm/english/erd/sdds/rpt_sdds.aspx#5S

[3] 外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/srilanka/data.html#section1

[4] 世界銀行データベース(https://data.worldbank.org/indicator/SE.ADT.1524.LT.ZS?locations=LK

[5] 世界銀行データベース

[6] スリランカ中央銀行 Provincial Gross Domestic Product – 2018 より

[7] 同上(https://www.cbsl.gov.lk/sites/default/files/cbslweb_images/press_20190925_Provincial_Gross_Domestic_Product_-_2018_e.pdf

[8] スリランカ中央銀行(https://www.cbsl.gov.lk/en/rates-and-indicators/exchange-rates/daily-indicative-usd-spot-exchange-rates

[9] スリランカ中央銀行 Economic and Social Statistics in Sri Lanka 2020より(https://www.cbsl.gov.lk/sites/default/files/cbslweb_documents/statistics/otherpub/ess_2020_e.pdf)

[10] スリランカ中央銀行 Gross Domestic Products Data(https://www.cbsl.gov.lk/en/statistics/statistical-tables/real-sector/national-accounts

[11] JETROコロンボ事務所 (https://www.jetro.go.jp/world/asia/lk/invest_09.html)

[12] JETROコロンボ事務所(https://www.jetro.go.jp/world/asia/lk/invest_02.html)

[13] スリランカBOI「スリランカ投資ガイド」より(http://investsrilanka.com/wp-content/uploads/2019/03/investment_guide_japanese.pdf

[14] JETROコロンボ事務所 (https://www.jetro.go.jp/world/asia/lk/invest_09.html)

 

以 上

 

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