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2022年08月16日(火)9:34 AM

インドネシアにおける外国公文書を利用するためのアポスティーユサービスについてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

外国公文書を利用するためのアポスティーユサービス

 

外国公文書を利用するためのアポスティーユサービス

2022年8月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士  馬居 光二
インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

1.はじめに

 インドネシア政府は、2022年1月26日、法務人権大臣規則2022年第6号(以下「MOLHR6/2022」)を発行し、同規則が2022年6月4日に施行されました。MOLHR6/2022はインドネシア政府が2021年1月5日に後述のハーグ条約を批准した大統領規則2021年2号の施行規則に位置づけられます。これにより、公文書についてアポスティーユの利用が可能となりました。

 アポスティーユとは、公文書の署名、公印、捺印を検証の上、他国でも使用できるように批准する行為です。アポスティーユは1961年に締結された外国公文書の適法化要件を廃止するハーグ条約(以下、「ハーグ条約」)の締約国間の合意によって実現したもので、アポスティーユ証明書があれば、外国当局が発行した公文書が、インドネシアを含む122カ国で自動的に法的に有効と認められます[1]

2.条約の目的

 ハーグ条約の目的は、外国の公文書を外交官や領事が認証するという煩雑な手続を、「アポスティーユ証明書」と呼ばれる特定のフォーマットで発行される簡易な証明書に置き換えることにあります。アポスティーユ証明書は文書に添付されるため、他の契約国で提示する際に再度証明書を取得する必要はありません。

3.MOLHR 6/2022

MOLHR 6/2022は、インドネシアにおける上記アポスティーユによる書面の合法化手続(以下、「アポスティーユサービス」)の実施について、以下のようにa) アポスティーユサービスの範囲、および b) アポスティーユサービスの登録及び手続に分けて規定しております。

 a) アポスティーユサービスの範囲

 アポスティーユサービスは、インドネシアの領域内で発行された文書を対象としており、その管理は法務人権省(以下「MOLHR」が行い、アポスティーユサービスにより、同文書は外国でも利用可能となります。

 MOLHR 6/2022第2条第3項に規定されているアポスティーユサービスを利用できる公文書の種類は以下の通りです。

 - 検察官、裁判所登録官、廷吏など、国の裁判所または法廷に関連する当局または役人からの文書
 - 行政文書
 - 公証人が発行する書類
 - 文書に添付される公的な証明書で、文書の登録を記録する証明書、文書の有効期間をある日付で記録する証明書など、その民事権限の範囲内で個人が署名し、役人と公証人が署名を批准するものです。

 ただし、以下の書類については、アポスティーユ証明の免除があります。

 - 外交官または領事館の職員が署名した書類
 - 行政、商業活動または税関活動に直接関連する文書
 - PR 2/2021に規定される検察庁が検察機関として発行する書類

 b) アポスティーユ・サービスの登録及び手続

 アポスティーユは、申請者またはその代理人の申請に基づいて行われ、一般法務総局(以下、「AHU」)の公式ウェブサイト上の申請書に記入し、MOLHRに電子的に提出されます。

 上記申請書には、少なくとも、1) 申請者の身元、2) 代理人を通じて申請する場合は代理人の身元、3) 文書を使用する目的国、4) アポスティーユのために提出した文書の種類、5) アポスティーユのために提出した文書に記載された所有者の氏名及び文書の数、 6) 文書に署名した職員名、及び 7) 文書を発行した機関の名称、を記載しなければなりません(MOLHR 6/2022第3条第3項)。

 申請者は、申請書に記入するだけでなく、以下の書類をアップロードする必要があります。 

 1) 申請者の身分証明書
 2) 代理人の身分証明書および委任状(該当する場合)
 3) アポスティーユされる文書

 申請書を受理してから遅くとも3営業日以内に認証がなされ、申請費用が支払われた後にアポスティーユ証明書が発行されます。

4.日本におけるアポスティーユの手続き

 上記はインドネシア国内におけるアポスティーユサービスについての説明ですが、日本もハーグ条約に加盟しているところ、上記ハーグ条約がインドネシアで批准され、MOLHR6/2022が施行されたことにより、日本で発行され、インドネシアで使用される文書についてもアポスティーユの利用が可能となりました。

 従前、日本で作成された法律文書をインドネシアで使用する場合、公証役場での公証、外務省での公印確認、インドネシア大使館での認証が必要とされておりました。MOLHR6/2022により、上記インドネシア大使館での認証手続は不要となり、より簡易な形であるアポスティーユが利用可能となりました。

 したがって、日本の官公庁で発行され、インドネシアで使用される公文書は、日本の外務省でアポスティーユ(Apostille)が発行されます。

 他方で、個人または法人が発行した書類は、まず日本の公証役場で公証を受け、その後、外務省からアポスティーユが発行されることになります。公証およびアポスティーユは、東京、神奈川、大阪などの公証役場で、ワンストップで行うことができます。アポスティーユ手続に関する詳細は外務省の外務省のウェブサイトからご確認ください(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000607.html)。

5.結論

 アポスティーユが利用可能となることで、日系企業のインドネシアでの取引や法的手続にかかる時間を大幅に短縮されることになります。これにより、これまで以上にインドネシアでのビジネス環境が向上することが期待されます。

[1] インドネシア共和国外務省[ウェブサイト],https://kemlu.go.id/portal/id/read/3566/berita/pemerintah-akan-sederhanakan-legalisasi-dokumen-publik-lewat-sertifikat-apostille (2022年8月8日閲覧)

 

2022年07月12日(火)9:35 AM

インドネシアにおける電子システムオペレーターの登録期限を定める通信情報大臣通達2022年3号についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

電子システムオペレーターの登録期限を定める通信情報大臣通達2022年3号について

 

