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2020年07月06日(月)12:16 PM

ベトナムPPP法が2020年6月18日に国会にて可決されました。過去のベトナムのPPP法の変遷とその内容について一部ご紹介致します。

ベトナムPPP投資法の成立について

 

ベトナムでPPP(官民パートナーシップ)投資法が成立

                                    2020年7月5日
                            One Asia Lawyers ベトナム事務所

1 はじめに
 ベトナム国会は6月18日、「官民連携方式(PPP)による投資法案」[1](以下、「PPP法」または「本法」といいます。)を可決しました。
 本法は2021年1月1日に発効する予定ですが、本稿を執筆している7月5日時点では、まだ、成立した法律の全文が一般公開されていないため、本ニュースレターでは、まず、ベトナムにおける旧来のPPP関連法規を俯瞰的に整理しつつ、入手しうるPPP法草案[2]と、地元紙等で報じられている成立した法律の主なポイントを見ていきたいと思います。

2 PPPにかかるベトナムの過去の法規
 ベトナムの法制度上で「PPP」という文言が登場するのは今から10年前の2010年のことで、このときは、あくまで、試験的なPPPプロジェクトに対して試験的に適用する規則という位置づけでした[3]
 その後、2015年に政令化され、2018年に政令が全面改正されるなどして少しずつ法令の内容拡充が図られ、今回法律化されました。法律化されたということは、つまり、ベトナムでこの10年のあいだに、PPP事業がより重要性を増したともいえると考えます。

3 過去の法令の比較
 主なポイントだけに絞ってみても、過去の法令を比較すると、定義や対象、国の出資比率などの規定がかなり変化していることがわかります。
 PPP事業の対象として、2015年、2018年政令では国家機関庁舎の整備や農業などまで網羅していたものの、今回法律化されるにあたっては、対象が2010年の試験的規則程度にまで整理されたことなども、興味深い点かと思います。次の通り、過去のPPP関連法令の変遷内容を共有致します。

【PPP関連法令の概要比較】

試験的規則71/2010/QD-TTg)

2015年政令

15/2015/ND-CP)

2018年政令

63/2018/ND-CP)

2020年PPP法

(草案・報道ベース)

制定年
施行年
2010年11月9日
2011年1月15日
2015年2月14日
2015年4月10日
2018年5月4日
2018年6月19日
2020年6月18日
2021年1月1日
「PPP方式の投資」の定義
プロジェクト契約に基づき、国と投資家が連携してインフラ開発、公共サービス提供事業を実施すること
(第2条1項)
インフラ、公共サービス提供プロジェクトの実現、管理、運営を行うための、所管国家機関と投資家、プロジェクト企業とで締結される契約に基づき実現される投資形式
(第3条1項)
インフラ施設の建設、改造、運営、経営、管理、公共サービスを提供するために、所管国家機関、投資家、プロジェクト企業とで交わされるプロジェクト契約に基づき実現される投資形式
(第3条1項)
インフラ施設・システムの建設、国家に提供責任のある公共サービス・商品を提供する投資に参加する民間投資家を誘致することを目的とした、PPPプロジェクト契約の締結と履行による、国家と民間投資家の有期限の協力によって実現される投資方式
(第3条1項)
対象
1道路、橋梁、トンネル、フェリー乗り場
2鉄道、鉄道橋梁、鉄道トンネル
3都市交通
4空港、海港、河港
5上水道
6発電所
7医療(病院)
8環境(廃棄物処理工場)
9首相が決定するその他のインフラ開発、公共サービス提供事業
(第4条)
a)交通運輸インフラ施設・関連サービス
b)照明システム、上水道供給システム、排水システム、下水・廃棄物の回収・処理システム、社会住宅、再定住住宅、墓地
c)発電所、送電線
d)医療、教育、訓練、職業訓練、文化、スポーツインフラ施設および関連サービス、国家機関の庁舎
đ)商業、科学技術、水文・気象、経済区、工業団地、ハイテクパーク、集中IT区インフラ、IT応用
e)農業・農村インフラおよび農業商品の加工・消費を伴う生産連携開発サービス
g) 首相が決定するその他の分野
(第4条)
a)交通運輸
b)発電所、送電線
c)公共照明システム、上水道システム、排水システム、下水・廃棄物の回収・処理システム、公園、自動車・車両・機械設備の駐車場・置き場、墓地
d)国家機関庁舎、公務用住宅、社会住宅、再定住住宅
đ)医療、教育・育成・職業訓練、文化、スポーツ、観光、科学技術・水文・気象、IT応用
e) 商業インフラ、都市区・経済区・工業団地・産業クラスター・集中IT区インフラ、ハイテクインフラ、インキュベーション施設、技術施設、中小企業を支援するコワーキングエリア
g) 農業・農村開発、農業商品の加工・消費を伴う生産連携開発サービス
h) 首相が決定するその他分野
(第4条)
a)交通
b)送電網・発電所
c)利水、上水道、下水道、下水処理、廃棄物処理、
d)医療、教育・訓練
đ)ITインフラ
(第4条1項)
PPP事業として認められる投資額
規定無し
200億VND以上
(第15条1項đ)
(公共投資法の規定に基づき、国家重要、A、B、Cグループ分類)
規定無し
(公共投資法の規定に基づき、国家重要、A、B、Cグループ分類)
2,000億VND以上(医療、教育・訓練は1,000億VND以上)
(第4条2項a,b)
国の参加比率
投資総額の30%まで
(第9条2項)
規定無し
規定無し
投資総額の50%まで
(第71条2項)
主な契約類型
プロジェクト契約
(類型の定め無し)
(第2条)
BOT(建設・運営・移転)
BTO(建設・移転・運営)
BT(建設・移転)
BOO(建設・所有・運営)
BTL(建設・移転・リース)
BLT(建設・リース・移転)
O&M(運営・保守)
(第3条)
BOT
BTO
BT
BOO
BTL
BLT
O&M
上記の組み合わせ
(第3条)
BOT
BTO
BOO
O&M
BTL
BLT
上記の組み合わせ
(第3条)
投資優遇

