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ラオス:外国為替管理法の改正について

2022年12月16日(金)

ラオス:外国為替管理法の改正についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
外為法の改正について

ラオス:外国為替管理法の改正について

 

2022年12月16日
One Asia Lawyers ラオス事務所

1.背景

ラオス政府は、2022年7月7日付で「外国為替管理法」を改正し、2022年10月1日より施行されています。2014年に施行された同法の改正版となります。

ラオスは、ここ数年現地通貨ラオスキープの不安定、公定レートと市中レートの乖離を是正するため、「商業銀行及び外貨両替代理店の両替業に関する合意(No449)」(詳細は2022年8月4日付のニュースレターをご参照ください)、「為替レートの設定に関する合意(No.779)」(詳細は2022年10月11日付のニュースレターをご参照ください)などを発行し、対策を行っています。特に、外貨両替に関する事業は、業務上の大きな見直しが図られており、これらの内容とも整合性をとる必要性もありました。

今回の改正においては、上記の通り、両替商に関する規定が改正されたほか、弊所にてよく受けるご質問の一つでもある、ラオスにおける外貨の使用に関する規定も、改正後は、より具体的に規定されていますので、それらを中心に解説いたします。

2.ラオス居住者について(第3条)

ラオス居住者は以下のとおり定義されており、これら以外は、同法の中では、ラオス非居住者とみなします。

①ラオスに居住しているラオス人

②外国へ留学、旅行、訪問、治療目的で渡航しているラオス人

③1年未満で海外に滞在しているラオス人。但し、海外のラオス代表機関に勤めるラオス人責任者、職員は除く。

④国内外で活動をするラオス政府関連機関や国際機関

⑤ラオスにおいて事業許可証及び企業登録証を合法的に取得しているラオス人又は外国人個人、法人。外国に設立した1年未満の上記法人の駐在員事務所も含む。

⑥1年以上ラオスで業務を遂行してる外国人。大使館や領事館、国際機関に勤める外国人は含まない。

3. ラオス国内における外貨の使用に関して(第9条)

ラオスにおいて、外貨を所有している個人、法人、組織は商品、サービス、貸付、配当、給与・賃金の授受、政府への支払いの前に、現地通貨ラオスキープ(以下、キープ)に両替する必要があります。両替は、ラオス国内の商業銀行のみでしか認められていません。改正前と同様、ラオス国内で使用する通貨は、原則キープであることが定められおり、外貨を用いることを禁止しています。これに違反した場合は、取引額が10,000,000キープを超える場合は、取引額の10%を罰金として科せられます(第43条6項、8項)。取引額が10,000,000キープ未満の場合は、10,000,000キープから20,000,000キープの罰金となります。

また、ラオス国内において、商品、サービス料金、給料・賃金などはすべてキープで記載、表示する必要があり、キープを基礎として、上記の価格を決定することが規定されています。例えば、米ドルベースで給与を定めている場合は、キープベースで定める必要があると解釈できます。違反した場合は、10,000,000キープから20,000,000キープの罰金となります。

ラオス中央銀行(以下、中銀)は、外貨での取引を認める特定の目的について、政府へ提案する義務があり、特定の目的(例えば、経済特区、国境での取引、免税店、外貨で収入を得るビジネスなど)については、別途定めるとあります。改正前は外貨取引が認められる8項目が書かれていましたが、改正後は、対外取引として認められています。

4.対外支払いについて

対外支払とは、対外貿易、サービス、収入、無償資金、直接投資、証券投資、ローン、ラオス国内外への現金の持ち込み・持ち出し等に関連する金融取引をさします。

ラオス居住者及び非居住者は、銀行システム又は決済サービス業者を通すことで、上記で定義されている取引を行うために外貨を使用することができます(第10条)。

5.対外取引について

物品及びサービス貿易は、ラオス居住者及び非居住者による、通貨による支払いが生じる、商品及び/又はサービスの輸出入をさします。

サービスには、観光、教育、健康、保険、輸送、電気通信、労働、その他のサービスが含まれます(第11条)。

6.対外貿易支払いについて

ラオス居住者で外国との取引で生じた支払いは、取引のための特定預金口座(以下、特定口座)のある商業銀行のシステムを通す必要があり、その場合、商業銀行は、外貨を売ることが認められています。輸出業者は、輸出により得た外貨収入を、ラオス国内の特定預金口座へ送金し、同時に外貨を特定預金口座のある銀行へ売る必要があります(第12条)。許可を得ず、国外で収入を保管していた場合は、その額が10,000,000キープを超える場合は、収入の10%を罰金として科せられます(第43条11項)。収入が10,000,000キープ未満の場合は、10,000,000キープから20,000,000キープの罰金となります。また、特定預金口座を使用しないで支払いを行った場合、事業を停止させられることもあります。

7.対外融資について

ラオス国内の金融機関、個人、法人、組織で、融資の授受を行うものは、中銀の許可を取得し、ローンの支払いについて、契約が満了となるまで、随時報告する義務があります。融資は、銀行システムを通じてのみ実施されます。改正前は、実務的には、署名前の契約書を中銀に提出する必要があり、署名後に提出した場合は、罰金として、借入額の0.1%の罰金が科せられていました。改正後は、同法及びその他の法令に違反するような融資は、借入額の10%を罰金として科するとなっており、留意する必要があります。

8.留意事項

上記の罰則規定以外に、以下のような規定もありますので、留意する必要があります。

1)投資家が資本金をラオスに送金後、30日以内に、中銀へ資本金輸入証明書(Capital Importation Certificate)を申請しない場合、中銀は輸入証明書の申請を受理しません。

2)ラオス居住者と非居住者間の企業間信用取引において、契約期間が1年以上の場合、ラオス国内の商業銀行を通じて、中銀から許可を取得する必要があります。

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)