ミャンマーにおける取締役住所・会社登録事務所の実在性担保に関する告知
ミャンマーにおける取締役住所・会社登録事務所の実在性担保に関する告知についてのニュースレターを発行いたしました。
こちらの内容は、以下のリンクよりPDF版でもご覧いただけます。
取締役住所・会社登録事務所の実在性担保に関する告知
2025年9月
One Asia Lawyersミャンマー事務所
代表弁護士(日本法):佐野 和樹
1.はじめに
DICA(Directorate of Investment and Company Administration)は、2025年8月20日、ミャンマー会社法141条に基づく登録事務所(Registered Office)の変更届出義務および会社設立後2か月以内の提出が必要な年次報告書(Annual Return)において、取締役住所・会社登録事務所の実在性を担保する添付資料の提出をあらためて周知するとともに、違反が判明した場合、罰金その他の措置が科され得る旨を告知しています。
本ニューズレターでは、DICAの告知本文(日本語翻訳文)を掲げたうえで、実務上の要点を整理します。
2.DICAの告知本文
- ミャンマー会社法141条(a)に基づき、会社は設立日から、会社宛の連絡・通知等を受領するため登録事務所を設けておかなければならない。登録事務所を変更した場合は、ミャンマー会社法141条(c)に従い、変更前に新しい住所について登記官へ届出を行う必要がある。
- 電子登記(MyCO)に提出された会社の登録事務所住所がミャンマー国内に実在するよう担保するため、会社設立後2か月以内に提出すべき年次報告書(Annual Return)の提出時に、以下の資料を添付する旨を既に告知している。
(a) 取締役に円滑に連絡できるよう、MyCOに登録した取締役の住所に実際に居住していることを示す、所轄タウンシップ警察または区(ワード)行政官の推薦書を添付すること。取締役が外国人である場合は、Form Cも提出すること。
(b) MyCOに登録した会社の事務所住所について、ミャンマー国内に実在し、会社の事務所開設を準備・実施していることを示す、所轄タウンシップ警察または区(ワード)行政官の推薦書を添付すること。
- 以上につき、会社・取締役・会社関係者はミャンマー会社法141条を厳格に遵守しなければならない。遵守していない事実が登記官の調査または第三者からの通報により判明した場合、法令で定める罰金の賦課およびその他の措置を講じる旨、通知する。
3.実務上の要点
告知の第2項については、会社設立後2か月以内に提出すべき年次報告書の内容(以下「2023年告知」という。)を改めて周知する内容となっています。2023年告知の内容は弊所ニューズレター「ミャンマーにおける会社設立後の要件の厳格化[1]」にて記載しておりますのでご参照ください。
本告知は、以下の通り、2023年告知の再周知に加え、ミャンマー会社法141条に基づく登録事務所変更の事前届出を求める内容です。
(a) 設立後2か月以内の年次報告書提出時に以下の書類を添付しなければなりません。
- 取締役住所の居住実態を示す警察/区(ワード)行政官の推薦書(レコメンデーションレター)および
- 会社登録事務所の実在性を示す同推薦書(レコメンデーションレター)
(b) また、登録事務所の変更がある場合は「変更前」に、ミャンマー会社法141条(c)に従い登記官へ届出をしなければなりません。
すでに初回の年次報告書を提出済の会社においては、登録事務所を変更する際は「変更前に」届け出をすることに注意が必要となる告知となります。
4.今後の動向
本告知は、初回の年次報告に関する通知を改めて周知する内容となりますが、将来的に毎年の年次報告にも「居住取締役がミャンマーに居住していることを証明する書類」および「登記された会社住所が事業に使用されていることを証明する書類」の提出が要求される可能性があるため、この点について今後の動向に注意が必要となります。
特に日本人の取締役は、Form Cを常に最新に保つことが推奨されます。
以 上
〈注記〉本資料に関し、以下の点ご了承ください。
- 本資料は2025年9月5日時点の情報に基づき作成しています。
- 今後の政府発表や解釈の明確化、実務上の運用の変更に伴い、本資料は変更となる可能性がございます。
- 本資料の使用によって生じたいかなる損害についても弊所は責任を負いません。
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[1] https://oneasia.legal/9730