プロジェクト企業:法人税優遇

プロジェクト用の輸入品:関税優遇

プロジェクト企業:土地使用料/賃貸料の免除

(第41条)

投資家、プロジェクト企業:法人税優遇

プロジェクト用の輸入品:関税優遇

投資家、プロジェクト企業:土地使用料/賃貸料の減免

投資家、プロジェクト企業:その他法定の優遇

(第55条)

投資家、プロジェクト企業:法人税優遇

プロジェクト用の輸入品:関税優遇

投資家、プロジェクト企業:土地使用料/賃貸料の減免

投資家、プロジェクト企業:その他法定の優遇

(第59条)

投資家、プロジェクト企業:土地使用料、土地賃貸等に関する優遇、および税や土地、投資、その他関連法で定めるその他の優遇
(第81条)

 

4 2020年PPP法による主な改正点

 10年の歳月を経て法律化された本法ですが、冒頭にも触れたように報道ベースではありますが、主な改正点としては、投資対象が大きく整理されたこと、契約類型としてBT方式が削除されたこと、PPP事業の収⼊が想定を25%下回った場合に政府側取り分を減らす(25%増加した場合は政府側取り分を増やす)保証制度が盛り込まれたことなどが挙げられます。
 本法については、法律全文が一般公開された段階にて、改めて詳しくアップデートします。

[1] ベトナム語は「Luật Đầu tư theo phương thức đối tác công tư(PPP)」

[2] 第7次草案 http://duthaoonline.quochoi.vn/Pages/dsduthao/chitietduthao.aspx?id=1618

[3] その前はBTO、BOTなどの契約類型に特化した法令があるだけだった。

                                      以上

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2020年06月18日(木)5:11 PM

労働、社会保険、ベトナム人労働者の送り出し分野に関する罰則を定める新規定が2020年4月15日に発効しました。本政令についていくつか例を挙げてご説明致しております。

労働、社会保険、ベトナム人労働者の送り出し分野に関する罰則について

 

労働、社会保険、ベトナム人労働者の送り出し分野に関する罰則を定める新規定

2020年6月9日

One Asia Lawyers ベトナム事務所

1 概要  2020 年 3 月 1 日、労働、社会保険、契約に基づき外国で就労するベトナム人労働者の送り出し分野の行政違反の処罰について定めた政令 28/2020/ND-CP 号(以下、「本政令」といいます)が公布され、2020 年 4 月 15 日に発効しました。これにともない、従前の政令 95/2013/ND-CP 号、88/2015/ND-CP 号は失効しています。  ベトナムで活動する日系企業の皆様におかれましては、日々、労務管理に苦労され、実務上やむを得ないという判断、あるいは、過去事例や他社事例を精査せずに踏襲することで結果として法令に違反する例があろうかと思います。本ニュースレター末尾に参考資料として本政令で定められている罰則条項の見出しを全掲載しておりますので、自社の労務管理等に違反が無いか確認するためにご利用いただけますと幸いです。  何かお困りのことがございましたら、是非、弊所までご相談いただけますと幸いです。