電子システムオペレーターの登録期限を定める通信情報大臣通達20223号について

2022年7月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士  馬居 光二
インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

1.はじめに

 通信情報省(以下「MOCI」)は、2022年6月14付で、民間電子システムオペレーター(Penyelenggara Sistem Elektronik(「PSE」))登録の発効日に関する通信情報大臣通達2022年3号(「通達3/2022」)を発行しました。当該通達により、MOCIは、電子システムオペレーターに対して、2022年1月21日から7月20日までにPSE登録証明書(Tanda Daftar Penyelenggara Sistem Elektronik – TD PSE or ESP Certificate )を取得するよう規定しております。

2.電子システムオペレーター(PSE

 電子システム及び取引の実施に関する政府規則2019年71号(「GR 71/2019」)はPSEを、単独または共同で、電子システムの利用者に向けて、自身の目的および/または他者の目的のために、電子システムを提供、管理、および/または運営するすべての個人、政府機関、事業体、およびコミュニティ、と定義した上でPSEに該当する当事者に対して、個人情報保護を含め、様々な規制を規定しております。

 GR 71/2019は当該PSEを更に公的PSEと民間PSEに分けているところ、民間PSEについては、さらに国内で設立された国内民間PSEと外国で設立された外国民間PSEに分類されます。

その上で、通信情報大臣規則2021年10号で改正された民間PSEに関する通信情報大臣規則2020年5号(「MoCI 5/2020」)は、外国民間PSEに対して、PSE登録証明書の取得を義務付けております。

 今回の通達3/2022は当該登録についてより明確に期限を定め、各企業にこれを促すものと言えます。

3.PSEの登録期限

 上記MOCI規則はこれまでもPSE登録を義務付けておりましたが、手続のためのシステムが未稼働であったこともあり、必ずしも多くの企業がこれを行っているとは言えない状況が続いておりました。

 この点について通達3/2022は2022年1月21日から7月20日までという明確な期限を設定したことになります。

4.登録手続き

 各民間PSEは、国内のビジネスライセンスを統括するOnline Submission System Risk-Based Approach(「OSS-RBA」)のウェブサイト(https://oss.go.id/)から登録を行う必要があります。手続き野詳細について、RBA OSS上の各民間PSE登録ガイドがございます。

(リンク(https://k-cloud.kominfo.go.id/index.php/s/RQtzXLQysTHWZkp))

 なお、MoCI 5/2020発行以前に既にPSE登録証書を取得していた民間PSEについても、RBA OSSを通じて再登録することにより登録情報を変更する必要があるとされております。

5.制裁

 通達 3/2022 は、2022年7月20日までに民間PSEが上記登録を行わない場合、大臣は法令の規定に基づき行政制裁を科すと規定しております。この点MoCI 5/2020第7条2項は、民間PSEが登録されてない場合の行政制裁として、電子システムへのアクセスをブロックする旨規定しております。

6.結論

 上記のように、MOCIは通達3/2022によって各企業にPSEとしての登録を強く促しております。通信情報省の報道官は、本通達の背景としてPSEの登録を行わない企業が存在すると、個人情報保護を含む各規制が定める要件が遵守されているかを確認することが困難になる点を挙げております。

 上記のように、MOCIはこれまで以上に強くPSE登録を促しているところ、日系企業を含めたPSEに該当する各企業は、上記制裁措置を防ぐためにも、2022年7月20日の期限までに登録または再登録を実施する必要があるかと存じます。

2022年06月14日(火)11:40 AM

インドネシアにおける老齢保険(JHT)の給付金要件に関する労働大臣規則2022年4号の発行についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

老齢保険(JHT)の給付金要件に関する労働大臣規則2022年4号の発行

 

老齢保険(JHT)の給付金要件に関する労働大臣規則20224号の発行

2022年6月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士  馬居 光二
インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

1. はじめに

 本年はじめ、インドネシア労働大臣は老齢保険Jaminan Hari Tua(「JHTの給付金支払に関する手続及び要件に関する労働大臣規則2022年2号(「MoM 2/2022)を施行致しました。同規則は、従前の労働大臣規則2015年19号(「MoM 19/2015」)が定めていたJHTの給付手続及び要件を改訂することを目的として施行されました。他方で、同規則は、加入者が辞職、解雇された場合、または永久にインドネシアを離れる場合に、MoM 19/2015においては退職後1ヶ月給付されるとしていた要件を、加入者が56歳になる年齢まで支給されないと変更するものとなっておりました。

 上記MoM2/2022に対しては労働組合から強い反発がなされていたところ、本年2月に大統領が本規則の修正を指示しておりました。これを受けて2022年4月26日に新たに、老齢保険の支出に関する手続と要件に関する2022年労働大臣規則2022年4号(「MoM 4/2022」)が成立し、MoM 2022/2は失効致しました。

2. JHT Program

 JHTは、加入者が年金受給年齢に達したとき、死亡したとき、または後遺障害を負ったときに、加入者ないしその家族が確実に現金を受領できることも目的として、一括で支払われる給付とされております。

 JHTの加入資格者は以下のとおりです。

 a. 国家機関以外の雇用主のために働く賃金労働者で、(i)企業の労働者、(ii)個人の労働者、(iii)インドネシアで少なくとも6ヶ月間働く外国人
 b. 非賃金受領者:(i)雇用者、(ii)雇用関係外の労働者または自営業者、および(ii)に含まれない賃金を受領しない労働者

3. MoM 19/2015MoM2/2022及びMoM4/2022の相違点

 本件各規則の主要な変更点は下記のとおりです。

MoM 19/2015

MoM 2/2022

MoM 4/2022

·         JHT支給要件

定年に達した加入者(中途退職した者を含む) (3条第1項、第2項)

