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ラオスにおけるオンライン金売買事業について

2025年05月06日(火)

ラオスにおけるオンライン金売買事業についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
ラオスにおけるオンライン金売買事業につい

 

ラオスにおけるオンライン金売買事業について

                                             2025年5月6日
                                  One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景

ラオスは、20248月に、金の取引を専門に行う「金銀行(Lao Bullion Bank)」を設立し、ラオス中央銀行(以下「中銀」)は、同年11月に「金銀行の事業に関する合意(No1277)」を発行し、そのサービス内容について規定しました(詳細は弊所ニューズレターをご覧ください)。

今回、商工業省は、インターネット上で金の売買事業を行う(以下、「オンライン金売買事業」)ための条件等を規定した「電子的方法による金の売買サービス事業に関する合意(No0666)(以下、「合意」)」を2025422日付で発行しました。なお、既存のオンライン金売買事業者は、120日以内に、合意の内容に従った事業形態へ移行する必要があります(合意28条)。

2.電子的方法による金売買事業について

(1)定義

「電子的方法による金売買事業」を以下のように定義しています(合意第2条)。

ウェブサイトやアプリケーションなどの電子的な方法により、金の売買を行い、ラオス国内の商業銀行のシステムを介して代金を現地通貨キープで取引する事業


(2)金とは

金の延べ棒や金の含有率が99.99%以上の金で作られた製品を指します。ロンドン貴金属市場協会(LBMA)や中銀の規定に従い、国際的な金の取引で使用する金の延べ棒や金鉱は含みません(合意第32項)。

3.オンライン金売買事業許可について

(1)オンライン金売買事業の条件(合意第5条)

①ラオス国籍かつラオスに居住していること

②運営者の少なくとも一人は、ラオスにおいて少なくとも5年の金売買事業を行った経験があること

③登録資本金は、300億キープ(約2億円)以上であること

④商工業省国内貿易局(以下、「国内貿易局」)より貴金属の販売事業許可証を取得していること

⑤ラオスの金、宝飾品、ジュエリー協会のメンバーであること

⑥ラオス国内の商業銀行にキープ口座を持っていること

⑦国内貿易局よりeコマース事業の承認を得ていること

⑧科学技術通信省からウェブサイト又はアプリケーションの技術基準の認証を得ていること

⑨合意第11条で定められた保証金があること(合意第11条の内容は(3)で説明)

(2)オンライン金売買事業許可証の取得について

合意第6条で規定する完全に揃った申請書類一式を国内貿易局へ提出後、15営業日以内に事業許可証が発行されます(合意第7条)。事業許可証は、2年間有効で、満期になる30日前までに、更新することが可能です(合意第8条)。更新には、申請時に提出した書類一式及び年間納税証明書の提出が必要です。

(3)保証金について(第11条)

オンライン金売買事業許可証を取得しようとするものは、ラオスの商業銀行に1千億キープ(約6億6千万円)の保証金を預金担保する必要があります。

商業銀行、金融機関、金銀行がオンライン金売買事業を行う場合は、自身の銀行以外の商業銀行に保証金を預金する必要があります。

保証金は半年ごとに、経済成長やビジネスの状況をレビューしたうえで、その額の見直しを行います。

保証金は、事業者自身が事業を停止することを申し出て、金を売却する相手や債権者に返済する必要がある場合に、保証金を引出すことが可能です。引出してから90日以内にすべてを清算する必要があります。なお、国内貿易局や裁判所の判断により、保証金を引出す権利がはく奪される場合もあります(合意第12条)。

 4.罰金について

合意に違反した事業者は、警告や指導を受けるほか、以下の通り罰金が科せられます(合意第23条)。

(1)事業許可証を取得せずに事業を行った場合

1回目:3千万キープ(約20万円)の罰金及び違反記録

2回目:5千万キープ(約33万円)の罰金及び違反記録

3回目:罰金等の支払いに応じない場合、事業の停止を命じられます。

(2)金の取引額が保証金の額を超えた場合、超過分を罰金として科せられます。

(3)金引き出しオンライン取引証明書に基づき、金を渡さない場合、事業の停止を命じられます。

(4)事業許可証を他人(個人、法人)に使用させた場合、1億キープ(約66万円)の罰金及び違反記録を科します。違反を是正せず、違反を繰り返す場合、事業の停止を命じられます。

なお、(2)(3)及び(4)について、2回目の違反の場合は、罰金の額は2倍となり、3回目は、罰金額が5倍、さらに事業許可証がはく奪されます(合意第24条)。

 

 

 

           以上

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)