2 本政令の対象  本政令では、就職サービスや労働派遣サービスなどの労働関連サービス業、採用から労働契約解除までの一般労務、労働安全衛生、女性の雇用、外国人の雇用、未成年者の雇用、お手伝いさんの雇用、労働紛争、労働組合、社会保険など多岐にわたる場面での違反行為の罰則が定められています。  以下、従業員の採用から解雇までのいくつかの罰則について、ケーススタディ形式で簡単にご紹介いたします。  なお、本政令で規定している罰金額は原則として個人に対するものであり、法人(組織)に対しては倍額となりますので注意が必要です(第 5 条)。また、罰金額に関する VND の円換算は200VND=1 円としています。

3 採用の場面

≪事例≫  X 社は、求人に際して、“遊び”感覚の応募者が多いため、本気度をはかるために面接に参加する 条件として応募者に 20 万ドン(約 1,000 円)支払わせることにした。

 

 採用や労務管理における、使用者の次の a)から dd)の行為については、100 万ドンから 300 万 ドン(約 5,000 円から 1 万 5,000 円)の罰金が科され、d)のように金銭を徴収した場合には、その 金銭を応募者に返還しなければなりません(第 7 条 1 項、3 項)。X 社の行為は、第 7 条 1 項 d)に 該当し、X 社は、罰金の支払い、及び応募者に対して金銭の返還義務を負う可能性があります。

[第 7 条 1 項]

  1. a) 採用結果を公開通知しない、採用結果が出てから 5 営業日より後に通知する。
  2. b) 労働者の使用について、本社(あるいは支店、代表事務所)を設置している地域の労働傷病 兵社会福祉室(あるいは労働傷病兵社会福祉局)に届け出ない。
  3. c) 労働者の変更の状況を、本社(あるいは支店、代表事務所)を設置している地域の労働傷病 兵社会福祉室(あるいは労働傷病兵社会福祉局)に報告しない。
  4. d) 応募者から金銭を徴収する。
  5. dd) 労働管理簿を作成しない、期限通りに作成しない、法定の基本的な内容が網羅されていな い、労働契約が有効になった際に労働管理簿に労働者の情報を十分に記載しない、労働管理簿 に情報の変更を反映しない。

4 労働契約の締結場面

≪事例 1≫ X 社は、自社の事業に必要な資格を保有し、将来有望なベトナム人 A を採用した。A が自社だけ に貢献するよう、A との労働契約の締結に当たって、A の保有する資格の証明書の原本を会社で 預かると定め、実際に証明書を保管している。
≪事例 2≫ Y 社は、業務のために必要な高額な機器をベトナム人 B に貸与している。Y 社は、当該機器を B に大事に扱ってもらうため、退職時に返金するという条件で、B から一定額の金銭を預かっている。

 労働契約の締結や履行にあたって、労働者の身分証明書の原本や証明書類の原本を預かったり、 金銭を差し出させたりする行為には、2,000 万 VND から 2,500 万 VND(約 10 万円から 12 万 5,000 円)の罰金が科されます(第 8 条 2 項)。X 社の行為は第 8 条 2 項 a)に該当するものとして、X 社 は、罰金の支払い義務を負う可能性があります。また、Y 社の行為は同項 b)に該当するものとして、 Y 社は、罰金の支払い義務を負う可能性があります。

[第 8 条 2 項]

  1. a) 労働契約の締結あるいは履行にあたって、労働者の身分証明書や学歴、資格証書類の原本を預かる。
  2. b) 労働契約の履行にあたって、労働者に金銭や何らかの資産を担保として差し出させる。
  3. c) 満 15 歳以上 18 歳未満の労働者について、労働者の法的代理人の書面での同意無しに労働契 約を締結する。

 また預かった身分証や金銭、資産等は本人に返還することはもちろん、金銭については預かって いた期間について、国営商業銀行が設定している最も高い無期限の預金金利分も加算しなければな りません(第 8 条 3 項 a),b))。したがって、Y 社は、当該金利分についても支払う義務を負う可 能性があります。

5 試用

≪事例≫

X 社は、ベトナム人 A を試用していたが、法定の試用期間では本採用すべきかどうか判断ができ なかったため、法定の試用期間を超えて試用を継続した。その間の待遇は、A が正社員の半分も 仕事ができないという理由で、正社員の半分の給料としていた。

