ラオスにおける会社法の改正について ~公開会社・国営企業編~
ラオスにおける会社法の改正について ~公開会社・国営企業編~についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
→会社法改正(公開会社・国営企業編)について
ラオスにおける会社法の改正について ~公開会社・国営企業編~
2023年6月12日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所
1.背景
2022年12月29日付で「改正会社法(No.33)(以下、「改正法」)」が公布され、2023年3月30日から施行されています。
2023年4月7日発行のニューズレター(速報)では、一般的な会社の形態である、「株式会社」に関する改正点について解説いたしましたが、今回は、「公開会社」及び「国営企業」に関する改正点を中心に解説いたします。
2.公開会社について
改正法では、公開会社については、第180条から第188条に規定されています。株主及び第三者に対する発起人の責任、企業登録に必要な書類、増資・減資、取締役、会社の合併、分割、解散、清算に関する規定は、改正法の中の「株式会社」の規定が適用されます。他方、経営、会計・監査、財産の取得と処分(売買、譲渡)報告・情報公開、取締役会、株主総会等は、証券取引に関する法令[1]に従うことになります。
改正法条文 |
改正前 |
改正後 |
第180条 公開会社の株主に関する原則 |
株主は少なくとも9人以上 |
株主は少なくとも3人以上 |
第182条 公開会社設立(発起人)会議の開催 |
企業登録管理当局に会社設立契約書を提出し、株主が全員揃ってから90日以内に会議を開催できない場合は、延期を決定した日から数えて10日以内に企業登録管理当局に通知する |
会社設立契約書及び株主が全員揃ってから、90日以内に会議を開催できない場合は、延期を決定した日から数えて10日以内に発起人は株主に通知する |
第185条 株券 |
一部追加 |
未払いの出資金の額及び払込予定日 |
3.国営企業について
改正法では、国営企業については、第189条から第201条に規定されています。国営企業の設立、運営管理及びビジネス活動に関しては、別途規定するとあります。国営会社の株主や取締役の選任に関しては、2020年9月28日付「国営企業の取締役会に関するガイドライン」が発行されており(2021年1月14日付ニューズレターを参照ください)、詳細が規定されています。
改正法条文 |
改正前 |
改正後 |
第193条 政府側の取締役会メンバーの基準と条件 |
新規
|
政府側の取締役会メンバーは財務省によって選任。その他、条件を5項目規定。 |
第194条 国営企業の取締役会の権利と義務 |
一部追加
|
財務大臣へ取締役委員会の選任又は解任を提案。その他すべてで7項目を規定。 |
第195条 国営企業の取締役委員 |
新規
|
・日々の事業活動の管理者であり、代表取締役及び複数の副取締役から構成。 ・取締役会は株主総会の合意及び雇用契約書に従い給与及び報酬を得ることが可能 ・取締役会及び株主総会の管理下で、取締役政府側の取締役の基準と条件(第196条)及び定款の定める範囲で活動 |
第196条 政府側の取締役委員の基準と条件 |
新規 |
管理職として5年以上の経験があること、取締役を受任する前に、自身の財産を申告することなど、すべてで6項目を規定 |
第197条 取締役委員の権利と責務 |
新規 |
国営企業内の人事(管理職、部長、副部長の解任、選任など)等、すべてで13項目を規定 |
第198条 代表取締役と取締役委員の責任 |
新規
|
事業活動の利益と損失に対して直接責任を負う。法律、定款、株主総会又は取締役会の決議に違反する自身の行為に対して、法的責任を負う。 |
第200条 国営企業の株式譲渡 |
新規
|
取締役会又は株主総会で検討し財務省へ提案。事業活動が国の経済活動の安定、国の安全保障に関わる場合は、国会へ提案。株式譲渡後、政府の株式保有率が50%以下の場合は、国営企業から他の企業の形態(株式会社、公開会社など)へ移行。 |
第201条 国営企業から他の企業形態への変更 |
新規 |
[1] 2019年12月3日付「証券取引法 (No79) 」
2022年7月22日付「上場企業の財産の取得と処分に関する合意(No09)」
2016年10月26日付「上場企業の取締役会に関する合意(No0024)」
以 上
本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)