 

中途退職した加入者を含む、56歳に達した加入者 (3条及び4条1項)

「年金受給年齢に達した加入者」には、中途退職した加入者を含む。

 

年金受給年齢とは、雇用契約、会社規則、労働協約に定められた年金受給年齢に達すること、または56歳に達することをいう(6条1項)。

定年前の給付

●     加入者が解雇又は辞職した場合の支払時期

給付は、下記待機期間(masa tunggu)から1ヶ月が経過した後に支給される。

1.該当する雇用主からの退職通知書の発行日

2.加入者が解雇された日

(第5条1項)

加入者が56歳に達した時点(第5条)

MoM 19/2015と同様 (第8条)

●       インドネシアを永久に離れた外国籍の加入者

詳細は規則内に規定されていない

 

加入者が永久にインドネシアを離れる場合(第6条)

MoM 2/2022と同様 (Article 12)

 後遺障害を負った者および死亡した者に対する老齢保障給付の支給要件は、MoM 4/2022においても特段変更はありません。

4. その他の規定

 MoM 4/2022は、上記の支給年に関する規定に加えて、加入者やその家族による提出書類の簡素化、オンラインでの申請やBPJSにおける手続期間の明確化等も規定されております。

5. 結論

 MoM 4/2022について、労働大臣は、本規則は大統領の指示を受けたものであると同時に、JHT給付の請求手続の簡素化及び利便性を望む労働者の願望に配慮したものであると述べております。

 上記のように、MoM 4/2022は、加入者が中途退職した場合に、56歳まで待たずにJHTの支給を受けられるようにするとともに、請求書類の簡素化やオンラインでの請求を可能としております。

 本規則は、インドネシアで営業を行う多くの日系企業にとっても重要な改正であるところ、内容について十分に検討することが推奨されます。

 

2022年05月13日(金)9:16 AM

インドネシアにおける性的暴力を伴う犯罪行為に関する法律(TPKS法)の制定についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

性的暴力を伴う犯罪行為に関する法律(TPKS法)の制定

 

性的暴力を伴う犯罪行為に関する法律(TPKS法)の制定

2022年5月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士  馬居 光二
インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

 

1.はじめに

 2022年4月12日、「性的暴力を伴う犯罪行為(Tindak Pidana Kekerasan Seksual(以下、TPKS」)に関する法律(以下「TPKS」)が可決されました。本法は、あらゆる形態の性暴力を予防し、対処し、性暴力被害者を保護、回復することを目的としております。

2.TPKS

 TPKS法4条は、TPKSとして非身体的セクシャル・ハラスメントや身体的セクシャル・ハラスメント等9種の犯罪を挙げた上、さらに強姦やわいせつ行為等10種類の行為もTPKSに含まれると定めております。

3.職場におけるTPKSの加害者は被害者の上司

 TPKS法はまた、上記で挙げた9種類の行為を職場の経営者や上司等が被雇用者等に対してこれを行った場合、通常の刑罰に3分の1を加重する形でより厳しい罰則を処すこととしております。

4.その他の規定

 その他TPKS法は、法人がこれを行った場合の刑罰、TPKSの報告方法、被害者救済、法的手続等を包括的に定めております。

5.結論

 TPKS法はTPKSに該当する犯罪行為を特定し、特に女性、子ども、障害者等を保護する法的根拠、枠組みを提供することで、性的暴力の脅威から人々を保護するものとされております。

 また、職場におけるTPKSについては刑罰を加重する旨が規定されているところ、本法の成立による、セクシャルハラスメントが抑制されることが期待されるとともに、各企業に置いては従業員への本法の周知徹底を含め、これまで以上に社内におけるセクシャルハラスメントを防止するための措置を講じていく必要が強まるものと考えられます。

2022年04月14日(木)9:44 AM

インドネシアにおけるBPJPHによるハラル認証ラベルの決定についてニュースレターを発行いたしました。 PDF版は以下からご確認ください。

BPJPHによるハラル認証ラベルの決定

 

BPJPHによるハラル認証ラベルの決定

2022年4月 <style=”text-align: right;”>One Asia Lawyers Indonesia Office <style=”text-align: right;”>日本法弁護士  馬居 光二 <style=”text-align: right;”>インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

1.はじめに

 2022年2月10日、日、ハラール製品保証実施機関(Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal:BPJPH)は、BPJPH決定2022年40号によって、ハラル認証ラベルを決定しました。本ニュースレターでは、ハラル認証についての現状及び上記決定についてご説明致します。

2.ハラール認証制度

 イスラム教徒が人口のおよそ86.9%を占めるインドネシアではハラール(イスラム教で許されたもの)製品に対する需要が高く存在します。当該ハラールについて、政府は高まるハラール製品需要及び国内のハラール産業の活性化等を意図して2014年にハラール製品保証法を制定し、その後政府規則2019年31 号及び同規則を改正するオムニバス法の施行規則である政府規則2021年39号によって、ハラール認証の取得義務について細かく規定されております(以下の条項の記載は全て政府規則2021年39号を前提とします)。

(a) 認証機関 

 従前、ハラール認証は、国内の各イスラム教団体によって構成されるインドネシア・ウラマー評議会(Majelis Ulama Indonesia:MUI)が行ってきましたが、上記規則によって、ハラール認証の発行権限を宗教大臣直轄の組織であるハラール製品保証実施機関(Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal:BPJPH)にその権限が移されました。これにより、インドネシア政府がハラール認証を行う形となっております(もっとも、製品がハラムか否かの判断は継続してM U Iが行うこととされております)。