 法定の期間を超過して試用したり、試用期間中に法定の水準を下回る給料を支払った場合には、 使用者に 200 万 VND から 500 万 VND(約 1 万円から 2 万 5,000 円)の罰金が科されます。X 社の 行為は、第 9 条 2 項 b)及び c)に違反しているものとして、X 社は、罰金の支払い義務及び本来の支払うべき給与(その業務で設定されている給料の 85%を下回らない水準のもの)の支払い義務を負う可能性があります。また、第 9 条 2 項 d)にも違反しているとされた場合、労働契約の締結義務を 負う可能性もあります(第 9 条 2 項、3 項)。

[第 9 条 2 項]

  1. ひとつの業務について何度も試用する。
  2. b) 法定の期間を超過して試用する。
  3. c) 試用中の労働者に、その業務で設定されている給料の 85%を下回る水準で給料を支払った。
  4. d) 試用期間が満了し引き続き業務に従事させたものの、労働契約を労働者と締結しない。

6 労働契約履行の場面

≪事例≫  X 社は、ベトナム人 A を営業職として採用し労働契約を締結した。その後、納品部門で人員が不足しているため、労働契約で記載している業務とは違うが、ある日 A が出勤した際、納品部門に異動させる旨伝えたうえ、納品部門で勤務させた。なお、納品部門の勤務地は、労働契約で記載している営業部門のオフィスとは異なるオフィスである。

                                                                             

 労働法第 31 条 2 項に定める「3営業日前までに通知せずに労働契約で合意した業務とは異なる業務に労働者を一時的に異動させた、または一時的に従事させる期間を明示しなかった、または労働者の健康や性別に不適当な業務に配置する」行為には、100 万 VND から 300 万 VND(約 5,000~ 1 万 5,000 円)の罰金が使用者に科されます(10 条 1 項)。X社の行為は、通知なく労働契約で合 意した業務と異なる業務に異動させたものに該当し、罰金の支払い義務を負う可能性があります。  また「労働契約書で合意した職場の場所と異なる場所に従業員を配置する(労働法第 31 条のケースを除く)」行為には 300 万 VND から 700 万 VND(約 1 万 5,000~3 万 5,000 円)の罰金が科さ れます(第 10 条 2 項 a))。X 社の行為が労働法第 31 条に定めるケースに該当しない場合、X 社 は、罰金の支払い義務を負う可能性があります。

7 労働契約の変更・解除 

≪事例 1≫ X 社は、有期で雇用しているベトナム人 A を無期限の雇用としたくないため、有期労働契約の期限を「付録」を使って何度も更新している。

 「労働契約書の期限を、付録(phụ lục)を使って 2 度以上更新する、または労働契約の期限を労働契約の付録を使って変更した際に、締結した労働契約の種類を変更する」行為については、違反した労働者の数に応じて 100 万 VND から 2,000 万 VND(約 5,000 円から 10 万円)の罰金が科さ れます(第 11 条 1 項)。X 社の行為は上記に該当し、X 社は、罰金の支払い義務を負う可能性があります。

≪事例 2≫  Y 社は、組織再編を行うため従業員の一部を解雇することにしたが、解雇対象者が 5 名のみであったため本人との面談のみで、面談の 1 週間後に労働契約を解除した。

 「組織、技術の変更または経済的理由により、労働者 2 人以上を解雇するにあたって、労働者集団代表組織(労働組合)と協議しない、または省級の労働管理機関に 30 日前までに書面で通知しない」行為、「法定の労働者使用計画を作成しない」行為については、500万VNDから1,000万VNDの罰金が科されます(第 11 条 2 項 a),b))。Y 社は、上記義務を順守していないとして、罰金の支払い義務を負う可能性があります。

以 上

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2020年05月22日(金)9:19 AM

ベトナムにおけるゴルフ場投資に関する新規定について報告いたします

ゴルフ場投資に関する新規定について

 

ベトナムにおけるゴルフ場投資に関する新規定

2020 年 5 月 11 日
One Asia Lawyers ベトナム事務所

1 概要

 ベトナム政府は 2020 年 4 月 27 日、ゴルフ場の建設や経営を目的とする投資について定めた政令 52/2020/ND-CP 号(以下、「本政令」といいます)を公告しました。本政令は 2020 年 6 月 15 日に発効します。

