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ラオスにおける電子商取引法の改正について

2023年03月30日(木)

ラオスにおける電子商取引法の改正についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
電子商取引法改正

ラオスにおける電子商取引法の改正について

 

2023年3月30日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所

1.背景

ラオスの電子商取引法は、2012年に成立していますが、この10年間に、オンラインでの取引も多種多様となり、同法では、カバーされていない電子商取引に関する規定が、いくつか、発行されています。例えば、「電子署名法(2019年)詳細は5 月 31 日発行のニューズレターをご覧ください)」、「電子署名事業に関する合意(2020年)」、ネット販売、マーケットプレイス等の事業について規定した「電子商取引に関する政府令(2021年)詳細は5 月 31 日発行のニューズレターをご覧ください)」、税務面について規定した「eコマース事業及びデジタルプラットフォームに適用される納税の義務(2022年)(詳細は5 月 31 日発行のニューズレターをご覧ください)」などがあります。

ラオス政府は、2022年12月29日付で「電子商取引法」を改正し(以下、「改正法」)、2023年3月22日より施行されています。
改正法では、電子的な方法での取引(システム)を提供する事業者に関する新たな定義、要件等を設けていますが、今回は、これまで既存の関連法令や電子署名法では、規定されていなかったデジタル認証サービスを中心に解説いたします。

2.電子取引サービス事業
改正法では、電子商取引事業者として、以下の3つに分類しています(改正法第46条)。
(1)電子取引システム事業者
電子商取引のすべて又は一部のデータ、情報のやりとりに使用されるシステム事業者を意味します。例えば、オンライン送金事業者、マーケットプレイス運営者などが)が該当します(改正法第25条、26条)。
(2)デジタル認証サービス
電子商取引において、個人、法人、団体を識別し認証するシステムのサービス事業者を意味します(改正法第30条)。
(3)電子証明発行(認証局)サービス
デジタル署名の使用に必要な電子証明を発行する認証局(電子署名法を参照)を意味します。
3.事業許可証の取得について
上記 「2. 電子取引サービス事業」に記載の業務を行う場合は、下記のとおり、企業登録後に別途関連省庁から事業許可証を取得する必要があります(改正法第47条)。

 

企業登録書

事業許可証

関連法令

電子取引システム事業者

 

商工省/局

・事業内容によって異なる(マーケットプレイスの運営であれば、商工省/局から事業許可証を取得)

・システムに関しては、技術通信省/局が定める基準に従うこと

電子商取引に関する政府令(No296)

デジタル認証   サービス

技術通信省/局

(5年間有効)

改正法(No31)

電子証明発行    (認証局)    サービス

技術通信省/局

・電子署名法(No59)

・電子署名事業に関する合意(No1101)

4.デジタル認証サービスについて
デジタル認証サービスについては、事業許可証取得に必要な申請書が完全に受理されてから、15日以内に技術通信省/局より、事業許可証が発行されます。事業許可証の有効期間は5年間で、条件を満たせば更新は可能です。事業許可が拒否される場合も、15日以内に文書でその理由とともに通知があります(改正法第50条)。
事業許可証を取得後に、事業者は原則、180日以内に下記の3つの追加条件を満たす必要があります(改正法第51条)。
(1)事業に関するシステムや機器、サービスを提供する場所を確保すること
(2) 知識を備えた十分な数の人材(技術者、専門家、スタッフ等)を配置すること
(3)基礎インフラの技術的及び安全性の計画的な開発の実施
上記の条件を180日間のうちに、一つでも満たさない事業者で、条件が満たすことができない適切な理由がある場合は、技術通信省/局は、1回につき60日まで、その期日を延長することを検討しますが、延長は2回までしか認められません。従いまして、最大で300日以内に条件を満たす必要があります。期日内に条件を満たすことができない場合、事業の停止又は事業許可証が剥奪される可能性もあります。

 

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)