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ラオスにおける調停合意及び仲裁判断の履行について

2023年10月03日(火)

ラオスにおける調停合意及び仲裁判断の履行についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。

調停合意及び仲裁判断の履行

             ラオスにおける調停合意及び仲裁判断の履行について

2023年10月3日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所 

1. 背景
現行の「経済紛争解決法」は、2018年6月22日付で成立しています。紛争解決に関する法令としては2021年11月17日付「判決執行法(詳細は、弊所ニューズレター(https://oneasia.legal/8403)をご参照ください)」、2021年10月22日付「村レベルの紛争解決について(詳細は、弊所ニューズレター (https://oneasia.legal/7860)をご参照ください)」、2022年7月21日付「郡レベルの紛争解決に関するガイドライン(詳細は、弊所ニューズレター(https://oneasia.legal/8752)をご参照ください)」等があります。

司法省は、経済紛争解決法の中でも、特に第3部の「経済紛争解決手続における判断の執行」について、全国統一的に制度化し、補足的な説明を行うことを目的として、ガイドラインを2023年5月12日付で発行、同年9月27日に官報に掲載しました。なお、同ガイドラインは2014年に発行されたガイドライン(No226)の改正版となります。

ちなみに、2022年のラオスの経済紛争解決センターの統計によると、2022年に同センターで取り扱った紛争は全部で15件(ラオス人同士の紛争9件、ラオス人と外国人の紛争6件)であり、そのうち前年度から解決されず持ち越された紛争が5件と報告されています。また、2022年に解決できず2023年に持ち越された紛争は、4件あり、合意に至っても約束が履行されず、長期化している事例があります。そのため、調停合意がうまく活用されず、紛争の長期化を避けるため、本ガイドラインが出されています。

本稿では、ガイドラインの内容を簡単に解説いたします。

2.調停合意及び仲裁判断の執行について

執行方法は、当事者による履行及び判決執行機関による執行の2通りがあります。

(1)当事者による履行

当事者による履行において、当事者が調停合意及び仲裁判断を履行しなかったことで、当事者のどちらかが不利益を被る場合、紛争が生じている場所又は財産が存在する場所の県・都の人民裁判所へ、経済紛争解決機関を通して、強制執行命令の発行を申立てることが可能となっています。

仲裁委員会による仲裁判断の執行においては、当事者から仲裁判断に対して、不服申立てがない限り、期限、手続き、履行方法を協議し、仲裁判断が下った日又は仲裁判断が通知された日から数えて30日以内に、履行する必要があります。上記期限内に履行できない場合、経済紛争解決機関へ履行できない理由を合意内容に基づき通知する必要があります。

なお、当事者が経済紛争解決機関に対して履行促進、監視の支援を要請することも可能となっています。

(2)判決執行機関による執行

判決執行機関は、経済紛争解決の結果を承認する決定又は裁判所の判決を「判決執行法」に則り、当事者に対して判決内容等を説明したり、判決執行期限等を決定します。これらは、判決執行機関の優先事項として考慮する必要があります。また、経済紛争解決の結果が不明瞭であったり、履行できないと判断する場合、経済紛争解決機関へ文書にて詳細な説明をすることを要請することが可能です。

なお、判決執行法の詳細に関しては、弊所ニューズレター(https://oneasia.legal/8403)をご参照ください。

 

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)

satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)