 ゴルフ場への投資はこれまで、首相が定める「2020 年までのベトナムゴルフ場計画」においてリストアップされたゴルフ場のみが対象とされていました。

 今後は、リストアップ形式による投資対象の限定は廃止され、本政令で定める要件を満たすことで、ゴルフ場投資が可能になります。

 なお本政令で規律しているのは、18 ホールを標準とするゴルフ場であり、いわゆる打ちっぱなしなどの練習場は対象外と考えられます。 
 1986 年にドイモイ政策の一つとして市場経済を導入して 30 年以上の時が経つベトナムです が、一部の業界や商品等については計画経済が継続され、5~10 年単位での開発計画の策定・ 実施がなされ、ゴルフ場投資も上記の「計画」によって管理されていました。しかしながら、 現地紙の報道によると、この「計画」に含まれていたゴルフ場のうち、実際に開発・運営がなされていたのは半分程度にとどまり、「計画」に含まれていても、利益見通しが立たないとい った理由で投資が進められていないものも多数あったとのことです。その一方で、「計画」に含まれていないために投資をしたくてもできないゴルフ場開発案件も多数存在していました。

 ベトナムは2019年に発効した「計画法」によって、特定の商品・サービスについて策定していた開発計画を廃止して市場ニーズに任せる方針としており、そのような流れのなかで公告された本政令は、ベトナムの市場経済化を更に推し進めるための新たな一歩、と言えるかもしれません。

 以下、本政令について紹介いたします。

2 用語の定義

 本政令では、「ゴルフ場」を「ゴルフプレーヤー(以下、「プレーヤー」といいます)に資するために適した規模、技術基準で設計されたゴルフコースと付帯施設を含む施設」(第 2 条 1 項)と定義し、「付帯施設」を、ゴルフ場の管理運営用の施設のほか、「プレーヤー用の宿泊、サービス施設」が含まれる、と定義しています(第 2 条 5 項)。

3 ゴルフ場の建設用地と投資家の要件

(ア)建設用地

  ゴルフ場を建設する場所は、第 5 条 1 項に定める次の要件を満たしている必要があります。

a)「ゴルフ場投資が経済・社会、サービス、観光、スポーツ開発を促進するためのものであること」、「ゴルフ場プロジェクトの実施が国防、安全保障、秩序、社会の安全、社会道徳、公衆衛生、環境、天然資源、歴史・文化遺跡、景勝地に影響を与えないものであること」、「ゴルフ場建設に使用する土地が土地使用計画に合致していること」など、第 3 条 1 項から 3 項に定める原則に合致し、第 6 条で定める土地使用に関する要件を満たすこと。

第 6 条で定める土地使用に関する要件(抜粋)
ゴルフ場・付帯施設の建設に用いることができない土地(同条 1 項)
a)国防・安全保障用地
b)森林地、稲作地(*山岳部などで例外あり)
c)等級付けが済んでいる歴史・文化遺跡、景勝地、省級人民委員会の調査リストに属する遺跡を構成するエリアに属する土地(*遺跡等に影響を与えないことを条件に隣接する土地などを使用できる場合がある)
d)工業団地、産業クラスター、集積 IT パーク、ハイテクパーク建設用地
e)堤防法、資源環境および島嶼法で定める堤防保護範囲、海岸保護帯に属する土地

b) 省の計画、県級の土地使用計画、および関連する計画で定められた空間開発ならびに経済社会、国防、安全保障、および環境保護に対するリソース配分方針に合致していること。

c) 景観、ゴルフ場の内外を接続する技術的インフラの建設要件に対応していること。

d)水資源、堤防、自然災害防止、および海洋・島しょ環境資源に関する法規で定められている水源保護帯の設置、水源の汚染、衰退、枯渇防止の要求に合致していること。

(イ) 面積の制限・建設完了の期限

 本政令では、18 ホールのゴルフ場の面積が 90 ヘクタール(1 ホール平均で 5 ヘクタール)を超えないこと、最初に建設するゴルフ場プロジェクトは全体で 270 ヘクタール(54 ホール)を超えないこと、という形で面積の制限がなされています(第 7 条 1 項)。

 また投資家は、18 ホールのゴルフ場は、土地の貸出決定がなされた日から 36 か月以内に、 その他のゴルフ場は、48 か月以内に建設を完了しなければならないとされています(第 7 条 3 項)。ゴルフ場の拡張は、認可されたゴルフ場プロジェクトの建設を完了して、運営を始めてからでなければ認められません(第 7 条 4 項)。