(b) 認証対象

 政府規則2021年39号2条は、原則として、インドネシア領土内に流通する全ての製品がハラール認証の対象とします。ただし、非ハラールの材料から製造された製品はハラール認証義務を免除され、代わりに非ハラールについての説明を当該製品に添付する必要があるとされております。 

(c) 認証内容  

 ハラル認証を理解するにあたっては、ハラルに基づいて何が許容されるのかを理解すると共に、その認証内容を理解する必要がございます。

この認証の内容は、原材料がハラールかどうかだけでなく、保管や製造過程で汚染されずに、清潔な状態が保たれているか、従業員は十分に理解できているか、ハラールと非ハラールが分けて管理されているか、体制や書類管理に問題がないかなど、いわゆる「農場から食卓まで」のプロセス全てを含むとされております(政府規則2021年39号49条参照)。

(d) 認証手続

 申請者は申請にあたって当該手続きの担当者となるハラールスーパーバイザーを任命する必要があります(66条)。当該ハラールスパーバイザーはハラール製品に関する幅広い知識と理解(ハラールスーパーバイザー証明書により証明)を有するムスリムの市民のみがなり得るとされております(53条)。事業者はBPJPHのオンラインシステムから、必要書類を添付してハラールスーパーバイザー任命の申請を行ないます。

 当該スーパーバイザーを任命した上で、事業者下記の手続にしたがってハラール認証を申請することになります。

 ①ハラール認証申請書の提出(59~66条)  ②BPJPH及びハラール検査機関(Lembaga Pemerikasa Halal, LPH)による必要書類が揃っているかの確認(66条、67条)   ③LPHによる申請書類の検討(68、72、73、75条)  ④MUIによるハラール、非ハラールの決定(76、77条)  ⑤BPJPHによるハラール認証の発行(78条)

(e) 対応期限 

・ハラールの表示義務化に関する対応期限

 政府は、ハラル認証は対象となる品目が多岐に渡るため、義務化を段階的に行う必要があるとして、下記のような対応期限を定めております。

製品

対応期間

食品および飲料、と畜およびと畜サービスから生じる製品 2019年10月17日〜2024年10月17日
伝統的な薬、医薬部外品、健康補助食品 2021年10月17日〜2026年10月17日

市販薬と限定市販薬

2021年10月17日〜2029年10月17日

処方薬(麻薬を除く)

2021年10月17日〜2034年10月17日

化粧品、化学製品、遺伝子組み換え製品

2021年10月17日〜2026年10月17日

衣類、帽子、アクセサリ

2021年10月17日〜2026年10月17日

家庭用ヘルスケア製品、家電製品、イスラム教徒の祈りの道具、文房具

2021年10月17日〜2026年10月17日

医療機器(リスククラスA)

医療機器(リスククラスB)

2021年10月17日〜2026年10月17日

2021年10月17日〜2029年10月17日

医療機器(リスククラスC)

2021年10月17日〜2034年10月17日

関連する原材料および/または製造プロセスがまだハラール条項に適合していない医薬品、生物学的製品、および医療機器

法定規制に準拠

・経過規定

 また、上記政府規則2021年39号は以下のような経過規定を定めております(169条)。

・ 政府規則2021年39号が施行日(2021年2月2日)前にMUIが認めた外国ハラール認証は、その外国ハラール認証の有効期間が終了するまで有効である ・ 同施行日前に MUI または BPJPH が発行したハラール認証は、当該ハラール認証の有効期間 が終了するまで有効であるものとする。 ・ 同施行日前に MUI が規定したハラールロゴは、同規則施行から最長 5 年間使用することができる。

2.新しいハラール認証ラベル

 上記ハラル認証手続を経て認証の交付を受けた製品にはハラル認証のラベルを添付することになります。前述のように、BPJPHは2022年3月1日付でBPJPH決定2022年40号を施行し、ハラル認証ラベルを決定致しました。同決定により、今後のラベルはBPJPHが発行することになります。前述のように、本規則施行前にMUIが発行したラベルについては、政府規則2021年39号が施行されてから5年間は有効とされております(政府規則2021年39号169条d)。

 しかし、BPJPHの責任者(Muhammad Aqil Irham)によると、現在もMUIハラールラベルを使用し、MUIハラールラベル付きのパッケージを持つ事業体は、既存のパッケージストックを使用することが認められているとのことです。MUIハラールラベルの包装在庫がなくなり、MUIからのハラール判定番号の有効期限も切れた場合、BPJPH決定2022年40号の政令に従い、新たにハラールラベルを製品に記載する義務があります。[1]

 

[1] Conventus Law Website : https://conventuslaw.com/report/indonesia-halal-label-protected-by-intellectual-property/ (accessed April 4th 2022)

 

2022年03月10日(木)3:04 PM

インドネシアにおける不動産の権利移転におけるBPJS健康保険 カードの必須条件化についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

不動産の権利移転におけるBPJS健康保険 カードの必須条件化

 

不動産の権利移転におけるBPJS健康保険 カードの必須条件化

2022年3月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士  馬居 光二
インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

1.はじめに

 2022年1月6日、国民健康保険制度の実施の最適化に関する大統領告示2022年1号(「PI 1/2022」)が施行されました。同法は土地空間計画大臣及び国土庁(「BPN」)長官に対して、売買による土地権利移転登記申請者が健康保険(「JKN」)プログラムへ参加していることを確認するよう義務付けるものです。

2.新たな通達

 PI 1/2022 に従って、土地空間計画大臣は以下の2通の通達を発行しております。

 a. 土地の権利の譲渡または売買によるフラットユニットの財産権の登録サービス申請における条件としての BPJS 健康保険カードに関する土地空間計画大臣/国土庁通達No. HR.02 / 153-400 / II / 2022(「Letter 153」)。 

