ラオス所得税法の改正について
ラオス所得税法改正についてのニューズレターを発行しました。
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→所得税法改正について
ラオス所得税法の改正について
2026 年7月7日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景
ラオスにおける税務関連の主要法令としては、税管理法(2019年)、所得税法(2019年)、物品税法(2019年)、所得税法履行に関するガイドライン(2021年)、税に関する法律の改正に関する法律(2022年)、付加価値税法(2024年)などが挙げられます。
このたび、ラオス政府は2025年6月25日付で所得税法を改正しました。本改正法は2026年6月19日に官報へ掲載されたのち、同年7月1日より施行されています(財務省税務局発行「改正所得税法施行に関する通知(No.5083)」)。
今回の主要な改正点としては、個人所得税における非課税枠の拡大(月額所得の非課税枠が130万キープ以下から250万キープ以下へ引き上げ)や、法人所得税(利潤税)における第2回予定納税の納付期限の変更(翌年1月20日までから当該事業年度の12月31日までへ前倒し)など、日系企業の皆様の実務にも直結する重要な変更が行われています。
本ニュースレターでは、その中でも特に弊所へのお問い合わせが多い、税務上の収入とみなさない項目(改正所得税法第17条)および税務上損金に算入できない支出(改正所得税法第18条)について、主要な改正内容をご紹介いたします。
2.「税務上の収入とみなさない項目」の改正について
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項目 |
旧法 |
改正法 |
直訳 |
|
引当金戻入 |
〇 |
〇 |
あらゆる種類の引当金の戻入。ただし、貸付業務を行う銀行および非銀行金融機関を除く |
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貸倒債権回収 |
〇 |
〇 |
過去の年度において既に計算・申告済み(課税済み)であった貸倒債権を、回収できた場合の収入。 |
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繰延税金による収入 |
〇 |
〇 |
納税が繰り延べられたことによる収入 |
|
外貨評価益 |
〇 |
「ただし、」以下を追加 |
決算日における外貨建て資産・負債の評価替えによって生じる為替差益。ただし、実際の決済により生じた利益は除く。 |
|
資産再評価益 |
〇 |
〇 |
不動産および貴金属等の資産の再評価によって生じる評価差益 |
|
配当金 |
– |
追加 |
既に利益税(Profit Tax)および配当税(Dividend Tax)が納付済みであり、それを証明する書類が適正・完備している配当金。 |
|
財務上の割引収入 |
– |
追加 |
財務上の割引による収入。 |
特に配当金については、配当元企業において既に法人所得税が課税された後の利益を原資としていることから、受取側での二重課税を排除する目的で、本改正により税務上の収入と見なさない項目(非課税)であることが明確に規定されました。これにより、国際的な二重課税防止の原則との整合性が図られています。なお、本規定の適用にあたっては、配当に関する適切かつ完全な証明書類(証憑)の保存が必須要件となります。
3.「税務上の支出として認められない項目(損金不算入項目)」の改正について
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項目 |
旧法 |
改正法 |
直訳 |
|
法人税 |
〇 |
〇 |
法人税 |
|
仕入付加価値税 |
〇 |
〇 |
事業活動に直接使用する固定資産に係る仕入付加価値税 |
|
固定資産取得原価 |
– |
追加 |
資産価値として計上された固定資産の購入原価 |
|
減価償却超過 |
〇 |
〇 |
第19条に定める償却率又は耐用年数を超えて計上された減価償却費 |
|
貸倒債権 |
〇 |
〇 |
関連する部署、個人、法人からの証拠・証憑書類のない貸倒債権 |
|
固定資産の減価償却費 |
〇 |
〇 |
企業の資産として記録されていない固定資産の減価償却費 |
|
リース資産減価償却 |
– |
追加 |
会計基準に基づき既に減価償却を行ったハイヤーパーチェス資産の減価償却費。但し、リース料の支出は除く |
|
管理用車両 |
– |
追加 |
管理業務用車両の減価償却費のうち、資産1台あたり10億キープを超える部分 |
|
個人事業主の給与 |
– |
追加 |
個人事業主オーナーへの給与、または実際に業務に従事していないパートナーへの給与 |
|
VAT申告漏れ経費 |
〇 |
〇 |
領収書等はあるが月次VAT申告に反映されていない支出 |
|
事業外経費 |
〇 |
〇 |
事業に関連しない支出(例:ゴルフ、接待・娯楽、贈答品) |
|
オーナー私的支出 |
〇 |
〇 |
会社オーナー又は出資者の個人的支出 |
|
証憑不備 |
〇 |
〇 |
財務省所定の様式の領収書がない、証憑がない、または証憑が不適正な支出 |
|
市場価格超過支出 |
〇 |
〇 |
市場価格を不合理に上回る支出 |
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引当金 |
〇 |
〇 |
実際に使用されていない引当金全般。ただし貸付業務を行う銀行、非銀行金融機関の貸倒引当金は除く |
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減損損失 |
〇 |
〇 |
固定資産、在庫品、貸倒債権等の資産の価値減少分。 |
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株主借入利息 |
〇 |
〇 |
株主が出資金を賄うために借り入れた借入金の利息 |
|
純利息 |
– |
追加 |
利息支払前、減価償却・減損引当金控除前、諸税控除前の総利益の20%を超える純利息支出。 |
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評価損 |
〇 |
〇 |
決算日における資産・負債の評価替えにより生じる評価損 |
|
繰延税 |
〇 |
〇 |
繰延税金による費用(Deferred Tax Expense) |
|
罰金 |
〇 |
〇 |
あらゆる種類の違約金 |
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為替差損 |
〇 |
「ただし、」以下を追加 |
四半期または年度末に外貨建て資産・負債を評価したことによる為替差損。ただし、実際の決済による損失は除く |
|
財務上割引支出 |
– |
追加 |
財務上の割引費用 |
|
100万LAK超現金支払 |
– |
追加 |
国内取引で1回の領収書が100万キープを超える(が、ラオス国内の銀行システムを通じて決済されていない)もの、および海外取引でラオス国内の商業銀行の会社口座を通じて決済されていないもの |
上記、損金不算入費用(第18条)において、ラオス国内の事業者の実務に大きな影響を与える2つの重要な規定が新設・変更されました。
第一に、管理用車両の減価償却費に対する制限(上限10億キープ)が導入されました。これは、取得価額が10億キープ(約700万円)を超える高額車両について、超過分の減価償却費を税務上の損金(費用)として認めないとするものです。この改正は、節税目的で経費で高級車を購入することを抑制し、国の法人税収を適正に確保することを意図していると思われます。
第二に、国内取引における現金決済の制限という極めて厳格な規定が設けられました。100万キープ(約7,000円)を超える国内の支出、および金額を問わず国外への支出について、ラオス国内の商業銀行にある自社口座を通じた銀行振込を行っていない場合は、適切な領収書があっても税務上の費用として一切認められなくなります。
ラオス国内におけるキャッシュレス決済の普及を強力に推進するとともに、企業の不透明な簿外取引や脱税を防止する強い意図があると思われます。
以上
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)
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