(ウ)投資家の選定と要件

 ゴルフ場プロジェクトを実施する投資家の選定は、入札や土地等に関する法規に従って進められます(第 5 条 3 項)。また、投資家は、第 8 条に定める次の要件を満たしている必要があります。

 a)土地法の規定に従って、ゴルフ場プロジェクトを実施するための財政力、借地、土地の使用目的変更に関する要件を満たしていること、投資法の規定に従って、プロジェクトを実行するための保証金を預託すること(必要な場合)。

 b)ゴルフ場プロジェクトの実施予定地を現在使用している者、地域の労働者に適した移住、訓練、および雇用の支援をするための計画やコミットメントを行うこと。

 c)交通インフラ、電力、水道、下水処理、および環境保護の面で求められる必要な条件を確保すること。

ゴルフ場において、ラウンドサービス、練習、大会活動、その他関連するサービスの営業を行うためには、体育・スポーツに関する法規で定める物理的施設、設備、財源、および人員についての要件を満たしている必要があります(第 9 条)。

4 ゴルフ場プロジェクトの首相決定がなされるまでの流れ

 ゴルフ場プロジェクト投資を実施するための投資方針の決定や投資登録証明書の発給は、次のような手順で進みます。

 ①投資家がプロジェクトを実施する地域の投資登録機関9にプロジェクト申請書類を提出する。

 ②投資登録機関がプロジェクト申請書類を受領した日から 3 営業日以内に関係省庁に対し意見照会を求める書類を送付する。

 ③関係省庁は、意見照会の申請書類を受領した日から 15 日以内に意見をまとめて投資登録機関に返答する 。。

 ④投資登録機関はプロジェクト申請書類を受領した日から 25 日以内に省級人民委員会が計画投資省に審査意見を提出できるよう意見をまとめて、省級人民委員会に報告する。

 ⑤計画投資省は省級人民委員会の意見を受領した日から 15 日以内に審査を実施し、首相が投資方針の決定を出すことができるよう首相に報告する。

 ⑥政府事務局は計画投資省から提出された書類を受領した日から 5 日以内に審査を実施し、首相が投資方針の決定を出せるように書類を首相に提出する。首相が検討の上で決定し、政府事務局が交付する。

 投資家は、投資方針の決定または投資登録証明書の交付(投資登録証明書の発給手続が法定されているプロジェクトの場合)、土地、建設に関する諸手続き、環境影響評価報告書の承認がなされた後にしか、ゴルフ場プロジェクトを進めることができません(第 11 条 1 項)。  

 また土地使用権の譲渡を伴ってゴルフ場プロジェクトを譲渡する場合には、投資、土地、不動産事業などの関連法規で定められる要件や手続に従って進めなければならないとされています(第 11 条 3 項)。

5 経過措置

 本政令の発効前に投資方針の決定、投資証明書、および投資登録証明書が交付されているゴルフ場プロジェクトについては、すでに交付済みの決定や証明書の規定に従ってゴルフ場プロジェクトを進めることが可能です(第 17 条 1 項)。

 他方、プロジェクトの申請書はすでに提出済みであるものの、本政令の発効時点で投資方針の決定や投資登録証明書の交付がなされていない場合については、本政令で定める要件や手続きに従って申請書類を調整する必要があります(第 17 条 2 項)。

以 上

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2019年01月23日(水)1:02 PM

ASEAN各国の新法状況をご報告いたします。

 

【シンガポール】決算サービス法案
【タイ】労働者保護法・刑事手続法関連の改正及びIBC制度の創設
【マレーシア】外国人社会保険義務・飲食店での喫煙禁止・贈収賄に関する改正法
【ベトナム】サイバーセキュリティー法の施行
【インドネシア】OSSシステムのBKPMへの移管
【フィリピン】外資規制緩和の最新動向
【ミャンマー】競争委員会の設立及び外国銀行の内資企業への融資撤廃
【カンボジア】労働法のアップデート
【ラオス】付加価値税法の改正
【日本】労働基準法の一部改正

 

2019新年版ニューズレター

2018年02月11日(日)6:48 PM

ベトナム政府より、物流サービス事業に関する新政令の公告がありました。

→ベトナムにおける物流サービス事業に関する新政令

 

 

 

 

2018年01月11日(木)4:44 PM

ASEAN各国の新法の状況をご報告いたします。

 

シンガポール→ダウンロード

タイ→ダウンロード

マレーシア→ダウンロード

ベトナム→ダウンロード

インドネシア→ダウンロード

フィリピン→ダウンロード

ミャンマー→ダウンロード

ラオス→ダウンロード

日本→ダウンロード