 JKNプログラムはインドネシアの社会保障制度の一部であり、雇用創出に関する法律2020年第11号により改正された国家社会保障制度に関する法律2004年第40号に基づき、インドネシアで最低6ヶ月間以上勤務している外国人を含むすべての居住者は当該制度への加入を義務付けられています。

 Letter153において、大統領は、土地の権利移転を申請する者がJKNプログラムへ参加していることを確認すべき旨義務付けております。その結果、土地の権利移転登録のためのすべての申請には、BPJS健康保険カードのコピーを一緒に提出しなければならなくなります。

 なお、同大臣特別補佐官によると、当該BPJS健康保険カードの添付義務は、土地の買主のみに適用され、売主には適用されないということです[1]

 b. 土地の権利譲渡または売買によるフラットユニットの財産権に関する登録サービス申請における条件としてのBPJS健康保険参加者に関する土地空間大臣/国土庁通達No. HR.02/164-400/II/2022(「Letter 164」)。 

 Letter164は、Letter153に関連し既に正式に受領され、関連する要件を満たしていた申請は、レター164の発行(2022年3月1日施行)前の規定に従って処理されるべきであるとしています。

3.外国人、外国企業への影響

 前述のように、JKNプログラムは、インドネシアで6ヶ月以上働く外国人を含め、すべての居住者に加入が義務付けられております。

 また、本件で問題となっている土地の譲渡について、インドネシアにおいては土地の所有権はインドネシア個人のみが所有できるとされております。もっとも外国人も一定の土地・建物の権利、すなわち一定期間内の土地使用権、建物の賃貸権、フラットユニットの所有権、住宅や居住用家屋を取得すことができるとされております(農業の基本規則に関する1960年法律第5号42条b)。

 その意味では、本規制は必ずしもインドネシア人だけでなく、インドネシアに居住または長期滞在の予定があり、土地や住宅、フラットユニットを購入する予定の外国人にも影響を与える可能性があります。

 また、インドネシアに進出済みの各企業がインドネシア人従業員を雇用している場合、各従業員のBPJS健康保険への加入は会社の義務となります。仮に従業員がBPJS健康保険へ加入していない場合、当該従業員が土地の売買手続を行うことができなくなるところ、従業員の管理という意味でもこれまで以上に各企業は健康保険への加入義務を遵守する必要があるかと思われます。

4.結論 

 インドネシア政府はPI 1/2022により、社会のあらゆる階層がBPJS健康保険によって保護されるよう企図しております。また、政府は運転免許証(SIM)、車両番号証明書(STNK)、ハッジ(メッカへの巡礼)、ウムラ(イスラム聖地旅行)の作成などについてもJKNプログラムへの加入を要件とするよう各省庁等に指示をしております。 

 外国人による土地、住居、アパートメントに関する取引数も増えているところ、インドネシア在住の外国人個人はもちろん、同外国人を含むインドネシア企業においても、各従業員のBPJS健康保険への加入義務について、これまで以上にこれを遵守する必要があるかと存じます。

 

[1] Expat life in Indonesia Website : https://expatlifeindonesia.com/latest-land-sale-and-purchase-terms-must-have-bpjs-health/ (accessed 9 March 2022)

 

 

2022年02月14日(月)10:19 PM

インドネシア:憲法裁判所による支払停止手続(PKPU)における法的救済に関する決定についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

憲法裁判所による支払停止手続きにおける法的救済に関する決定

 

2022年2月
One Asia Lawyers; Indonesia Office
日本法弁護士 馬居 光二
インドネシア法弁護士 Prisilia Sitompul

1.はじめ

2021年12月15日、インドネシアの憲法裁判所は、破産および債務の支払義務の停止に関する2004年法律第37号(「倒産法」)235条1項及び293条1項において定められた、支払停止手続に対する法的救済がないことについての司法審査に関する決定(No. 23/PUU-XIX/2021(「本件決定」)を致しました。本ニュースレターでは本件決定の内容についてご説明致します。

2.背景

インドネシアでは、破産手続とは別に、日本でいう民事再生手続に相当する支払停止手続(Penundaan Kewajiban Pembayaran Utang)(「PKPU」)が規定されております。PKPUにおいては、債務者が、返済額の減額や返済スケジュールなどを盛り込んだ再生計画を提出し、裁判所が各債権者の同意を得て再生計画の認可・不認可を決定するとされております。同決定は全債権者を拘束するところ、下記のように、倒産法235条1項及び293条は、当該決定については法的救済が無い旨を規定しております。

235条第1 : PKPUの決定に対しては、法的救済を受けることができない」

293条第1:「第三章の規定に基づく裁判に対しては、この法律に別段の定めがある場合を除き、何らの法的救済を受けることができない」

本件では、PKPUの申立人(債務者)である企業が、再生計画を提出したところ、債権者がこれを拒否したため、裁判所は再生計画を不認可とする旨の決定を致しました。これに対して、当該申立人は、上記倒産法上の条項により、裁判所の決定に対して異議申立てをすることができませんでした。申立人は、これらの条項はインドネシア1945年憲法に反し無効であると主張して、憲法裁判所に申立を行い、PKPUを含むあらゆる法的手続に法的審査が可能であるべきであると主張しました。

3.憲法裁判所の判決

憲法裁判所は申立人による主張を一部認め、PKPUが債権者の申立よって開始されたものであり、また、債務者が提案した再生計画の却下に関するものである限りにおいて、倒産法235条及び293条は法的効力を有しないと判断しました。

上記を言い換えると、PKPUの決定に対する法的救済が認められるのは、以下の場合に限定されることになります。

(i) PKPU が債権者によって開始された場合の決定であること

(ii) 債務者が提案した再生計画案を却下する決定であること

 憲法裁判所は、上記決定をする際に検討した事項として、PKPUにおける決定は本質的に誤りが発生する可能性があるところ、これによって損失を被る当事者に法的救済を保障する必要がある旨を述べております。

