ラオスにおける仮想通貨関連事業について
ラオスにおける仮想通貨関連事業についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
→仮想通貨事業について
ラオスにおける仮想通貨関連事業について
2023年2月9日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所
1.背景
ラオス中央銀行(以下、中銀)は、2018年8月(詳細は2019年8月20日付ニュースレター)及び2021年8月(詳細は2021年8月18日付ニュースレター)に仮想通貨に関する注意喚起をラオス国民に対して行っています。
一方で、2021年8月の注意喚起の1か月後に、中国からの仮想通貨マイニング企業の流出もあり、ラオス政府は仮想通貨をマイニング(採掘)する官民プロジェクトを正式に承認し、ラオス国内の企業6社に対して、マイニングの許可を与えています[1]。その3か月後には、技術通信省が2021年11月9日付で「仮想通貨資産取引試行に関する合意(No888)」を発行しています。同合意は、全部で17条か構成されており、言葉の定義、仮想通貨の事業の種類、仮想通貨のマイニング及び売買の事業許可取得方法、税金、禁止事項などが規定されています。なお、 仮想通貨事業者は、財政的に安定している「ラオス人の企業」のみに許可されており(合意第6条)、外国企業[2]には認められていないと解釈できます。マイニング事業に関しては、事業許可1回につき500,000USD、売買事業については、1,000,000USDのライセンス料が必要となります。
2.仮想通貨事業に対する融資の停止
仮想通貨事業は、高額な資本金を必要としますが、中銀商業銀行管理局は2023年1月26日付で「仮想通貨マイニング又は暗号資産関連事業に対する融資の停止(No42)」を通知しました。停止の理由としては、原則、融資はラオス経済を支える製造業分野に対して行うものであり、仮想通貨事業に対して融資を行うことは、ラオス国内の商業銀行(外国銀行の支店を含む)にはリスクが高く、商業銀行を保護するためとしています。同通知の内容は以下の通りです。
1)仮想通貨または同様の暗号資産に関連するマイニングを目的とした事業への融資を停止することを検討し、同通知の発行日以前において、ローン契約が締結されていない、すべての案件について、融資を停止すること
2)同通知の有効日以前にローン契約が締結された場合、与信について、その有効性を毎月確認し、市場価値及び中銀が発行する担保の評価に関する規定に従って、信用力の再評価を行うこと
3)上記 1)及び2)を確実に実施し、有効性を高めるために、社内において、実施マニュアルを作成すること
4)本通知の有効日から10日以内にローン契約締結済のすべての案件において、上記2)について、添付の書式で報告書を作成し、banksupervision_legal@bol.gov.la(中銀商業銀行管理局)宛に送付すること。
[1] https://laotiantimes.com/2021/09/13/laos-authorizes-cryptocurrency-trial-program/
[2] ラオスにおいては外国企業の定義が存在しないため、1%でも外国籍の個人、法人が資本を有している企業は、外国企業とみなされます。
以 上
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