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ベトナム 職場におけるセクハラに対する行動規範改正について

2022年06月13日(月)

職場におけるセクハラに対する行動規範改正についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

ベトナム 職場におけるセクハラに対する行動規範を改正へ

 

<ベトナム 職場におけるセクハラに対する行動規範を改正へ>

2022年6月13日
One Asia Lawyers ベトナム事務所

1 概要    

 地元紙によると、ベトナム労働傷病兵社会省(以下「労働省」といいます)、ベトナム労働総同盟(VGCL)、ベトナム商工会議所(VCCI)は、職場におけるセクシャルハラスメント(以下「職場でのセクハラ」といいます)に対する行動規範の改正草案を作成しました。

 本改正草案は、2015年に労働省法務局が公表した職場でのセクハラに対する行動規範を一部改正するものとなります。

 前回のニュースレターでは、新たに職場でのセクハラに罰金規定が設けられたことをご紹介いたしましたが、今回は、どういった行為が職場でのセクハラになるのか、という点をご紹介させていただきます。今後、実際に行動規範が改正されるに先立って、職場でのセクハラに関する社内規定の整備などをご検討の際にご参照ください。

2 「職場でのセクハラ」を定義

 改正草案では、「職場でのセクハラ」を、「他人に対する性的な性質を有する行為であって、相手が望まない、又は承認しないもの」と定義したうえで、「身体的セクハラ」「言語的セクハラ」「非言語的セクハラ」の3種類に分類しています。

「身体的セクハラ」には、行動や性的な身体接触などを含み、「言語的セクハラ」には、性的な内容を含む直接の発言や電話、電子的手段を通じた発言、本人がいる前またはその人に向けた衣服や身体についての言動、しつこく外出に誘うことなどを含み、「非言語的セクハラ」には、ジェスチャーや連続的なウインク、わいせつな資料の陳列などが含まれます。

3 課題

 労働省は、職場でのセクハラは様々な形式で起こりうるものであり、具体的な規則をもって防止していくべきだとしています。しかし、本行動規範は法令ではないため強制的に適用されるものではなく、また、例えば、具体的にどのようなジェスチャーであればセクハラに該当するのか、ウインクはどれくらい連続的であればセクハラに該当するのかなど、規定の内容が曖昧模糊としているため、今後議論の余地はまだまだありそうです。

 日本においてもセクハラの判断基準はよく議論の対象となりますが、ベトナムにおいてはセクハラに対する社会的な認識がまだまだ低いため、こういった行動規範に基づいて、社内でセミナー等を開いて定期的にセクシャルハラスメントに対する意識を啓蒙していくことが推奨されます。

 なお、職場でのセクハラに対しては、Decree No. 12/2022/ND-CP号により、1500万から3000万VNDの罰金が科される可能性があるのは前回のニュースレターでご紹介したとおりです。

 本改正草案の内容がそのまま実際に職場でのセクハラに対する行動規範として設定されるかは今後注視が必要ですが、行動規範が制定された際には、社内規定の整備などで適切に行動規範を遵守する体制を構築できるようにすることが推奨されます。

以上