4.結論

本件決定により、上記(i) (ii)を満たす場合の決定については、最高裁判所に異議申立をすることが可能となります。

当該決定の背景には、PKPU決定に対する法的救済が認められないことを背景に、債権者が再生計画を成立させる意図なしに、早期に破産決定を得るためにPKPUを申立てる案件があったものと考えられます。上記判決によって、このような制度濫用的な申立は抑制されるものと考えられます。

                                          以上

 

2021年12月08日(水)3:46 PM

インドネシアにおける憲法裁判所による手続の瑕疵を理由としたオムニバス法の「条件付き違憲」判決についてニュースレターを発行いたしました。
PDFは以下からご確認ください。

憲法裁判所による手続の瑕疵を理由としたオムニバス法の「条件付き違憲」判決

 

憲法裁判所による手続の瑕疵を理由としたオムニバス法の「条件付き違憲」判決

2021年12月
One Asia Lawyers; Indonesia Office
日本法弁護士 馬居 光二
インドネシア法弁護士 Prisilia Sitompul

1. はじめ

 インドネシア憲法裁判所は、2021年11月25日に発表した判決で雇用創出に関する法律2021年11号(以下、「オムニバス法」という)は、立法手続に瑕疵があり、当該瑕疵を修正するのに2年間の猶予が必要であるとして、今後2年以内に必要な改正が行われなければ違憲であるという「条件付違憲判決」を行いました。

 経済分野の78の法令を改正したこのオムニバス法は、インドネシアでは民法制定以来、最も重要な法改正として評価されています。オムニバス法が制定されて以降、政府は、労働力、外国直接投資、貿易など多くの分野でオムニバス法を実施するために、少なくとも7つの大統領規則、49の政府規則、50以上の大臣規則を公布、施行しました。

 上記判決は、オムニバス法制定の手続きに問題があるとして同法が違憲である旨判決したものとなります。手続きに問題がある点、条件付とされている点が重要となります。

2. 裁判所の判断

 本件判決では、オムニバス法案が国会と大統領の共同承認を得た後に修正されたこと等を挙げ、雇用創出という同法の趣旨に鑑みても、適法な手続が省略される理由とはならず、特に、立法過程の「公開の原則」は、憲法秩序を具現化するものであり、立法手続には最大限市民参加を含む必要があるとして、それがなされていない立法手続には瑕疵がある旨判示しております。他方で、同法を無効とすることによる現行法、規則への影響の大きさに鑑みて、当該瑕疵を修正するために2年間の猶予を与え、同期間(2023年11月25日)までにオムニバス法が改正されない場合には、同法は違憲(実質的には無効)となる旨判示しました。

 上記裁判においては、関連する他の11件の事件、すなわち事件番号87、101、103、105、107、108/PUU-XVIII/2020と、事件番号3、4、5、6、55/PUU-XIX/2021についても審理をしていたところ、全ての訴えが排斥されております[1]。これは、2021年11月25日付判決91/PUU-XVIII/2020号(以下、「本件判決」という)に記載されているように、オムニバス法が条件付きで違憲とされたため、その他の訴えは、審理の対象が無くなったとされたためです。

 裁判所は、「立法手続の修正」の意味を明確にしていませんが、立法手続に関する法律2011年14号(法律2019年15号で改正)に基づけば、立法手続は、政府と立法府が、法律制定過程の5つの所定の段階、すなわち起草、改定、審議、制定、公示を経て行うべきであり、その過程で学術的な調査、公聴会によって修正され得る、あるいは政府が立法府で最終的に多数の支持を得られない場合には否決される可能性があることが必要とされております[2]

3. 本件判決の影響

 ‐オムニバス法は、上記期間内に立法府が法律制定手続の瑕疵を修正するまでは有効とされております。

 ‐判決から2年間の間に、立法府が現行の法令や法律制定の基本原則に則って適正な形で立法手続の瑕疵を修正する下腿で改正をした場合、オムニバス法は合憲とみなされ、同法とその施行規則は引き続き有効となります。

 ‐裁判所は政府に対し、オムニバス法に関連する新たな施行規則の発行を停止するよう命じました。

 ‐上記のように2年以内に改正がなされない場合、オムニバス法によって撤回または修正された法律または法律の条文や重要な内容は、その時点で再度有効なものとして制定されることになります。

 ‐本判決に遡及効はないとされております。これは、オムニバス法およびその施行規則が制定されてから2023年11月25日までの期間に行われる政府の決定や、オムニバス法およびその施行規則に基づく事業に関する決定は、たとえ立法府が2023年11月25日までに立法手続の瑕疵を修正する形で法改正をすることができなかったとしても、当然に無効となるものではないとされております。

4. 結論

 オムニバス法は、インドネシアへの投資を誘致し、雇用を創出することを目的として制定されております。他方で、昨年の同法成立後、学生、労働者、環境保護活動家など多くの団体、個人から同法に対する抗議がなされております。上記のように、これらの抗議については判決文においても、「公開の原則」に基づき、市民参加を含むべき旨が指摘されております。実際、政府による性急な手続についての違法性は多くの法律家からも指摘されておりました。

 もっとも、現在までのところ、外国人投資家に関してオムニバス法は肯定的な影響を与えていると考えられております。実際には、新しい外国投資関連のプロジェクトは増加しており、その中にはオムニバス法の成果と思われるものも多くあります。

 インドネシア大統領は、本件判決を受けた記者会見において、国内外の事業関係者や投資家がこれまで行った投資だけでなく、現在行っている投資や今後行う投資も、安全で安心なものであり続けることを改めて強調し、政府はインドネシアへの投資の安全性と確実性を確保する旨のべております[3]

 これまでの外国投資誘致に対する積極的な姿勢に鑑みると、本判決によって政府の外国投資に対する対応が大きく変更されるとは考えがたいですが、インドネシアへの投資にあたっては、上記で述べた立法手続の瑕疵の修正状況等について注意を払うべきかと思われます。

 

最高裁判所ウェブサイト, https://www.mkri.id/index.php?page=web.Berita&id=17816&menu=2, (2021年12月1日アクセス)

[2] 憲法裁判所ウェブサイト [website], https://www.mkri.id/public/content/persidangan/putusan/putusan_mkri_8240_1637822490.pdf, (2021年12月1日アクセス)

[3] Sekretariat Presiden [Youtube], https://www.youtube.com/watch?v=yQBApvSs6Pg, (2021年12月2日アクセス)

 

2021年11月08日(月)3:17 PM

インドネシアにおける新しいオンライン・シングル・サブミッション・リスク・ベースド・アプローチ(OSS-RBA)についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

新しいオンライン・シングル・サブミッション・リスク・ベースド・アプローチ(OSS-RBA)の紹介

 

新しいオンライン・シングル・サブミッション・リスク・ベースド・アプローチ(OSS-RBA)の紹介

2021年11月
One Asia Lawyers; Indonesia Office
日本法弁護士 馬居 光二
インドネシア法弁護士 Prisilia Sitompul

1. はじめ

 インドネシア投資調整委員会(Indonesian Investment Coordinating Board / Badan Koordinasi Penanaman Modal (BKPM))は、2021年8月9日、オンライン・シングル・サブミッション(OSS)の新バージョンを「オンライン・シングル・サブミッション・リスクベース・アプローチ(OSS-RBA)」という名称で正式に開始しました。新しいOSS-RBAシステムは、「リスクベースのビジネスライセンスの運用に関する2021年政府規則第5号」(GR 5/2021)に沿うものとなっております。

 OSSを利用することにより、ビジネスライセンスの発行を希望する企業は、オンライン設備でその発行の申請することができ、ライセンスサービスオフィスに実際に出向く必要がなくなります。

2. OSSシステム

 OSSは、BKPMが管理・運営するビジネスライセンスシステムに統合された電子システムです。OSS-RBAは、2021年8月4日以降、従来のOSS 1.1システムにとって代わり、左記のリンク(https://oss.go.id/) からアクセスできます。

 OSSシステムによるリスクベースのビジネスライセンスの移行と実施に関する投資調整庁長官Circular Letter No. 17/2021によると、2021年8月2日にリスクベースのOSSシステムが導入された時点で使用可能となった1349のインドネシア標準事業分類(Klasifikasi Baku Lapangan Usaha Indonesia; KBLI)、及び同時点では使用可能となっておらず2021年8月末までにリスクベースOSSシステムで使用可能とすることをを目標とした353のKBLIの合計1702の事業分野が存在します。

3. GR 5/2021に基づくOSS-RBAのコンセプト

 GR 5/2021は、OSSシステムは、ライセンス手続きを簡素化することを目的とし、RBAライセンスシステムという新しいコンセプトを導入しています。OSS-RBAシステムでは、安全、健康、環境、天然資源の利用・管理などの観点から評価された各事業のリスクレベルに応じて、ライセンス付与が行われることになります。これは、事業内容にかかわらず、すべての企業が同様のライセンスを取得する必要があった従前のシステムとは異なるものです。

 GR 5/2021は、コミットメントベースのビジネスライセンスに関する従来の規則を、ライセンスの要件に対するリスクを4つのレベルに改正しています。

 a. 低リスク:事業者識別番号(Nomor Induk Berusaha “NIB”)
 b. 中・低リスク:NIBと標準証明書(自己申告)
 c. 中・高リスク:NIBと標準証明書(自己申告)
 d. 高リスク:NIBおよびライセンス(Verified Standard認証の有無にかかわらず)

 上記の各カテゴリーでは、必要なライセンスがそれぞれ異なる形となっております。

4. OSS 1.1OSS-RBAシステムの違いについて

 従来のOSS 1.1と比較して、OSS-RBAは、外国人投資家を含む企業/ビジネス実務者向けに、インドネシアでビジネスを行うために必要な法的要件やライセンス要件について、より整理されたガイドラインを提供しているため、より使いやすく、統合されたオンラインシステムとなっています。OSS-RBAには、特定のビジネスクラスに適用される要件、特定のビジネスにおける外国人の最大所有権、ライセンス申請プロセスの推定時間等も示されています。

5. OSS-RBAシステム

 各事業が上記のどのカテゴリーのリスクに該当するかは、KBLIリストに記載されています。ビジネスを立ち上げる前に、投資家はまず、選択したKBLIの決められたリスクに従わなければなりません。

 OSS-RBAのライセンス発行のフローチャートは以下の通りです。

6. 結論

 上記を踏まえ、すべての投資家は、インドネシアへの投資にあたってはまず、自社の意図する事業活動がどのようなものであるかを具体的に把握し、当該ビジネスがどの標準産業分類に該当し、上記リスク分類のいずれに該当するのかを把握する必要があります。

 一方で、OSS-RBAシステムは、現在もアップデートされ続けており、各企業は、インドネシア政府の動きや手続きの変更状況を注視することが重要です。このため、必要なビジネスライセンスの取得を行う際は、インドネシア現地の法律事務所等から、より詳細なアドバイスを受けることが肝要かと考えられます。

以 上

2021年09月09日(木)5:12 PM

大統領規則第49号2021年によるアルコール関連事業等に関する外資規制の改正についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

大統領規則第49号2021年によるアルコール関連事業等に関する外資規制の改正

 

大統領規則第492021年によるアルコール関連事業等に関する外資規制の改正

2021年9月
One Asia Lawyers; Indonesia Office
日本法弁護士 馬居 光二
インドネシア法弁護士 Prisilia Sitompul

 

1.はじめ

 インドネシアにおいては昨年制定された雇用創出に関する2020年法律第11号(以下「オムニバス法」)に関連して、投資事業分野に関する大統領規則2021年第10号(以下「PR10/2021」)が2021年2月2日付で公布、施行されました。

 さらに、2021年5月25日にこのPR10/2021を改訂する形で「投資事業分野に関する大統領規則2021年第10号の規則の改正に関する大統領規則2021年第49号」(以下、「PR49/2021」)が公布、施行されました。これに伴って同規則に添付されている投資リストが更新されております。

 PR49/2021は、PR10/2021によって開放されたように見えたアルコール飲料事業への民間投資について、イスラム宗教団体からの意見を踏まえて再度禁止にする一方で、PR10/2021で緩和されたその他の外資規制を再度変更する等の変更を含んでいる点で注意が必要となります。

 その他、商品に関わる電子商取引について協同組合や零細・中小企業(MSME)に割当てる旨規定する等、多数の分野について外資規制を定めております。

2. 投資が閉鎖された事業部門に関する変更

 アルコールを含む酒類の製造については、オムニバス法制定前の外資規制をきていしていた大統領規則2016年44号において投資禁止分野とされておりました。これに対して、PR10/2021は酒類製造が投資禁止である旨を明記しておらず、その結果酒類の製造が解禁されたと解釈されておりました。

 しかしながら、PR49/2021はアルコール飲料製造に関連する3つの事業分野を投資禁止事業分野に追加しております。

 これにより、改正後に設定された閉鎖された事業分野は以下となりました。

(i) 麻薬
(ii) 賭博および/またはカジノ
(iii) 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)に記載されている魚類の採取
(iv) サンゴの利用または採取<
(v) 化学兵器
(vi) オゾン層を破壊する可能性のある化学物質
(vii) アルコール飲料製造(KBLI 11010)、アルコール-ワインを含む飲料の製造(KBLI 11020)、アルコール-モルトを含む飲料の製造(KBLI 11031)

3.投資が開放された事業分野に関する変更

 PR49/2021は、上記投資禁止分野について定めると同時に、下記のような条件付で投資が開放された分野についても変更が規定されております。

(1) 優先事業分野

 PR10/2021では245分野が優先事業分野とされていましたが、PR49/2021では246分野が優先とされ、以下のような優遇を受けることができるとされております。

(i)財政的インセンティブ(例:税控除、タックス・ホリデー、投資手当、輸入関税の免除)
(ii)非財政的インセンティブ(例:ビジネスライセンス、移民、雇用問題の緩和)

(2)協同組合およびMSMEへの割り当て、または義務的なパートナーシップ

    パートナーシップが必須な事業分野の合計は、PR 10/2021では89分野でしたが、PR49/2021においては106分野(181KBLIコード)となっています。協同組合や中小企業のために留保された分野を従来の51分野から60分野に、中小企業とのパートナーシップを必須とする事業分野を38分野から46分野に拡大された点に注意が必要です。 

 また、PR 10/2021においては100%外資での投資が可能とされていた下記商品の電子商取引がPR49/2021では中小企業に留保された事業となる旨が規定されております。これにより、下記の事業分野は、外国企業による投資が禁止されることになります。

i)食品・飲料、タバコ、化学薬品、薬局、化粧品、実験装置(KBLI 47911)
ii)繊維、衣類、履物、個人用機器(KBLI 47912)
iii)家庭用・台所用品(KBLI 47913)

(3) 条件付事業分野(株式所有制限)

 PR49/2021における条件付事業分野の合計は、37分野(41のKBLIコード)となっております。

 運搬・郵便事業の分野では、PR10/2021では無条件での投資が解禁されていた運搬事業(KBLI 53201)について、PR49/2021では外国人の最大所有率を49%とすることが規定されております。ただし、郵便事業(KBLI 53100)はPR 49/2021から除外されており、外国企業による100%までの投資が開放されております(以前は、所有率が最大49%に制限されていました)。

(4) 条件付事業分野(その他の制限)

 PR 49/2021においては、条件付事業分野において事業者が満たすべき要件として、PR 10/2021で定められていた上記株式所得制限や特別なライセンス等に加えて、新たに、「アルコール飲料の管理・監督の分野における制限、厳格な監督、他の法令による規制」を規定致しました(PR 49/2021第1条による改定後のPR10/2021第6条1項d、同条3a項)。具体的には、アルコール飲料卸売業(KBLI 46333)、アルコール飲料小売業(47221)、およびアルコール飲料小規模(Kaki Lima)小売業(KBLI 47826)がこれに該当します。
 これらの事業分野については、制限、厳格な監督及び個別法による規制の対象となることになります。

4.PR49/2021に基づく適用除外

 大統領規則2016年44号及びPR10/2021と同様に、PR49/2021も、本規則制定前に承認を受けている事業者への適用はない旨が規定されております(PR49/2021第Ⅱ条)。

5.結論

 上記のように、PR49/2021では、上記外資規制の対象となる4種すべての事業分野において修正がなされております。今回の改正では、特定の事業分野が新たに優先事業分野に追加されたほか、事業分野の中には、これまで別表3の条件付投資分野に記載されていたものが、別表2のMSMEに留保された分野またはMSMEとのパートナーシップが必須の事業分野に変更されたものもあります。他方、新たに別表から削除された事業分野もあるところ、今後の投資を検討するにあたり、非常に重要な変更を多数含んでおりますので注意が必要となります。

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